吉川英治さんと双葉山関 その2 世間の目 | 内藤堅志オフィシャルブログ「労働科学研究者 内藤けんしの"ちょっといい話かも!"」Powered by Ameba

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労働科学研究所 協力研究員。
第1種衛生管理者。
労働衛生・安全、技能伝承、ストレスを研究しています。成功、活躍した人を分析して「運」も研究しています!

人の目は気になるものですよね!


特に、著名人であったり、有名なスポーツ選手であったり‥‥


そして、イメージが先行したり、性格が形作られたり‥‥

華やかでも、辛さや、寂しさがあるのだなと、つくづく感じました。


相撲求道



資料3


相撲求道録。双葉山さんが引退して、時津風さんの時に書いた本です。
(昭和31年8月25日出版)


その112ページに吉川英治さんが双葉山関に会った時の事が書かれています。昭和12年5月場所の千秋楽の時の事です。


『 みんなで食事をしていると、この人気男を繞って、八方から客席の電話だの、妓たちの狂態に近い歓声が集まってくる。人気というものは浮気ないたづら者である。双葉がもし次の場所に黒ボシの過半数も取れば、この雰囲気はどこかへ行ってしまうのだ。
 低いところから落とせば欠けない物を、勝手に高所までさし上げて行って落とすのが人気の特徴である。作家の場合などよりももっと痛切に相撲取りなどはそれを感じるにちがひない。何とかいふ殿様だの、三菱の重役連だのとういふ電話も頻々とかかっていたが、双葉山はその間に、田舎の父親の事でも思い出しているらしく、無口に酒を舐めているだけだった。
 誰かが色紙に寄せ書きをし始め、彼もそれへ穐吉定次と不器用な手つきで書いたので、僕も端へ一句かう書いて、そばにいる安岡正篤氏に示したらおもしろいと同感してくれた。だが双葉山には同感か何うか‥‥

江戸中で一人さみしき勝角力   』

と書かれています。


これを読んだ双葉山は大粒の涙を流したともされています。


そして、宮本武蔵 8巻 205ページ(講談社版)に佐々木小次郎と対決する際の心境が書かれています。

『武蔵は怖いのである。理解のある人の好意には、襟を正すが、その衆望が浮薄化して、人気というような波に乗せられることを、恐ろしいと思った。ふとすれば、自分も凡夫だし、思い上がらないものでもない。いったい今度の試合にしてもそうである。誰が、こういう切迫の日を持ってきたか。かんがえてみると、小次郎でも自分でもない気がする。むしろ周囲だと思う。‥‥』

と書かれています。


表現は違いますが、世間の目に常に見られているストレスが存在します。



それは、定めかも知れません。



でも、そのストレスを緩和してあげることも必要だと思います。


先日、とある企業でストレスに関する話しをしたところ、ある部長さんが‥‥

「若い社員は相談するところがあるが、我々役職(部長)は相談する場所が無いんです。いったい誰に相談したらよいのか?」

と質問されました。


双葉山さんの場合は、吉川氏であったり、安岡氏であったり、中谷氏であったり‥‥。
相談する人、悩みを共感できる人がいました。


相談できる人、悩み・不安を共感できる人は、ストレスと一緒に闘ってくれる人です。


宮本武蔵は誰だろう、誰に相談したのだろう?


それにしても、吉川英治さんは凄い。

これで一つ、私の疑問は解決されました!


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