4月23日のプロフェッショナル 仕事の流儀 

 

 「運命の1冊、あなたのもとへ~書店店主・岩田徹」を見た。

 

予算1万円で客に合った本を選ぶ「1万円選書」。

 

いま全国から注文が殺到して実に3000人待ちという話だ。

 


北海道の書店なのに知らないので見ると、途中で涙が出ていた。

 

お客さんが1万円分の選書をしてもらうには、自己カルテを書かなければならない。

 

乃木坂46の高山一実さんがカルテを書いている途中で涙を流すシーンでもらい

 

泣きしてしまった。

 

今まで感銘した本や、今のじぶんの状態のカルテを書くことはじぶんと向き合うことだから。

 

そして、店主が選んでくれた本は、彼女のこころの深いところを揺さぶるものだった。

 

これは本の力を信じる人に撮っては、たまらないドラマだった。

 


わたしはこの数ヶ月、書棚の本の断捨離をしていた。

 

なんとか3割程度は処分できたと思う。

 

本の紹介もしたいし、どうしても残る本はなんだろうと本たちを眺めていることが多い。

 

それはじぶんの人生との対話かもしれない。

 


今回、1万円選書のように何かテーマを絞って、書きたいと思っていたら、はっと

 

気が付いた。

 

残っている本のなかで、50冊以上は杉浦康平さんのブックデザインによるものだ。

 

 

 


 

 

なるほど、本の内容もさることながら世界的なグラフィックデザイナーであり、

 

ブックデザイナー。

 

アジアの図像を収集して研究している杉浦さんの本は美しすぎて、そう簡単に

 

処分ができるわけが無い。

 


「息子よ。その種の中に何が見える?。」

 

「何も見えません、父上」

 

すると賢者は、「息子よ、この何も見えないその中から、目の前の一本の木

 

が生まれるのだ。一本の大樹は宇宙であり、一粒の種はおまえである。

 

つまりおまえ(自我)が宇宙なのだ」と説き明かす。 (ウパニシャッドより)

 

簡潔だけれど、突然のように素晴らしいひろがりへと転ずる譬え話です。」

 


「一枚の白い紙もまた宇宙なんですね。この紙が束ねられた本は、底深い器、

 

あるいは、井戸で、その中からたくさんの智慧を取り出し、たくさんの智慧を

 

入れることができる、その広がりは虚空にも繋がっていく。」 

 

杉浦康平「アジアの本・文字・デザイン」より。

 

 

 


雑誌「銀花」

 

 


「壁画とは、絵画ではなく教えを伝えるカタチであり、教えの実在を示す光であった。

 

美術品と呼ばれるものではない。祈るこころが織り上げた、光の経典であったのである。」

 


「ある「かたち」を美しいと思い、こころ打たれる。一人の人間の感受性の働きの隅々には

 

生きることに懸けた数知れぬ生命体の真摯な営みや、その営みによって培われた深い

 

美意識が投影されているのではないだろうか。」

 

 

 

 

 

「花宇宙」

 

 


「ブータンに行ったとき、電灯をつけてもすぐ停電してしまう。空には満天の星がありますけど、

 

それ以外は、僕ら文明人には何も見えない。」

 

そうすると自分の目のなかに残っている光の微粒子を、凄く感じることができるようになるん

 

ですよ。

 

身体のなかからさまざまな光、きらめく光景が沸き立ってくるのがわかるんです。闇は生き

 

生きとした想像力を、人間にもたらしてくれる」

 

 

「バリ島には、「何もしてはいけない日」があるんです。だから鳥の鳴き声や、川のせせらぎ

 

 

が急に聞こえてくるんです。」 「多主語的なアジア」より。

 

 

ほんの一部を引用してみた。


杉浦さんの言葉の美しさと感度の鋭さには感動するばかりだ。

 

ほんとうに宝物のような言葉が沢山溢れている。

 

もちろんブックデザインは光輝き続けている。

 

この宇宙にただひとつしかない宝石のように。

 

 

 

 

杉浦康平さん。一度お会いした。菩薩そのものだった。

 


いちど、書店で杉浦さんの本を手にとって、ページをめくってみてほしい。


アジアの煌く図像の数々が踊っているのがわかるだろう。

 

 

 

 


表紙だけではなく、一枚のページのなかにも杉浦さんのデザインがあるからだ。


奇跡のような本たちは、生き続けている。

 

 

まるで書物を超えたひとつの生命体のように。