― ちなみに、村山さんと酒巻さんからご覧になった現役時代のリーダー山本さんはいかがでしたか?
(村山)一緒。変わらない。
(酒巻)優しい先輩のイメージでしたね。

応援部、応援団OBには昔はとても恐ろしい風貌だった方も多々いらっしゃいますが、山本さんは今と変わらず優しい雰囲気の方だったようですね。
― 東大のリーダーはみなさん優しい感じなんですか?
(村山)いや、人によります。
(酒巻)役職によるというか。
(山本)あと、生い立ちと。
― 生い立ち?!そこまで行きますか?!(笑)
(山本)1年の入部当初は、他大のリーダーに「あんな青っ白いヤツを入れて大丈夫か?」と言われていました。それくらい、弱々しく見えたらしいです。
― それまで運動はされていたんですか?
(山本)高校の時、剣道をやっていたんで体は出来ていましたが、1浪したので体がちょっと鈍ってましたね。
― いきなり激しいのに入られたんですね(笑)。
(山本)まあ、でもお陰様で体は頑丈にできていましたから大丈夫でした。
― そういえば、バンドリーダーの高尾さんも高校時代に剣道をされていて、以前インタビューの中で、剣道に比べて応援団は楽だったとおっしゃっていました。山本さんはいかがですか?高尾さんは吹奏楽なので、リーダーとはまた違うとは思いますが。
(山本)肉体的にはたしかに剣道の方が辛かったですが、リーダーは理不尽な練習という精神的な辛さがありましたね。拳立てとかうさぎとかアヒルとか。

精神的に鍛えられているからこそ、今ドリルにチャレンジ出来るのでしょうね!
― その辺もご自分の中では・・・。
(山本)修行ですね。
(一同)苦笑。
― 修行がお好きなんですね(笑)。それでは、先ほど少しお話ししてくださいましたが、Returns!に入られた経緯をお聞かせください。
(山本)すでにReturns!に入っている同期から「みんなそれぞれ仕事と家庭と両立しながらやっているから大丈夫だよ」「リーダーだったら楽譜を覚えるより体で覚えた方がいいんじゃないの?」とか、分かるようで分からないような励ましがあって、入ることにしました。

リーダー部卒の山本さんがReturns!に入団したのも六大学同期で仲が良いからこそですね!
― 実際に演奏をされてみていかがでしたか?
(山本)やっぱり見るのとやるのとは全然違って難しいですね。頭も錆びついちゃって。もう海馬が縮小しちゃってます。
― 海馬ですか、さすが東大(笑)。
(山本)今はお荷物状態ですけど、なんとか頑張りたいと思っています。

東大の人は「教え上手」な人が多いです。
個人のレベルに合わせた指導をしてくださいます。
― 楽しさはありますか?
(山本)ゴルフと同じで、OBばっかりの中、たまに1本真っ直ぐパーンと行くとスカッとするように、音が合ったという時はすごくエキサイトしますね。ただその割合が今は10パーセントくらいです(笑)。

演奏もドリルも、本番までにスカッと決まる割合がどこまで上がるか楽しみですね!
― では、続きまして村山さんと酒巻さんにお聞きします。お二人は中学高校(駒場東邦)時代の吹奏楽部の先輩後輩だということですが。酒巻さんは先輩の村山さんに誘われて東大応援部に入られたんですか?
(酒巻)誘われてはいないんですけど。村山さんは2つ上の先輩で、東大の応援部に入られた後、OBとして高校の吹奏楽の練習に遊びに来られたんです。坊主頭で。
(村山)僕が1年の時だね。スポーツ刈りにしていた。
(酒巻)急に坊主頭にしちゃって、先輩は何をやってるんだろうなと思っていた感じもあって(笑)。
(村山)高校の時は髪が長かったから。前髪を下ろして、このへん(肩のあたりを指す)まであったから。
(酒巻)そうですよね、全然キャラが違っちゃってて。遊びに来られた時の印象があったから、楽器を続けるなら応援部がいいなと思っていたかな。

第一回定期演奏会のドリルステージ。(リハ)
髪の長い村山さんも見てみたいですね!
― それはなぜですか?
(酒巻)何か楽しそうだなと思って。普通の吹奏楽やジャズとは違う空気があって。体育祭が盛んな高校だったんですよ。男子校だったんですけど。体育祭の応援が楽しくて、それもあって(応援部に惹かれた)かな。
(村山)慶應のクラリネットのM(H1年卒)は僕と酒巻の間にいたブラスバンド仲間。
― えー、私が1年の時の幹部の先輩です。中高時代のお仲間だったんですね。
(酒巻)慶應のリーダーのKくん(H3年卒)っているでしょう。
― はい、1つ上の先輩です。
(酒巻)彼も同じ駒東(駒場東邦)で、男子校の体育祭が楽しくてリーダーになっちゃった男。

第一回定期演奏会、演奏ステージにて。
東大OBが2名もいるわりに「頭脳<気合」な雰囲気のあるトロンボーンパート。
― 駒東出身者は応援部に入りたいっていう感じになるんですか?
(酒巻)なる人はなる(笑)。
(村山)僕も、高校の3つ上のトロンボーンの先輩が東大の応援部でドラムメジャーをされていて、その先輩に「神宮を観に来い」というお決まりのパターンで声をかけられました。大学入学直前の3月終わりに高校のイベントがあって、OBが集まったんです。その中に東大の先輩が二人いて、一人は応援部の吹奏楽団の先輩で、もう一人は応援部でない吹奏楽団の先輩で。両方から声をかけられました。最初に神宮に行ったら、「お前、なんで楽器を持ってこなかったんだ」と言われて。「まあいいから、ここに座れ」というありがちな流れで(笑)。
(酒巻)なし崩し的に(笑)。
(村山)そう。でも、面白そうだから入ってみようかなと。
― 応援部ではお二人ともドラムメジャーをされて、Returns!でもまたご一緒されていて、長いご縁ですね。中学生の時からおじさんに至るまで。
(山本)そういえば酒巻さん、この前、東大応援部の新人の青田買いをしてましたね(笑)。
(酒巻)そうそう。この前、東大応援部の新入部員とOBの飲み会があって行ってきました。Returns!というOBバンドがあるよとPRをしてきました。
(山本)リーダーでも将来Returns!に入る道があるよと(笑)。
(酒巻)そういう道もあるよと(笑)。

現役時代の酒巻さん。合宿でしょうか、メジャーバトンを持っています。
― どんな反応だったんですか?
(酒巻)これから応援部でやっていく1年生だから、いきなり何十年後の話をされても「は?」っていう感じだろうけど、一応「ああ、そうですか」とは言ってましたね(笑)。すごい遠い未来の話だからね。
(村山)まずは4年間続けてくださいって話だよね(笑)。

そして何十年後かにReturns!でもドラムメジャーをつとめている酒巻さん。
キリっとしたまなざしとドリルへの情熱は変わりません。
― 話は尽きませんが、そろそろお時間なので、最後に皆さんにとってのReturns!の魅力を教えてください。
(村山)僕は遅れてこのバンドに入ってきたんだけど、本当に一瞬で溶け込めた雰囲気がReturns!にはあったんです。世代や学校は違うけれど、やっぱり学生時代に同じことをやっていた共通の雰囲気や空気があるんじゃないかと思っています。非常に居心地がいいですね。それからもう一つは、Returns!は色んな意味で大人のバンドですよね。忙しくて練習に来れなくても、本番にはきちっと合わせて仕上げてくるところとか、それどころか本番の出来が一番良かったりとか。あと、曲作りもドリルも、メンバー同士で意見を出し合ってどんどんレベルを上げていく。そんなところがとても良いですね。

ホルンパートはReturns!でも結束のかたさを感じます。
(酒巻)自校だけではない、六大学合同演奏会のOBOGバンドであるという面白みかな。他の大学の人たちと付き合える幅の広さ、それはこれからも無限大に広がっていくんだろうけれど。あとは、なんせ吹くことが楽しい。結構まともに吹奏楽をがっつりやっているじゃないですか。ドリルもですけど。それは得難いですね。これだけちゃんとやっている楽団に、ハードル低く入ってこられるという。応援部の吹奏楽団を4年間やって良かったなと今改めて思いますね。
(山本)私はリーダーでしたが、当時、吹奏楽団のことがよく分からなかったんです。どういう練習をして、ああいう演奏会や応援が作られているのか。Returns!に入った今になってよく分かってきました。当時、リーダーとして知っているべきだったのに何も知らなかったという自分への反省とやり直しですね。その意味と、もう一つは50の手習いということで、どこまで新しいことができるんだろうという自分の世界を作ることができる喜びと新しい仲間がたくさんできる喜びを味わう場だなと思っています。
― 皆さん、今日はどうもありがとうございました。
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+
六大合演OBOGバンドReturns!
http://6dgereturns.wixsite.com/returns
https://www.facebook.com/6dgereturns/
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+