今のところに住んで15年になる。
ご近所で知ってる人といえば、同じくらい同じアパートに住んでいる隣の部屋の独身男性と、向かいの古くからそこに住んでいる老夫婦しかいない。
12.3年前くらいに一度、町内会の副会長という人が訪ねてきたことがあった。
ボクたちは子供もいないので、ご近所のこともよくわからないから、町内会に入りたい旨を伝えた。
今度、書類を持ってきますと言った副会長は、10年たっても現れることはなかった。
こちらも特別不自由はなかったので、気にもしてなかった。
子供の頃なら、〇〇さんやら、△△くんのお父さんやら、□□屋のおじさんやらと日常そんなに接しない人でも顔と名前を知っている人は多かった。
悪い行いをすれば親から、ご近所さんに恥ずかしいとたしなめられたものだった。
また、ご近所さんや知らない人から、親の顔が見たいなどとも言われた時代だった。
現代の悪さをした子供を叱責する時、親の顔が見たいなどと言えば、スマホを取り出し、家族旅行か何かの写真を見せられ、これがお父さんでこれがお母さんなどと説明をされるのが落ちかもしれない。
最近、昭和ノスタルジックなどと若い子に興味を持たれているが、ボクたちにはそれが普段の生活であった。
大人になった今、不自由さの中に幸せがあったことを懐かく思えることが、幸せだ。