のんびり屋の妻は、もっとゆっくりとしたかっただろう。

 ボクの旅の始まりは早かった。

 8時にホテルを出る。

 いつも下から眺めて気になっていた山に行くため。

 下を通るたびに、「展望台」、「鷲羽山ハイランド」なる看板もよく見かけた。

 展望台の駐車場に車を止める。

 間違いない。

 絶景。

 瀬戸内はどの景色も心を和ませる。


 瀬戸内の島々を見るたびに、こんなところで暮らしてみたいなと、思わずにはいられなかった。
 山を降り、近くにある瀬戸大橋架橋記念館に向かう。
 

 建物の中にも、外にも橋に関するものを見たり、体験できたり。
 ボクが1番驚いたのは、建物の屋根も、ずっと登って降りてこれるようになっていたことだった。(数年後、ここにも姪を連れてきた。)
 昼頃に吉備津神社に到着。
 ボクの地元は、尾張国一宮。
 そして、ここは備中国一宮。
 

 とても立派なのでビックリしてしまった。
 ただ、桃太郎伝説というキーワードだけで訪れた自分を恥じた。
 手を合わせ、「失礼しました。」と岡山城に向かった。
 ボクは2度目で、妻は始めてくると言った。
 西日本にある城は、大阪城や名古屋城よりも好きだった。
 どっしりというよりはスマートな感じがする。

 マニアにしかわからないカッコ良さ。
 天守閣から眺める岡山の町。
 城から眺める町並みも、その城の持ち味の1つだった。
 そして、岡山城に来てここに来ない人はいないだろうと後楽園に行く。
 

 もう少し年齢を重ねれば、もっと良さがわかるんだろうななどと考えながら、城を眺めながらの散策。
 この日は、岡山駅近くのホテルに宿泊。
 その晩、唯一覚えているのは、ビル地下一階の居酒屋で、何か地元のものを1つは食べとこうと、「ままかり」を食べたということだけだった。