あの光景が、わたしのこころを大きく揺り動かした。

7月1日 大飯原発再稼動予定の日、

原発の前の道路を封鎖して再稼動を反対するひとたちは抗議活動を行っていた。


わたしはそれまでは原発のことについては、じぶんでもっと突っ込んで調べないと

発言するのは難しいと思っていた。


USTREAMというインターネットテレビでライブが見れることを知って、

夕方あたりから見ていた。


300人程のひとたちがドラム等を叩きながら「大飯原発再稼動反対!」と叫んでいた。

全国から集まっているらしい。

女性や子供も多い。

京都のグループが多いのか。


見ているうちに、あたりは暗くなっていった。

次第に緊張感が高まっていく。

21時に再稼動のスイッチを入れる予定だった。


彼らを取り囲む機動隊の動きが激しくなってきた。

抗議活動をしているひとたちをカメラで撮り続けるものがいる。

(これは警察の公安・なにかあったときに証拠にするためだ。

以前は政治闘争しているひとたちがマスクをしていたのは、そのためでもある。)


次第に押しくら饅頭のように機動隊が圧迫を始める。

彼らの常套手段だ。 

押されるひとたちは痛いので押し返そうとして、手を使うと

警察から「公務執行妨害」として連行されるということだ。


彼らは道路に横になっているひとを、ひとりずつ闘うスペースから、ごぼう抜きのように

連行していく。

じわじわとひとりずつ減っていく。

残ったひとの不安を煽る作戦だ。


後で、残っていたひとの数人の記事を読んだ。

機動隊に囲まれた経験がないひとが多かったようだ。

大変な恐怖だったけれど最後まで残ったひとが多かったらしい。


夜になると、突然機動隊は20人くらいで固まって、スペースのなかに入り込んでいく。

そしてリーダー格のひとを狙って、連行をしていく。

わたしはその一部始終をUSTREAMで見ていた。

それは恐怖で包まれた状態だった。

じぶんたちがどうなるのかわからないのだ。


それでも多くの女性たちは機動隊に向って語り続けていた。

あなたたちは福井県のひとですか。

この状況をどう思うのですか。

ひとりの人間として語りかけていた。

恐怖と不安のなかにいたのに。


今まで機動隊に挑発されて、暴行を働いたといって、

それを口実に警棒で殴られたことがどれほどあったことか。

流血の歴史は過去にいやというほどあったから。


しかし、一番驚いたのは、機動隊が連行するときに、

彼らは「暴力反対!」と叫び続けていた。


どんなことをされても口実にされないようにずっと両手をあげていた。

最後まで<非暴力>をみんなで貫いたことだ。


あの恐怖のなかで、5時間以上もドラムを数人で叩きつづけたことは

尋常なことではなかった。

大変な勇気だったと思う。


USTREAMのタイムラインには、リアルタイムで見ているひとのコメントが流れる。

からかっているように見えるひともいたけれど、途中から全く休まずドラムを

叩きつづける姿勢に、「凄いぞ」とか「がんばれ応援するぞ」というコメントが増えてくる。

あのシチュエーションでドラムを最後まで叩き続けることが再稼動反対を叫び続ける

ことなんだ。

タイムラインのコメントには、感動の言葉が次第に増えていった。


わたしも感動していた。

なんて凄いひとたちなんだ。

ほんとうにふつうのひとたちだ。


わたしたちの闘争は情況が閉じられていて、孤立しか残されていなかった。


ライブを殆ど最後まで見ていた。

言葉を越えた彼らの信念がわたしのこころを揺さぶった。


大飯原発の安全確認なんてどれほどされていたのか。

津波対策等は後でやるのか。

活断層はあるのかないのかわからない。


再稼動はなぜやるのか。

電力が足りないからだという。


大震災の教訓はなんだったのか。

福島原発はいまどうなっているのか。

これからどうなるのか。

ほとんどわかっていないのではないか。


政府のエネルギーのビジョンも見えないままだ。

そんなことで再稼動していいものなのか。

あまりにも不誠実ではないのか。


原発を再稼動させるということは、結局利害を優先させるということか。

わたしも愕然としていた。

ここでわたしは彼らと連帯の意志を持ったのかもしれない。



そしていま毎週金曜日首相官邸手前で、ふつうのひとたちが多く集って、

再稼動反対を叫んでいる。


ネットテレビでできる限り見るようにしている。

国会大包囲網も見ていた。

巨大な怒りのエネルギーだと思う。


政治家のみなさんたちも色々顔を出して演説をしている。

このひとたちは本音は選挙に当選することが目当てなのか、本気で再稼動に

反対なのかは、話したことではなく、行動と実績で見定めなければならないと思う。



アーティスト達が立ち上がる!大飯原発再稼働反対デモ ~Hydrangea Revolution



PVはたくさんあるなかでガンジーの言葉や、多くの人の言葉に感銘して

紹介したいと思った。


とくに「原発より愛でしょう!」という叫びが胸を打った。


大きなうねりになってきた運動は様々に変化をするだろう。

分裂・集合もあるだろう。


しかし、ふつうのひとたちの力が結集することで、希望の光は見えてくるはずだ。

わたしはずっとこの民衆が立ち上がる姿を求め続けてきた。

戦後初めて、その光景が見えている。

日本人は新しい歴史を作ろうとしているのかもしれない。


いろいろな見方があるだろう。

<わたしたちの、未来のひとたちのいのちを守ろう>

という気持ちから抗議が生まれている点もあると思う。



原発事故によって現在居住できない空間があるという前提から考えるべきだ。

わたしたちはこれからどう生きればいいのか。

決めるのは政治家や官僚や学者だけではない。

わたしたちだということをもう一度確認しよう。


そしていまは、ガンジーのようにみんなで<塩の行進>をしているかもしれない。


専門的なことはよくわからないことも多いけれど、

人間として大切なものが何かということだけは知っているつもりだ。


わたしたちは未来を考えよう。

そして新しい歴史をつくろう。

原発に頼らない世界のために。