青藍山研鑽通信

青藍山研鑽通信

作曲家太田哲也の創作ノート

よろしければ太田哲也ホームページ もあわせて御覧下さい。

縁日の見世物小屋でも覗くつもりでお気軽にお越しいただければ有り難いです。

試聴用サンプルをクリックしていただくと、ひゅうう、どろどろどろと不気味な音が流れてきますよ。

小さなお子さんたちは大人の人と一緒に見てくださいね。

この度、久々にライブを開催する事となりました。
体調は日々、悪化する一方で、首から真鍮の塊をぶら提げた滑稽な格好で皆さまにお目見えするのも最後になると思います。
これまでの半分ぐらいの短いパフォーマンスとなりますが、お越しいただければ幸甚でございます。

 福岡県立美術館喫茶室において、2023年12月3日14時より、小さなライブを開く事と相成りました。サキソフォーンとピアノによる二重奏、カタロニア地方のクリスマスキャロルである「鳥の歌」「聖母の御子」を中心に、美しい曲からそうでない曲までいろいろとご用意して皆さまのご来場をお待ちしています。見るは法楽、見られるは因果・・・、御用とお急ぎの無い方は是非ご来場ください。

 ところでこちらのサイトで音楽史についての与太話を書き始めました。決して面白いものではありませんが、お暇でたまらない方はよろしくお出で下さい。
                     

                    2923・11・26
福岡県立美術館喫茶室ライブ 解題

水の流浪第三集より 水に溶けるタンゴの調べ  (太田・哲也)
 風に震えるタンゴの調べが夕闇に染まり、やがて流れる水に溶けてゆく。果たして書きたかったものはタンゴの調べか、あるいはすべてを呑み込んでしまう水の不思議さか。

鳥の歌   (カタロニア古曲)
 まだ若い頃、毎日山中をさ迷うように歩き回りながらこの曲を編曲した。鳥の声、風の音、草葉を踏みしめる自分の足音、そして自分の内側から響いてくる鼓動・・・。そこに在るすべての音が固有の速度を持ち、複雑に絡み合って、やがて重層的な一つの響きとなる。実はこの編曲はまだ完結してはいない。演奏の度に変化してゆく作品。多分自然を描いた作品に完結などないのだろう。

ユーモレスク   (アントン・ドヴォルザーク)
 滑稽?気まぐれ?ユーモレスクという言葉の意味を問うならば、大方そういう事になるのだろうか。しかし渡米後のドヴォルザークの作品にはどれも強い望郷の念を感じる。晩夏の光に溶け込むようにその哀愁を表現できればどんなに嬉しいだろうか。

組曲エスパーニャよりタンゴ   (イザーク・アルベニス)
 高貴な天才にして大法螺吹きのアルベニス。はったりだらけの彼の自伝はともかくも面白い。そして今回お聴きいただくのは自らの人生を豪快に彩ろうとしたアルベニスが書いた吐息のようなタンゴ。隠しようのない繊細さが胸を打つ。 

ぺリアスとメリザンドよりシチリアーノ   (ガブリエル・フォーレ)

 どろどろの三角関係などといってしまえば身も蓋もないが、ともかくそこに描かれるのは若き王子ぺリアスと、素性の知れぬ少女メリザンドとの悲恋。これから自分らの身に降りかかる悲惨な運命も知らず、泉で無心に戯れるぺリアスとメリザンド。その邪気のない姿はあまりに哀しい。

グリーンスリーブス   (イギリス古曲)

 混沌から音は立ち上がり、時間というものに磨かれ、ついに輝かしい旋律となってゆく。その事を強く感じさせてくれる古曲がこのグリーンスリーブスだ。この旋律は強い。われわれがいかに手荒く扱おうともいささかも輝きを損ねる事はない。