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 私は冬生まれなので、冬が嫌いになれない。確かに過ごしやすい夏が好きだ。冬と夏なら、断然、夏をとる。夏は、開放的で心も情熱で満たされる。自由になれ何にでもチャレンジできる気がする。だが、冬も結構、捨てがたい。特に12月の初旬から中旬に向かう今頃がいい。クリスマスに想いを馳せ、どんなイブが訪れるのか、わくわくと待つ、スキップする弾むその感覚がいい。
 高校2年の時、同じクラスの男の子と付き合った。彼と一緒に迎えるクリスマスを思い、息をのみ、12月になる前から夢一杯湧き上がる希望の中で生活した。朝、目覚め幸せをかみしめ、夜、眠りにつく前に彼の顔を思い浮かべ、おやすみをつぶやいた。毎日、教室で出会い、笑顔で話し、家に帰っても、彼の面影はついてまわった。その彼から12月初旬に、終業式後は、翌年まで会えないと言われた。家族と親戚で年越しのスキーに10日も行くと告げられ、私は打ちのめされた。「ひどい、ひどい、ひどい」。
 高校生は、大人が思うほど子供ではない。感情も人前で抑えられるし、人を気遣うこともできる。自分の心と裏腹なことも話せる。彼の前では、多少、残念がった。だが、自分の心が押しつぶされるほど、悲しんでいることは悟られたくないと見栄を張った。家で自分の部屋で1人になったときに、泣いた。心臓がぺしゃんこになったと思うくらい息を吐き、泣けた。「ひどい、ひどい、ひどい」。来年なんて、あるものか。なぜ来年の話をするの? 来年なんてあると思えなかった。ベッドに泣き崩れ、このまま力尽き、命の炎が消えると信じた。2度と起き上がれないはずだ。しかし、歩ける、学校に行ける、つんと澄まして彼と語れ、毎日が過ごせた。
 正月が来て、試験があり、雪が降り、授業を受け、女同士でチョコレートを交換するバレンタインデーが過ぎた。春一番が吹き、気温が上がり、寒い冬が終わった。耐え忍ぶ時間が過ぎ、私はひとまわり大きくなり、1つ歳をとった。冬は厳しく、私に試練を与える季節である。冬は意地悪で容易に私を甘やかさない。彼とは、その後、1年続き、卒業と同時に別れた。
 12月を初旬、中旬、年末まで、一緒に過ごしてくれる、魅力ある男性は、私の一生にあと何人いるのか。宏樹は、どうだろう。多分、違う。両想いではない。4カ月間の私の片想いである。元町の道路にはめ込まれたタイルを見つめ、隣を歩く宏樹の心を読めたら、と思う。