一週間前、この本を読みえた後、言葉を失ってしまった。

ほんとうに一時は声まで出なくなってしまった。

これほど魂を揺さぶられた本はなかったのかもしれない。


今朝、早く目が覚めたので朝日を見に行った。


空は輝く朝日と、芸術としか思えない雲が踊るように美しかった。

暫くその前で立ち尽くしていた。


その瞬間、宮部久蔵が乗ったゼロ戦が見えたような気がした。

気がつくと涙が頬をつたっていた。


永遠の0 (講談社文庫)/講談社

¥920
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読むきっかけは、「ALWAYS三丁目の夕日」の山崎監督がトライしている作品だから。


文庫本を手にした瞬間、こんな部厚いものは珍しい。読めるのかと思った。

しかし、文庫だけで300万部を突破している。

現在の出版情況から見て、尋常ではない何かが多くのひとを惹きつけていると感じた。


物語は、司法試験に失敗している26歳の健太郎が姉の慶子から、

祖父から「実の祖父」がいて、そのひとは神風特攻隊で死んだという話を聞く。


ふたりは、実の祖父のことは全く知らなかった。

そして祖父がどんなひとだったのか。

当時の戦友を探す。


最初のひとからは「奴は海軍航空隊一の臆病者だった」と言われ愕然とするが、

何人かのひとと会ううちに、少しずつ祖父「宮部久蔵」の姿が見えてくる。


ひとによって、一人の人間は別人のように見えるものかもしれない。


「死ぬのはいつでもできる。生きるために努力をするべきだ」と言っていたという。

当時の軍人としては、極めて異例で危険な発言だった。


彼はどうしてそんなことを語ったのかが、次の謎になる。

読むほどに、宮部というひとに惹かれていくのかもしれない。


証言者たちは時系列で現われる。

だから真珠湾攻撃・ミッドウェー海戦・レイテ沖海戦・ラバウル・

ガダルカナル攻防戦と、宮部がゼロ戦パイロットとして

どのような情況で闘ったのかを証言していく。


作者はその証言を使い、それぞれの海戦がなぜ負けたのか精緻な分析を行っている。

日本海軍の実態・組織の本質・官僚構造による誰も責任を取らない体質

等の重要な真実が暴かれていく。

ここは絶対に必読だと思う。


ゼロ戦の歴史も徹底して描かれている。

語りで説明されるので、わかりやすい。


そして<特攻>とはなんだったのかが暴かれていく。

このことを書くことは、相当な勇気が必要だったと思う。


兵士は使い捨てであり、特攻機は攻撃する空母に近づく前に、

高性能レーダーにより、殆どは撃墜されていたのだ。

司令部は知っていたはずだ。

これは許せない。

そんなことが沢山書かれている。


特攻隊の人たちはどんな思いで死んでいったのか。

遺書は思いの一部でしかない。検閲されていたからだ。

彼らの心理に相当近づいた作品だと思う。



映画『永遠の0』12月21日2013年(土)公開 予告





わたしの恩人は学徒動員の特攻隊のひとだ。

その瞳の奥から光る厳しい鋭さは、死の深淵を見たせいではないかと思った。


ひとりひとりの死は、意味があったはずだ。

彼らの死の意味を、果たしてわたしたちはわかっているのか。その思いを。

絶対平和の世界をわたしたちは希求するようになったのではないのか。


ラストで、宮部さんの<真実>がみえてくる。

「ああ、そうか、そういうことだったのか」と深い感慨を持った。

こんな感覚を持ったのは初めてだった。


今朝の空を見て、少しだけみなさんと宮部さんに近づけた気がした。


日本人であるならば、どうしても読んで欲しい本だと思う。


今も、そしてこれからも宮部さんの<思い>の強さと深さを思い続けるだろう。


わたしたちは、これからも平和を守るために生き続けます。


宮部さん、みなさん、どうかわたしたちを見守っていてくださいね。

ほんとうにありがとうございます。


また宮部さんが乗っているゼロ戦に会えるだろう。

あの空で。

微笑みながら。