ロズウェルなんか知らない | 放浪カモメはどこまでも

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篠田節子著、「ロズウェルなんか知らない」を
読みましたので、感想を書きます。


内容の前に、篠田さんについてあまり知らない人も
いると思うので、ちょっと書きます。

主にジャンルはSF、ホラー、推理、
社会派サスペンスなどを書いていて、

扱う主題も医療、宗教、社会制度、近未来、
音楽、絵画、海外ビジネスなど

何とも幅広いものを書いています。

その様な多ジャンルを書きながらも
物事の長短をしっかり書いてくれる
スタンスが結構好きです。

中庸的と言いますか、小説を
プロパガンダにしないところが、
とても良い作家です。


そんな色々なジャンルを書いていますが、

今回のテーマは「過疎の村の再生」の話です。

どんな村かというと
10年前まではスキー観光客で
経済を回してましたが、

物語の現在ではスキー場も閉鎖して、
観光資源も無く、温泉も湧かない、
年寄りばかりの村に
なっています。


地場産業も観光資源も何もなく、
若い人は都市へ出て行く一方。

40歳前の主人公が、
そんな状況でどうやって町を
再生していくのか。


そんな内容の小説です。


もうちょっと内容を言えば、

最初は何にも無い地方都市なので、
裏を返せば、天体観測には
良い場所だった為、

天体観測のツアーで観光客を
寄せようとしてました。

でも、集客も悪く、参加者も不満なところが
多かったですが、
ある日、天体観測中に
おっちょこちょいな登場人物の一人が
遠くの山の中でバイクを暴走させます。

そのヘッドライトの動きが奇妙で
UFOと何人かが思い、
その事をインターネットで
流します。

地方の寂れた村に奇妙な光が飛ぶと言うことで
オカルト好きな人が地味に町にくるようになります。

ここから物語が動きます。


そう、主人公達は、
町自体を幽霊やUFOやUMAが
集まるような4次元地帯と
思われるようにし、
観光客を集客しようとしていきます。


大の大人たちが、
誰にもばれないように、
ミステリーサークルや心霊スポットを
こそこそ作っていく。


バカバカしくても愚かしいと思っても、
村を再生させたいため、
必死に頑張るところは、

微笑ましく、応援したい気持ちになります。


途中で、オカルトの雑誌が来たり、
村の老人とぶつかったり、
サブカル系のカリスマアーティストが
やってきたりなど

ドタバタしながらも、
人とぶつかりながらも、

徐々に来客が増えていくところは
読んでいて楽しかったです。


最後の方で主人公達の企みが
世間一般にバレてしまいますが、

それは起承転結でいう転の部分にあたります、

結の部分じゃないです。

バッドエンドじゃないんです。


結の部分は

虚構だと知られたあとに
どうするのか?

という話になるわけですが、
ここから先は自分でよんで欲しいです。


600ページ超の小説ですが、
それに負けない爽やかなエンドが
待っていると思いますので。