テアトルエコー SIDE B公演「ギラギラの月」を観た。
(ダブルキャストのギ組)
昭和43年。
東京練馬の下宿で共同生活を送る若き漫画家たち。
これを読んで、
「大泉サロンの話だ! 24年組の話だ!」
と思った。
何の因果か5年前から練馬に住むようになった私。
漫画が好きで、書店員時代にコミック担当していた私。
絶対に観たい。
観ないわけにはいかない。
客席にキャベツ畑ができている。
モー様ファンにはたまらない。
開演前に昭和のアニメソングが流れている。
そして開演のBGMは熊倉さんの「ゲゲゲの鬼太郎」、それから太田さんのサファイアの声。
これだけで泣ける、エコーの財産だ。
「一度きりの大泉の話」を読んでものすごい衝撃を受けたので、そのへんが少し胸の中に小さな棘みたいに刺さっていたが、ギラギラ熱い漫画家たちの共同生活の様子は、とても楽しそうだった。
小学生の頃の鍋横での生活を思い出す。
(昭和43年当時、私は9歳でした)
まさに三億円事件が起きた当時の、時代の匂いのようなものが舞台の上にあった。
※ それぞれの漫画家にはモデルがいるが芝居の内容は完全にフィクションである。
澤山佳小里さんが竹宮惠子的な人。
真嶌美緒さんが萩尾望都的な人。
娘の同期生、くららちゃんが大島弓子的な人。
(すっかり大人の女性になられた。もうあれから13年経っているのだ)
おまたかなさんが、おそらく山岸凉子?
橘川佳代さんが増山法恵。
縞典花さんが坂田靖子。
稲熊美緒さんがささやななえこ。
(稲熊さんは華ちゃんや美緒と同期だったと思う)
重田千穂子さんは、あれ? 誰がモデルだろう? と思ったら、山田ミネコらしい。
個性的な編集者が黒川さんと小泉さん。
漫画好きという立場で観ても、エコーファンという立場で観ても、その時代を知る人間として観ても、おもしろくてしみじみする作品だった。
登場シーンから、ずっとカッコよかった重田さん。
登場するだけで空気が変わる。
全員が、謎の女性のデッサンを始めるシーンが印象的だった。
何かに打ち込む熱さや、それぞれの中にあるプロフェッショナルの魂、それがそっくり【漫画家→女優】という図式に無理なく変換されて、一段と感動する。
開演延期を余儀なくされた経緯があったりしたので尚更だ。
三億円事件や学生運動の時代背景もあり、いくつもの意味で自分とシンクロしていた。
スパイダースの「BAN BAN BAN」を全員で踊るエンディングで、また泣けてくる。
出演者の皆さんも初日が開けたことをさぞ喜んでいらしたことだろう。
9月5日まで、恵比寿エコー劇場にて。
まだお席があるそうです。