なぜ、強いのか? | 内藤堅志オフィシャルブログ「労働科学研究者 内藤けんしの"ちょっといい話かも!"」Powered by Ameba

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労働科学研究所 協力研究員。
第1種衛生管理者。
労働衛生・安全、技能伝承、ストレスを研究しています。成功、活躍した人を分析して「運」も研究しています!

今日、鶴竜関が横綱昇進を決定的なものとしました。

相撲解説者の北の富士さんは日本人力士のふがいなさを放送中に語っています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140323-00000058-dal-spo

では、なぜモンゴル出身の力士はチャンスをものにするのでしょうか?
ハングリー精神もあると思いますが、ある社会的なシステムが関与していると私は考えています。

それは、今年の一月に、日本に滞在しているモンゴル新聞の記者さんに「白鵬のメンタル」の本の取材を受けていた時の事です。


私が「白鵬のメンタルにも書かれていますが、白鵬関は自分の弱さを隠さない、日本のマスコミの皆さんにも不安やストレスを話すことがあります」といったところ、モンゴル新聞の記者さんは‥‥
「モンゴルの人はそうですよ、人に助けてもらうことをためらいませんよ。その代わり人が迷っていたら助けます。日本人は一人で抱えすぎです」と‥‥

これも強さの一つか! とその時に、思いました。
もう少し早く記者さんと話していたらこの話題も「白鵬のメンタル」に100%本にも反映していたと思います。

それは、アーロン・アントノフスキー博士(1,923年~1,995年)が提唱した首尾一貫感覚という概念に共通していることです。
(この概念は「白鵬のメンタル」に記載されています。この概念を日本に紹介した元東京大学医学系大学院准教授の山崎喜比古博士は私の恩師である阿部眞雄医学博士、労働科学研究所所長の故 前原直樹医学博士と研究仲間だったので学会で度々ディスカッションさせて頂きました)

この概念はユダヤ人女性に関する更年期適応の調査の中で得られたと言われています。
この調査で精神的に健康であった人は、 第二次大戦中に強制収容所への収容を免れたグループでは51%、 収容を受けたグループでは29%という結果でした。
アントノフスキー博士は博士は、後者の29%という値をむしろ大きく感じ、 強制収容を経験したにも関わらず彼女たちが 健康でいる理由について考えました。

つまり、これはストレスの多い環境下で健康を維持し、増進させていくための要因とも考えることができます。もっといえば、「どんな人が健康を保ち、向上できるのか?」という考察につながるものです。

博士はこの概念を、三つの感覚に分けて説明しています。わかりやすく述べるなら、次のようになります。
1.いまのストレス・不安などを冷静に分析している(把握可能感覚)
2.ストレス・不安を打破するモノ・人・方法がある。または知っている(処理可能感覚)
3.いまは大変だが、この体験は将来役立つと感じている(有意味感覚)
という要素です。

つまり、モンゴル新聞の記者さんからの話を参考にすると、大関昇進や横綱昇進など途轍もなく大きなストレスに出くわしても、
・不安やストレスに共感して、問題を一緒に解決してくれる人がいる。
これが大きいと思います。


そう考えると、今回の昇進も理論的に辻褄が合うような気がします。

もっと、日本人力士はお互いに本質な部分で助け合い(研鑽し合い)
事が大切だと思います。


*以下の本を参考にして下さい!

白鵬のメンタル:講談社さん
http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2728346

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