宏樹は何も語らず、左腕を私の背中に回して私の左肩を抱く。そして、自分の方へぐいと引き寄せる。右手の平で私の左耳をすっぽり包んで、そのまま私の左頬を宏樹の顔に近づけるように両方の手を使って少しずつ、引っ張っていく。宏樹のくちびるが私の顔の前に来る。自然に私が目を閉じる。
 宏樹が私のくちびるを吸う。その瞬間、私の背中から戦慄が斜めに走り、私の左ももの肌に波が押し寄せるように届き、突き抜けていく。びくんと体が反応してしまう。さらに宏樹は自分の顔を傾けると、今度は私のくちびるを縦に吸う。そして、また横に吸う。だんだんと意識が薄れる。宏樹に体をあずけたまま、力がなくなっていく。
 宏樹は助手席に座っている私の体とシートの間に、自分の体をもぐり込ませる。宏樹が助手席に移ってくる。宏樹に後ろから抱かれる形になる。宏樹がキスをやめないので、私は右後方を向きながら首をそらせる。
 宏樹は私に後ろから抱きつき、右手で私の左胸をつかむ。そして、左手は私の右ももの上に置く。そう、新宿で、エレベーターの中で宏樹がしたことを、もう一度繰り返そうとしている。あのときは、扉が開いたので、そこで行動が止まった。きょうは、扉は開かない。
 だが、宏樹は、動きを止めた。私の右手を自分の右手でつかんで、私の腰と宏樹のジーンズの隙間にねじ入れる。宏樹のジーンズのファスナーの所に私の右手を持っていく。
 「ほら、もう準備ができているよ」
宏樹が、内緒話をするようにキスをやめて、私の右耳にそっとささやく。ファスナーの部分が広く硬くなっている。どう答えていいかわからなくて、
 「うん」
とだけ答える。宏樹の太ももが私の両脚の下にある。宏樹が自分の脚を開くと、私の両脚も徐々に開いていく。私が顔を正面に戻そうとすると、宏樹の左手が私の左頬を押してまた、右後方を向かせる。宏樹の口が私の口を捉えて、舌を吸われる。心臓の音が速くなる。キスをしながら宏樹は両腕を交差させ左手も私の右胸をつかむ。胸の下側から両方の胸の谷間に向けて何度も何度も指を使ってなでるように山頂を登りつめて、また山すそへ降りる。
 舌を吸われ、私は声が出ない。そった首がどんどん高く車の天井に向かって上がっていき、のどから声を搾り出す。宏樹の手がセーターの裾から内側に入る。ブラウスもスリップもたくし上げ、私の肌を宏樹の長い指が這う。私の体は、びくんとまた、反応する。