日本山岳会の同好会「緑爽会」会報第163号(令和元年8月号)に「魚沼アルプス」に関するデータを載せていただいた。

紙面の都合で季節ごとに咲く里山の花の情報は今回は見送った。

 

 

 

魚沼アルプス(仮称)伐開の記録と案内

                                               吉田 理一

 

全国各地には○○アルプスと名付けられた所謂「ご当地アルプス」が何箇所か存在する。2010(平成22)12月、品川プリンスホテルでの日本山岳会年次晩餐会翌日の親睦登山は「鎌倉アルプス」で実施された。天候に恵まれ太平洋が望まれる稜線歩きは雪国育ちの私には新鮮に感じられた。反面稜線近くまで開発された霊園や急斜面に無理して造成された宅地に建つ住宅には集中豪雨による土砂災害の危険性を感じた。私の住んでいる豪雪地帯の新潟県魚沼地方では雪崩の危険から考えられない地形での開発である。

日本アルプスは北アルプス(飛騨山脈)、中央アルプス(木曽山脈)、南アルプス(赤石山脈)の総称である。「ご当地アルプス」にはどのようなものがあるかインターネットで調べてみると実にユニークなアルプスが存在する。

ネーミングにも苦労の跡が偲ばれ名前を見ただけでも一度は歩いてみたくなるような「ご当地アルプス」もある。

① 瀬戸内アルプス~瀬戸内海随一の景観が自慢、周防大島(山口県)

② 宇都宮アルプス

③ 湖南アルプス~琵琶湖を見下ろす

④ 金勝(こんぜ)アルプス~琵琶湖の南東、竜王山・鶏冠山

⑤ 沼津アルプス

⑥ 多紀アルプス~兵庫県篠山市の北、多紀連山 

⑦ 湖西アルプス~富士山・三河湾・浜名湖の展望

⑧ 観海アルプス~熊本県天草

 

 山の木一本切るのにも大変な手続きを要する今日、現地で山の所有者を丹念に探し里山を切り開いて登山道や道標を整備して下さっている方々が作られた新しい縦走路をいつしか「魚沼アルプス」と呼ぶようになった。

 私自身はこの作業に一切加わっていないので詳しい伐開の記録が分からないでいた。地元の山岳会「みちぐさ山の会・ハイキング部」の機関紙「ハイキングだより277号」(201610月号)に井上信行さんが「魚沼アルプス(仮称)・新道開拓記」と題して貴重な記録を載せていただきましたので引用させていただきます。

『地元のHさんがコツコツと始めた、YさんとHさんが加わり3人になった。少しでも力になればと私も参加、地元の冒険好きなHさんが加わり総勢5名になった』

 

【伐開の記録】

① 桑原山(558m)

     ・桑原山~涸沢山(633m)~トヤノ頭(671m)

           2015530日~1026

     ・トヤノ頭~鳴倉山(579m)

           2015513日~615

     ・トヤノ頭~駒の頭(680m)

           20151221日~1225

     ・駒ノ頭~黒禿山(780m)

           2016513日~731

② 笠倉山水源浄水場~駒ノ頭

           2016618日~83

 

【コース案】

① 鳴倉山ピストン      ② 桑原山ピストン     ③ 笠倉山ピストン

④ 大力山~黒禿山~笠倉山ピストン    ⑤ 鳴倉山~桑原山 縦走(及び逆コース)

⑥ 桑原山~涸沢山~トヤノ頭~駒ノ頭~黒禿山~大力山縦走

⑦ 鳴倉山~トヤノ頭~駒ノ頭~黒禿山~大力山縦走

                   (以上ハイキングだより277号から引用)

 

※参考データ~当地の初雪は例年1120日頃、積雪は平年で約2メートル超、残雪の越後三山を眺めながらの早春と全山紅葉の秋が登山に適する。トイレ・水場無し。旧湯之谷村の名の通り各登山口には公営の日帰り温泉が沢山ある。

関越自動車道小出IC(池袋⇔新潟の高速バス停)から大力山宝泉寺登山口まで徒歩可。

 

※最東端登山口の笠倉山水源浄水場の手前300mには温泉宿泊施設「湯之谷けんぽセンター」がある、ロビーには浩宮様がご学友とお二人で平ケ岳に登山された際、宿泊されたと

きの写真が飾られている。

 

 

2019年4月21日   大力山東屋