坂本さんが、亡くなられて来月で
2年になろうとしている。早過ぎ
たとしか思えない。
今、東京都現代美術館で「坂本龍
一 | 音を視る 時を聴く」との展覧
会が行われている。評判の良い
ことに思わず微笑んでしまう。
わたしは遠距離の為、行けないの
が残念だが、もうお会いすること
ができないと思うと今更ながら思い
が募る。
毎日のように彼の作品を聴いてい
る。それは今までと同じように。
ある時から坂本さんの生き方を見
つめていた。共感できるものが多
かったからだろう。
1983年の「戦場のメリークリスマ
ス」や1987年「ラストエンペラー
」の音楽の美しさはもちろんだが
、深い共感を感じたのは、2001年
の「地雷ゼロ運動」のためのチャ
リティーソング「ZERO LANDMINE」
を作曲リリースしたこと。
当時はカンボジア等で地雷の犠牲
者が多かった。
2011年3.11 東日本大震災での支
援活動は、音楽を通しての支援だ
った。
被災して壊れた楽器を修復するプ
ロジェクトで寄付を募い、2000の
楽器を修理した。
わたしも当時は避難をした、市内
でも死者も出ている。未だにあの
ときのことは忘れられない。
2014年に中咽頭ガンを患う。ニュ
ーヨークに住んで、ガンとの壮絶
な闘病生活は、共通する宿命のよ
うな病として、わたしのこころに
もしっかりと届いていた。
2015年には、安倍晋三内閣総理大
臣の進める集団自衛権や改憲につ
いて、国会前で反対演説、デモに
も参加するなどの活動をしている
若いひとたちが久しぶりに戦いの
前面に出てきたのが嬉しかった。
思想家の吉本隆明さんが空の向こ
うからきっと眺めていたに違いな
い。
2017年、アルバム「async」を発
表坂本さんが大好きなロシアの映
画監督アンドレイ・タルコフスキ
ーへのリスペクト作品。
「andata」という曲は、わたしも
大好きな映画「惑星ソラリス」を
思い出す。わたし自身のタルコフ
スキーへの思いにも通じていた。
2021年1月直腸ガンおよび転移巣
の手術を受ける。
中咽頭がんを放射線治療と抗がん
剤の併用で克服しているが、直腸
がんは、肝臓やリンパ節、肺など
に広く転移したため。
想像を絶する苦しみとの闘いだっ
たと思う。愛する音楽活動を続け
たいという意思が強かったのだろ
う。

2023年3月28日に亡くなる。
彼の様々な活動から多くのことを
学んだ。ひとは、生きてきた道を
振り返り残された時を、どう生き
るのかを考えながら歩いていくの
だろう。
震災や安保法制、がん等、人々の
生きざまの苦しみもじぶんのこと
として感受していたひとではない
か。
宮沢賢治が畑を耕すことで人々の
ために役に立ちたいと思ったよう
に、坂本さんは、音楽で役に立ち
たいと思ったのではないか。
繊細でこころの底から優しいひと
ではなかったか。彼の生き様が賢
治にダブって見えることがある。
今頃は、アンドロメダ大銀河で、
作曲しているかもしれない。坂本
さんは、地球に住むわたしたちを
見守っていてくれるだろう。