先月NHKでダビンチ・ミステリーという


番組をやっていた。

 

なかなかの出来で、何本も放映し、新し


いことも知った。

 

彼が、生涯に書いた作品は14枚しか見


つかっていない。

 

しかし最近2枚の絵が本物といえるので


はないかという説が出てきた。

 

「救世主」という作品は、500億で落


札されたと思う。 

 

真贋鑑定の素人のわたしには、ある面で


はそうかもしれないが、違うような気が


してならない。


ダビンチの自画像については、別の番組


でも見たことがある。

 

思ったより、ハンサムではないかと思う。

 


ダビンチの絵には、線がない。 


指で書いた。何層にも塗る。

 

これは初めて知った。確かに線がない。

 

絵画技術を徹底して掘り下げた彼の到達


点かもしれない。

 

 

ダビンチについては、多くが謎に包まれ


ている。

 

両親のことでわかっているのは、父はフ


ィレンツェの公証人のセル・ピエロ・


ダ・ヴィンチの私生児で、母はカテリー


ナという名前らしい。



少年レオナルドは義母によって育てられ


たという。

 

子供のころはひとりでビンチ村の中を歩


きまわった。

 

学校には行っていない。経済的な問題だろう。

 


彼は膨大な手記を書いている。

 

そこには『人生論』『文学論』『絵画


論』『科学論』『解剖学』が収められて


いる。


彼には、自然が学校だった。


観察がすべて。

 

しかし、それは魅力的な時間だったので


はないか。

 

彼は子供のころから徹底した自然への観


察をしていたのだろう。

 

学問の垣根もあまり意識する必要はなか


った。

 

大人になってミラノの知識人グループと


の交流でじぶんの研究を確かめることが


できたのだろう。

 

彼は天才だったが、自分ではそのような


意識はなく、学問を超えた徹底した観察


と調査が万能の天才という言葉を本物に


した。

 


とくには水の不可思議さには生涯惹かれ


続けていたようだ。

 

モナリザ等の作品でも背景には川が描か


れている。


手記にも水の流れの研究が書かれている。

 

彼は、特に水の性質に惹かれていた。

 

水には線もない。しかし文様がある。

 

個体ではないが、どのような形にもなれ


る。

 

人体の血液の流れがわかったのは、その


研究の成果だと思う。

 

徹底した観察と調査から真実は見えてく


る。

 

そこには想像も必要だ。

 


モナリザにも多くの謎がある。

 

 

 

 

 

世界中の学者が今も研究を続けている。

 

モナリザは誰なのか。諸説がある。

 

それは現実であり、尊敬であり、理想な


のだ。

 

ダビンチは母カテリーナの顔を知ってい


たのだろうか。

 

あれは義母なのか。

 

貴族の女性や普通の庶民の女性説もあっ


た。

 

わたしは、今回の番組を見て改めて思っ


ていた。

 

彼は生涯独身だった。

 

しかし彼にとって最高の愛の結晶が母の


愛であり、それをモナリザという絵に結


晶化させることではなかっただろうか。

 

いや、彼は実の母に愛されたのか。


幻想ではないのかというかもしれない。

 

彼は母の愛を知っていたのか。


知っている。胎内で。

 

 

それでも彼は無意識のように母の姿を彼


の想像力のすべてを使ってモナリザを

 

描き続けたのではないだろうか。

 


あの作品がこれほどまでに愛されるの


は、技術を超えたものがあるからだろ


う。

 

あの作品は彼の生涯の結論ではないの


か。

 

だからこそ永遠に未完なのだ。

 

彼の生涯は幸せだったのかと思うことが


ある。

 

じぶんの書こうとした作品とオーナーか


ら依頼されたものには大きなずれがあっ


た。

 

彼には妥協の文字はなかった。

 

結局、未完成の作品が多くなった。


しかし晩年3つの絵を描き続けていた。

 

彼はその絵だけは、手放すことはなかっ


た。

 

それは彼の追及する作品の最終形態。

 

それでよかったのかもしれない。

 

彼こそがもしかしたらじぶんも気が付い

 

ていない<愛の最高の形>を1枚の中に見


事に描き切った始めての画家だったのか


もしれない。



「芸術に決して完成ということはない。

 

途中で見切りをつけたものがあるだけ


だ。」レオナルド・ダ・ピンチ

 


レオナルド・ダ・ピンチとモナリザはこ


れから研究され続け、愛され続けるだろう。

 

人類の最高の遺産なのだから。

 


わたしたちが、守り続けるものは、わた


したちのこころのなかにあるのだから。