じつは、この技は凄いんです。
「技」というのですから、成功しないと技にはなりません。
勝負で、ねこ騙しを使って負けたら、それは技にはなりません。
横綱、大関の身体的能力があるから、
幕内上位の力士にも出来る技といえます。
(成功する、つまり、勝つ)
幕下、三段目力士が行うねこ騙しとは次元が違います。
小兵で、ねこ騙しの使い手であった、舞の海さん。
ズバリ天才です。
「小兵だから出来る」というのは、短絡的です。
今回は、その理由をお話しします。
下の図をご覧下さい。
これは、2006年に白鵬関の立ち会いを分析したものです。
白鵬関に報告して、議論したものなので数値はほぼ正確です。
1月が、雅山関
9月が、栃東関
です。
このような距離から仕切ります。
相手との距離が約1メートルです。
この距離の中で一度、両手を叩きます。
叩いただけではなく、その手を次の攻撃に繫げます。
そして、驚くべき事は、この図です。
つまり、
・膝関節45~75°
・腰関節(上体角度)約25°
から立ち上がり、
相手と接触するまでの時間はたった0.19秒~0.4秒。
今回、ねこ騙しをおこなった相手とは違うといえ、おそらくこのデータと同じ状況で毎回立ち会いをしていると考えられます。
つまり、ねこ騙しとは‥‥
「短時間の中で、様々な動きを正確に行う技」
と言えます。
誰でも出来る技ではありません。
これがこの技の凄いところだと思います。
相撲芸人のマービンJrさんが、
ツイッターで「本場所でねこ騙し、これは凄い!」という内容をつぶやいておりましたが、相撲を取ったことのある人の本音だと思います。
ねこ騙し、然れど、ねこ騙し。
すごい技です。