プチプチプチプチ。
しんと静まり返った室内に携帯の操作音だけが響く。
間宮晴香は神様を探していた。
神様といっても所謂宗教の類ではなく
今日の晩御飯をおごってくれる誰か、神様を探していた。
高校を卒業して以来、半分ニートのような生活を送り
仕事帰りのサラリーマンにたかる毎日。
半分援助交際なのだが、今の彼女にとって
これ以上都合の良い“シゴト”はなかった。
後ろめたさなんて、とうの昔に忘れてしまった。
なかには、晴香自身の身を案じてくれる人もいたが
彼女にはどうしてもその優しさが理解出来ず
その好意を受け取る事はなかった。
「私ってそんなに不幸に見えるのかな」
確かに今の自分は幸せとは言えないかもしれない。
しかしそんな事すら、晴香には物語の前振りのように思えるのであった。
楽天的と言えばそれまでなのだが
ある種の自己中心性が彼女の支えなのかもしれない。
「あ~、キタキタ!神様光臨!」
“はじめまして。しちじにごたんだで。くろのぼうしをかぶってます”
「ん~、でもこの人オヤジ?携帯慣れてないのかな。電報みたいだし、あは。
え~っと、オッケーです。赤いバック持ってるのでメルアド教えてくださいっと」
携帯を閉じると急いで身支度を始める。
さっきからお腹がぐ~っと悲鳴をあげているのである。
「お風呂に入る時間は・・・ないか」
バックの中からrush2を取り出し、これでもかと身体に降りかける。
「ゴホゴッホ」
これから食事に行くというのにもかかわらず、いつもより多目の香水は
別に体臭が気になるという訳ではなく
「軽い女」を演じる上での必需品としての役割だった。
「オヤジのイメージするJKにならなきゃダメだからね。
変にリアルにするとかえって疑われちゃうんだよね。バッカみたい」
支度をしながら晴香は今日これから会うであろう神様の事を考えていた。
あんまり慣れてる感じはしなかったけど、今になってどうも引っかかる。
会うと決める前から一方的だったし。
背中を押したのは空腹だ。
「ま、せいぜい援交止まりでしょ。最悪、シャワー入ってるうちに逃げちゃえば良いし」
鏡の前で慣れた手つきでピアスを付けると
鍵をひょいっとすくい上げ、玄関から飛び出した。
「さむ~い。ぜんぜん昨日と違うじゃん」
走りながら晴香は、少し後悔していた。
それが、コートを置いてきてしまった事なのか
風変わりな神様のせいなのか、彼女自身解らなかった。
秋風の中、走り抜ける晴香の後を
透明感のある香りだけが漂っていた。
しんと静まり返った室内に携帯の操作音だけが響く。
間宮晴香は神様を探していた。
神様といっても所謂宗教の類ではなく
今日の晩御飯をおごってくれる誰か、神様を探していた。
高校を卒業して以来、半分ニートのような生活を送り
仕事帰りのサラリーマンにたかる毎日。
半分援助交際なのだが、今の彼女にとって
これ以上都合の良い“シゴト”はなかった。
後ろめたさなんて、とうの昔に忘れてしまった。
なかには、晴香自身の身を案じてくれる人もいたが
彼女にはどうしてもその優しさが理解出来ず
その好意を受け取る事はなかった。
「私ってそんなに不幸に見えるのかな」
確かに今の自分は幸せとは言えないかもしれない。
しかしそんな事すら、晴香には物語の前振りのように思えるのであった。
楽天的と言えばそれまでなのだが
ある種の自己中心性が彼女の支えなのかもしれない。
「あ~、キタキタ!神様光臨!」
“はじめまして。しちじにごたんだで。くろのぼうしをかぶってます”
「ん~、でもこの人オヤジ?携帯慣れてないのかな。電報みたいだし、あは。
え~っと、オッケーです。赤いバック持ってるのでメルアド教えてくださいっと」
携帯を閉じると急いで身支度を始める。
さっきからお腹がぐ~っと悲鳴をあげているのである。
「お風呂に入る時間は・・・ないか」
バックの中からrush2を取り出し、これでもかと身体に降りかける。
「ゴホゴッホ」
これから食事に行くというのにもかかわらず、いつもより多目の香水は
別に体臭が気になるという訳ではなく
「軽い女」を演じる上での必需品としての役割だった。
「オヤジのイメージするJKにならなきゃダメだからね。
変にリアルにするとかえって疑われちゃうんだよね。バッカみたい」
支度をしながら晴香は今日これから会うであろう神様の事を考えていた。
あんまり慣れてる感じはしなかったけど、今になってどうも引っかかる。
会うと決める前から一方的だったし。
背中を押したのは空腹だ。
「ま、せいぜい援交止まりでしょ。最悪、シャワー入ってるうちに逃げちゃえば良いし」
鏡の前で慣れた手つきでピアスを付けると
鍵をひょいっとすくい上げ、玄関から飛び出した。
「さむ~い。ぜんぜん昨日と違うじゃん」
走りながら晴香は、少し後悔していた。
それが、コートを置いてきてしまった事なのか
風変わりな神様のせいなのか、彼女自身解らなかった。
秋風の中、走り抜ける晴香の後を
透明感のある香りだけが漂っていた。