「来年は、担任だね」
なぜ、宏樹は知っているのだろう。採用3年目は、担任を持つことになっている。
「不安だし、心配で・・・」
弱々しく、私が返事をする。
「面白そうじゃないか」
「そんなことないわよ、大変なのよ」
「いつかは担任を持たなくてはならないんだったら、早いほうがいいよ」
宏樹の仕事に対する姿勢は、尊敬できる。同い年だが、頑張り屋だということは、普段の会話からうかがえる。しかし、職場が違うのだから、宏樹に理解できるはずもない。人間関係としての教員同士の絡みがもちろん大変になるが、初めての担任というのは、まず生徒と自分との距離がかなり短くなる。大人同士よりもこちらの方がきっと一番、問題に違いない。子供には理屈が通じないから難しい。嫌なことが、きっと増えるだろう。
「うう、ううっ」
と言いながら、両手で顔をおおい、泣き真似をしたら、宏樹が声を出して、笑い始めた。
「これからも同じ年のまま、ずっといたいな」
私がつぶやくと、宏樹は
「えっ」
と発する。私の言い方は、誤解を与える。私が伝えたかったのは大したことではない。
「だって、今が一番、いい年齢のような気がするから。大きな責任はそれほどないし、自由だし」
私は、言葉を付け加えて、分かりやすく宏樹に伝え直した。
「自由かな?」
「そうよ。今は、自分だけの時間がたっぷりあるけれど、これからは、人のために時間を使って、自分だけの自由は持てなくなると思うから」
「それは、自分が工夫しないからだよ。自分のための時間は自分で探すべきなんだ」
「でも・・・」
私には、宏樹の語ることがよく理解できない。
「2人して、自由な時間、つくろうか?」
「え・・・? ずい分・・・」
宏樹が何を言いたいのか、余計にわからなくなり、私は言いかけた台詞を飲み込み、口をつぐむ。
「ずい分、何?」
「何でもない」
「今月は、住宅の仕事が受注されるから、また忙しくなるなぁ。仕事、代わろうか?」
ほら、結局、宏樹は話をはぐらかす。
なぜ、宏樹は知っているのだろう。採用3年目は、担任を持つことになっている。
「不安だし、心配で・・・」
弱々しく、私が返事をする。
「面白そうじゃないか」
「そんなことないわよ、大変なのよ」
「いつかは担任を持たなくてはならないんだったら、早いほうがいいよ」
宏樹の仕事に対する姿勢は、尊敬できる。同い年だが、頑張り屋だということは、普段の会話からうかがえる。しかし、職場が違うのだから、宏樹に理解できるはずもない。人間関係としての教員同士の絡みがもちろん大変になるが、初めての担任というのは、まず生徒と自分との距離がかなり短くなる。大人同士よりもこちらの方がきっと一番、問題に違いない。子供には理屈が通じないから難しい。嫌なことが、きっと増えるだろう。
「うう、ううっ」
と言いながら、両手で顔をおおい、泣き真似をしたら、宏樹が声を出して、笑い始めた。
「これからも同じ年のまま、ずっといたいな」
私がつぶやくと、宏樹は
「えっ」
と発する。私の言い方は、誤解を与える。私が伝えたかったのは大したことではない。
「だって、今が一番、いい年齢のような気がするから。大きな責任はそれほどないし、自由だし」
私は、言葉を付け加えて、分かりやすく宏樹に伝え直した。
「自由かな?」
「そうよ。今は、自分だけの時間がたっぷりあるけれど、これからは、人のために時間を使って、自分だけの自由は持てなくなると思うから」
「それは、自分が工夫しないからだよ。自分のための時間は自分で探すべきなんだ」
「でも・・・」
私には、宏樹の語ることがよく理解できない。
「2人して、自由な時間、つくろうか?」
「え・・・? ずい分・・・」
宏樹が何を言いたいのか、余計にわからなくなり、私は言いかけた台詞を飲み込み、口をつぐむ。
「ずい分、何?」
「何でもない」
「今月は、住宅の仕事が受注されるから、また忙しくなるなぁ。仕事、代わろうか?」
ほら、結局、宏樹は話をはぐらかす。