絶対への接吻、あるいは妖精との距離  

ベッドで目を覚ましたが、周りが暗い。
まだ夜が明けていないらしい。

横にある机に光るものがある。
それは、一枚のCD。
その上に雫が落ちていた。
「それは天使の涙だよ」という囁きが聞こえた。

目が覚めた。あれは夢だったのだろうか。
そんなことを思わせるような奇跡としかいいような世界に出会ってしまった。

ネットで一枚のアルバム紹介の短い記事を見た。
たった一行しか紹介の言葉しかなかったけれど、感じるものがあった。
クリックして、言葉を失った。

クリス・ボッティのボストンでのライブアルバム。
わたしが大好きなひとたちが集まったコラボレーションのライブ。
なんと、スティング.ジョシュ・グローバン.ヨーヨーマたちが参加している。
youtubeで探して2曲見つけた。

「EMMANUELLI」
聞いていて思わず目を瞑ってしまう。
色々な情景が浮かんでくる。
ミシェル・ルグランのフランス映画のように。
なんてロマンティックなメロディだろう。
<天使の涙>という言葉が浮かんでいた。

バイオリンのLUCIA MICARELLI(ルチア・ミカレリ?)の演奏の素晴らしさには、痺れてしまった。
彼女の他のPVも見たけれど鬼気迫る迫力だ。尋常ではない。
バイオリンの音の美しさをここまで表現してくれるとは。
(彼女のアルバムは日本では未発売のようだ)

トランペットの音がこれほど深く魅力的だとは思わなかった。
ボッティがトランペットで、ミカレリがバイオリンで愛を語り合っているようには見えないだろうか。
それほど映像が絵になっている。
彼女の憂いのある表情。
ふたりは恋人同士のようにみえるほどだ。


CHRIS BOTTI IN BOSTON | "Emmanuel" w/ Lucia Micarelli | PBS




わたしたちは、セーヌ川のほとりを歩いている。
空は少し雲が架っているけれど、ほのかに優しい夕焼けだ。
川を見るとバトー・ムッシュが通り過ぎていく。
ノートルダム寺院はどこから見ても美しい。
ああ、このまま<とき>が止まってくれたらとさえ思う。
そんな情景が浮かんでくる。
この音楽に出会えたことに、深い喜びを感じた。


このアルバムを手に入れたい。
すぐにアマゾンで日本では未発売なので、輸入版を注文した。

昨日届いた。まるで恋人からの手紙が届いたようにうれしかった。
CDは13曲が収録。
もう一枚は、DVDでなんと18曲が収録されている(それで3400円)。

そこでは、さきほどのアーティストが失神するほどの美しい世界を見せてくれる。
ひとつクリックしただけで、これほど魅力的な世界に来れるとは。
こんな経験はあまり記憶がない。

ヨーヨーマの「ニュー・シネマ・パラダイス」だけでも眩暈がするほどの世界。
撮影の素晴らしさもある。
スティングのボーカル。ため息が出てくる。
ラストはアンドレイ・ボチェッリの「タイム・トウ・セイ・グッバイ」。
もう、なにも言うことはない。


絶対への接吻、あるいは妖精との距離  


日本未発売ということが理解ができない。
多くのひとがこの世界を知らないなんて。

好みの問題もあるだろう。
しかし、DVDを見た瞬間にすぐに酔いしれてしまうだろう。

わたしだけ、この世界にいるのは本当にもったいない。
魂が震えるほどの感動があるのだから。
アルバムタイトルは、「Chris Botti in Boston  [CD+DVD] [Live] 」
 
これが目くるめく美しい世界へ入る鍵。
扉をあけて、この世界に来ることを待っているだろう。
ほら、天使も微笑んでいるようだ・・・。