
この本を読み終えたときの充実感を、忘れる事ができない。
読書と歴史を知る事の醍醐味を味わいたかったら、間違いなく、この本を薦めるね!。
塩野さんが、ひとつのことを調べる時は、徹底している。
イタリアの図書館へ行き、古文書まで読んで、史実を調べ上げるんだ。尋常な執念ではない。
そのエネルギーが読み始めるとともに、読者をグイグイと引きずり込んでくれるのだろう。
快感すら覚えるほどだ!。
この本は、海洋国家として地中海で覇権を持ったヴェネツィアの歴史を、壮大な視点から楽しませてくれる。
ヴェネツィア共和国という【国家の栄枯盛衰】は、何を意味するのか?。
なぜ1000年も続いたのか。それは創意工夫がヒントかな。
古代ローマから、フランス革命の近代までの歴史を知る事になるけど、
自分が知らなかった事に、愕然することもあった。
都市型国家として存続し、英雄がいたわけではないヴェネツィア共和国。
海戦は、物凄い迫力で描かれている。
ヴェネツィアは、すぐに水が澱んでしまい町が沈む可能性がある都市だ。
人々は否が応でも【創意工夫】をこらし町を造り運河を掘り、
商売のために海に乗り出していかざるを得なかった。
今の日本に似ているかもしれない。
彼らには海しか残されていなかった。それが町の方向性を決めさせた。
その間に、ゲルマン民族の大移動、ピサ・ジェノヴァ・フィレンツェ等の国家の盛衰・
ローマ帝国最後のコンスタンティノープルの陥落
(ここを読んで、イスタンブールに行きたくなった。)
トルコ帝国の栄華 (14世紀までは、ヨーロッパよりも、イスラム世界のほうが発展していたということ。)
イスラム世界の学者たちが、ギリシャ哲学を研究し、
それを学ぶことで、ルネサンスが生れてくるという事実!。
プラトン達の思想は、イスラムから教えてもらったのだ!。
十字軍の遠征 (驚くべき十字軍の実態がわかる。人間というものの真実が見えてくるようだ。)
・コロンブスやマゼランの大航海時代、そして最後にナポレオンの登場。
一国の歴史で、これだけの大きな歴史の事実と関わって来た共和国は、他にないだろう。
この本を読み終えた後に、ヴェネツィアに行きたくなってしまったほど。

「現実主義とは、現実と妥協することではなく、
現実と闘うことによって、それを切り開く生き方を意味しているからである。」名言だと思う。
「優しくあれるようになるのは、人生には不可能なこともある、とわかった年からである。
自分でも他者でも、限界があることを知り
それでもなお全力をつくすのが人間とわかれば、人は自然に優しくなる。」 塩野七生
徹底的に歴史を通して、現実を見据えながらも、人間そのものを愛している。
そして、あれほどイタリアを愛しているひとを私は知らない。
だから塩野さんを尊敬している。
塩野さんの本を読んで欲しいな。わたしたちも、歴史のなかに生きている。
現実のなかにある<本質>を見抜く力を、磨くためにも。
それは、じぶんを知る事にもなるのだから・・。