映画「エレクトリック・ドリーム」ピノキオ好きな監督? | TO NI LAND 

 

 

 

映画「エレクトリック・ドリーム」

を観た。

 

 

 

 

 

 

サントラは

令和になった今でも、

 

なぜか、

 

冬場に聴いたりする

お気に入りで、

 

 

作品を観賞するのは

当時以来だったが、

 

 

どのシーンに至っても、

 

当時、観賞した記憶が

まるでよみがえらず、

 

 

 

シンセの音や

ボーイ・ジョージの甘い声が、

 

ノスタルジーを誘う

からだろうか、

 

 

サントラに収録されている

楽曲が流れるたび、

 

感極まって

涙が出そうにもなるのに、

 

 

なぜか、

 

そのMVのような映像は

新鮮で、

 

 

やはり、観た覚えがなく、

 

 

一体どうしたのだろうと

考えたあげく、

 

 

どうやら私はこの作品を、

 

初めて観賞したようなのが

分かった。

 

 

 

 

 

 

 

“80年代”を象徴するかの

ようなシンセポップ、

 

『Electric Dreams』の曲から

物語が始まるのだが、

 

 

やはり、印象的な楽曲から

物語が始まる、

 

映画「ラ・ラ・ランド」

が思い浮かんで、

 

 

 

さすがは、

 

a-ha『Take On Me』のMVを

手掛けた監督だけあって、

 

 

作品に

挿入されている楽曲は、

 

単なるBGMとしてではなく、

 

 

MVとして

単独で切り出せそうな、

 

ビジュアルを伴っているため、

 

 

まるでミュージカル映画を

観ているようなところから、

 

 

“エレクトリック

ミュージカル映画”

 

といった感があり、

 

 

 

プロローグ

    ↓

パソコンが

彼女の存在を意識

    ↓

パソコンが

愛や夢について学習

    ↓

パソコンが

彼女恋しさに暴走

    ↓

パソコンが

過ちに気づいて断念

    ↓

エピローグ

 

 

といった

ストーリーの流れに添って、

 

サントラの

楽曲が配置されているため、

 

 

パソコンが、

 

人間の女性に恋をする

話だと知ってさえいれば、

 

 

サントラを聴いただけで、

 

どのような展開なのかが

想像できて、

 

 

当時、

 

この作品の予告編でも

観ていようものなら、

 

既視感を抱かせるには

充分であるため、

 

 

今回のような混乱が生じた

のではないかと思われた。

 

 

 

 

 

 

エドガー(パソコンの名前)を

購入する、

 

建築家の青年マイルズ役を、

 

 

レニー・フォン・ドーレンが

演じていて、

 

 

驚くほどニコラス・ケイジの

声に似ており、

 

 

ニコラス・ケイジと、

 

レイフ・ファインズを

ミックスしたような、

 

魅力的な容姿をしているが、

 

 

演技が雑なように思え、

 

 

 

マイルズの彼女

マデリーン役を、

 

ヴァージニア・マドセンが

演じていて、

 

 

まだ20代そこそこの

彼女が、

 

黒のドレス姿でチェロを

弾いたりするあたりは、

 

 

キラキラ感満載で、

 

 

ラフマニノフの

『ヴォカリーズ』など、

 

一緒に演奏したくなったが、

 

 

彼女の演技には

抑揚がないように思え、

 

 

 

マデリーンの友人ビル役を、

 

マックスウェル・コールフィールド

が演じていたが、

 

 

60年代のキャラクターが

混入しているようで、

 

場違いなように思え、

 

 

 

ため息をつきながら

“まったく困った○○だね”

 

という演技をさせると秀逸な、

 

ミリアム・マーゴリーズを、

 

 

劇場のチケット売場で

見つけた時には、

 

唯一、安心できたのだが、

 

 

 

相対的に見て、

 

キャストが力量不足

なのは否めず、

 

 

 

もし、マイルズ役が

トム・ハンクスなら、

 

もっと本気でエドガーと

話ができたはずで、

 

 

 

ビジュアル同様

セリフも作り込まれているのに、

 

登場人物に魅力がないのは、

 

 

現在なら

そんな必要はないが、

 

 

80年代にここまでの

ハイテクを、

 

観客に理解させようと、

 

 

ハード面と、その伏線

ばかりに力を入れすぎて、

 

 

心理描写がないがしろに

されているためのように思え、

 

 

 

なぜか、

 

童話がキーワードとして

多用されているうえに、

 

 

遊園地のシーンで

“ピノキオ”のおもちゃが、

 

潜在意識に訴えるように

映し出させれるので、

 

 

音楽会社の

ヴァージン・レコードではなく、

 

ディズニーが制作していれば、

 

 

興行的な成功に繋がって

いたようにも思われ、

 

 

 

“ピノキオ”のおもちゃが、

 

人間になりたいエドガーを

象徴しているのであれば、

 

 

エドガーが突然、

 

あっさりとマデリーンから

手を引くのではなく、

 

 

 

映画「A.I.」で、

 

デイビッドが

ブルー・フェアリーに、

 

思いを募らせたほどまでとは

言わないが、

 

 

コメディの枠内で、

 

エドガーの切実な気持ちは

表現するべきで、

 

 

 

“音楽”というエドガーとの

接点を利用して、

 

 

マデリーンに、

 

ブルー・フェアリー的な

牽引力も持たせれば、

 

 

それぞれのキャラクターが

 

薄っぺらくは

ならなかったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

薄っぺらいで思い出したが、

 

 

漫画の中の

モートン・ハルケットが、

 

 

ヒロインのために

薄っぺらい漫画の世界から、

 

現実世界へと抜け出して、

 

 

人間になる姿を描いたのが

a-ha『Take On Me』のMVで、

 

 

この作品も、

 

“ピノキオ”をモチーフに

しているとも言えるうえに、

 

 

結局、スティーブ・バロン

監督は、

 

 

のちに、童話「ピノキオ」を

忠実に再現した、

 

映画「ピノキオ」という、

 

 

そのまんまな作品まで

撮っているので、

 

 

よほどの

ピノキオ好きと見えるが、

 

 

 

同じく、彼の作品である

a-haのMV、

 

『The Sun Always Shines on T.V.』

のオープニングで、

 

 

せっかく人間になれた

モートン・ハルケットが、

 

また漫画化して

パニックになり、

 

 

ヒロインの元から

走り去ってしまうという、

 

あの映像を見て、

 

 

寂寥感に襲われたのは

私だけなのだろうか。