函館にも、冬の精が舞い降りてきた。
先週初雪があり、準備しているつもりでも、雪が降ってくると、エンジンスターターをかけたり、
マフラーや雪下ろしグッズを慌てて探す始末。
日中は気温がプラスのときもあるけれど、朝晩は冷え込んできた。
クリスマスが近づいてきたので、毎年恒例の山下達郎『クリスマスイブ』をリピートしながら運転している。
夜歩くと、空気は冷たく息は白い。頬が痛くなることもある。
その分、空気が澄んでいるので、お月様や星座が美しい。
雪が積もる前に、ライトアップされたハリストス正教会を歩いてみた。
ロシア(ギリシャ)正教のビザンチン様式のデザインの美しさにずっと魅了されてきた。
壁の白が迫ってくるが、暗闇の中の白は特別な空間に連れてこられた気持ちすらしてくる。
思ったとおり、観光客はほとんどいない。
夕食か函館山から夜景を見ているのだろうか。
夜のハリストス教会は、とてもロマンチックな空間なんだ。
この雰囲気が大好きだ。
教会はしんとして誰もいない。
独り占めだ。
ふたりで歩いても素敵だと思う。
辺りを見渡すとお星様たちが、まるで小鳥達のようにきらきらと
輝いて遊んでいるように見える。
ここは、函館山の中腹にあり、周りが海なので空気が澄んでいる。
流れ星がよく見えるのはそのせいだ。
「ねえ、キミ、悩み事があるのかな?。ボク達流れ星に願っているのかい?」
できるだけのことはするよ。もちろんキミも頑張って。」
そんな声が一瞬聴こえたのは、幻聴だろうか。
囁きはわたしの声かもしれない。
宇宙の構成物質はわたしと同じものだ。
宇宙線はいつだってわたしの身体を通り抜けている。
だから通じ合うのだろうか。
「はは!。もちろんさ。
以前ボク達は、ミヤザワケンジという青年とお友達だったよ。
彼の願いは真剣だったね。
大切なのは、そのこころなんだよ。その思いの強さなんだ。」
わたしは、教会の前に立ち尽くしていた。
ここにきて、そんなに時間は経っていないはずだ。
不思議なことに時計は1時間進んでいる。
立ったまま夢を見ていたのか?
「大切なのは、そのこころ」という言葉は今も響いている。
目の前を異様に輝く流れ星が飛び去ってキーンという音が聞こえた。
あれは流れ星さんの囁きだったのか。
雲が増えてきた。
星座さんたちは、夜の帳を降ろそうとしていた。
流れ星さん、大切なことを教えてくれてありがとう。
「全てはわたしのこころ次第」ということなんだね。
はじっこで控えめにいたお月様が、微笑んでいた気がした。
夜空では雪の結晶たちが、わたしたちも美しいでしょうと囁いていた。
雪がたくさん舞い降りてきたので、急いでわたしは車に乗った。
「クリスマスイブ」のメロディが流れてきた。
ありがとう。
流れ星さん、星座さん、お月様、雪の精のみなさん。
