晩ごはんを済ませ、出かける服装でリビングに寝るとはなしに横になる。

 妻は、洗い物をして、シャワーを浴びて、出かける服装に着替、カバンの中を整理しつつ、忘れ物がないかを確認している。

 二人とも落ち着き、9時頃に部屋の鍵を締め、明かりを消して、カバンを持って車に乗った。

 これがいつもの二人の旅の始まりだった。

 駐車場を出ると、基本下道で、日が昇るか昇らないかくらいに目的地に向かった。

 理由は単純で、深夜は道が空いている。

 そして、1日有効に使えるからだった。

 一応の旅の目的は城だったが、ボクは行ったことのない町だったら、それだけで心が締め付けられ、ときめいていた。

 国道で米原まで走り、琵琶湖沿いを走る湖岸道路に入り、大津からまた国道を走った。

 昼は、人と車でごった返したであろう京都市内を抜け、福知山市についた。

 道中、あまり止まりたくないボクは、嫁のトイレだけを気にしつつ、休まず走る。

 今回は1度だけ、コンビニで止まった。

 嫁は移動中は、小さなひざ掛けをして、仮眠をとっていた。

 目的地近くまで来た安堵感がいっぺんに疲労感を連れてきた。

 田舎の地方都市だから、コンビニの駐車場で朝飯兼仮眠かと思ったが、国道沿いの近い位置、右側と左側に”Tomato&Onion”(ファミレス)があった。

 ここが、発祥の地なのだろうか。

 店内は、そこそこ若い子たちが入っていた。

 他に行くところも少ないのだろうが、ここだけが賑わっている景色は不思議なものだった。

 生ビールを頼み、軽くつまみを頼んで一息つくのも、この朝の楽しみだった。

 二人とも落ち着いたところで車に戻り、エンジンをかけ小一時間くらいのくらい仮眠をとった。