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音楽、読書、子育てなどなど、@ぺんぎんが日々感じたことをお伝えします。



何年かに1度、ゴジラの映画が公開される。そのゴジラが初めて公開されたのは1954年、ちょうど今年で初代ゴジラから70周年となる。


その初代ゴジラの人間側の主演を務めたのが、宝田明だった。


宝田明はデビューしたてで、ゴジラが映画第3作目だった。大抜擢と言っても良いだろう。


そんな宝田明の生まれてから、現在に至るまでの波瀾万丈の人生が本人の語りと、のむみち(野村美智代)による、背景説明で構成されている。


朝鮮で生まれ、父親の都合で満州で育った明は、終戦後の引き上げで過酷な目に会う。


攻めてきたソビエト兵の発射した銃弾が腹部にうけ、危うく死にかける。


命からがら父の故郷に戻るが苦しい生活が続く、

そして上京してから彼の運命も変わり始める。


知り合いの写真館の主人に東宝のニューフェイスの受験を勧められ、なんだかよくわからないままに受験し、見事合格。俳優としての人生が始まった。


その後、人気映画俳優として活躍するが、ある時、セリフなしで表情を見せる場面でどうしても監督からオーケーが出ない。共演していた先輩女優にも助けを求めるが"もったいないから教えてあげない"とにべもない。  


なぜ教えてくれないのか、疑問と怒りが渦巻く中、やっと監督からオーケーが出た。


それから20年経って、その時共演していた先輩女優と電話をしているときにこの映画の話になった。


先輩女優は、決して意地悪をしていたわけではなく、彼が自ら体得してほしいと言う気持ちからわざと突き放したようなことを言ったのだ。


その女優の名は高峰秀子と言う。作品は林芙美子の放浪記。問題の場面は芙美子役の高峰秀子が原稿料で買ったおかずを食卓に並べる場面。その時同棲していた売れない作家役の宝田明が無言で高峰秀子を見つめる場面だった。


セリフでは表すことができない表情や仕草で同棲している物書きの女に先をこされた男の心情が表現しきれていなかったのだ。


だから、高峰秀子は宝田明を煽るような言葉を発したのだ。


その他、映画監督黒沢明のゴルフ場でのエピソードや、1ミュージカルとの出会いなど、大いに楽しめる。


加えて、構成の"のむみち"による、時代背景、登場してくる人物のプロフィール、出演した映画の解説がとても詳しく、宝田明の映画俳優としての全盛期を知らない私でも十分に楽しめる内容になっているし、映画の歴史にも詳しくなれた気がする。


写真もたくさん掲載されていて、これで文庫版で1200円はとてもお得だ。