今年度は、私がこれまでずっと避けてきた日本の政治の在り方について、記事を書いています。もちろん政治や経済は素人です。素人でも有権者ですので我が国の政治の在り方について自分なりの意見をまとめながら発信しています。1億人くらいいる日本の有権者の中の一人の意見としてご覧いただければと思います。

 

1 生命の基本的欲求

 春先になるとよく目にするモンシロチョウ。つがいの2頭が菜の花畑の中を楽しそうに乱舞している。その菜の花も春風に吹かれ舞い踊っている。やがて、花粉を交配させ菜種となる。渡り鳥のつばめも遥か南方よりやってきて巣をつくる。

 みな生き生きとしている。子孫を残したいという生命本来の欲求が満たされているからだろう。

 

2 出生率の主語

 では、人間社会はどうだろう。海外のことはよく分からないので日本国内をみてみよう。休日の公園に行けば小さな子供を連れた夫婦が幸せな時間を過ごしている。しかし、年々子供の数は減少している。

 

 具体的には、令和5年度の出生率は1.2人。これは「一人の男性が一生のうち女性に産んでいただいた子供の数」である。確かにこれでは人口減も致し方ない。

 

 一般に出生率の説明では「一人の女性が一生のうちに・・・」という表現になるのであるが、男性も子孫を残す主体であるのでこのような表現にした。また、「日本社会」を主語にすると「日本社会が一組の男女に産んでいただいた子供の数」という表現になる。主語は女性だけではなく、多面的視点が必要だ。

 

3 出生率の低下の要因

 本来人口を維持するには、少なくとも出生率が2.0人でなければならない。ではなぜ、1.2人まで落ち込んだのか。様々な要因があるであろう。ここでは2点指摘したい。基本的には女性への配慮と若者への配慮のなさである。

 

 ひとつは、価値観が多様化し、現在は女性も男性と同等に働くことが一般的になっている。当然、職能の向上を目指したいであろう。しかし、女性にとって出産は肉体的にはもちろん、経済的にも大変な不利益が生じる。出産による職能の停滞と生涯賃金の格差だ。出産さえしなければそのような不利益を被ることはない。

 

 もうひとつは、結婚したくてもできない賃金体系である。結婚するしないは価値観による。でも、モンシロチョウのように菜の花畑で乱舞するように、伴侶に恵まれ子孫を残したいという男女も多いはずだ。生命としての当然の夢だ。

 

 でも、その夢は拒まれてきた。就職氷河期に採用を絞り、その後非正規雇用を導入。当然婚姻率も下がる。また、大学進学のために奨学金を借りた。就職してから返済が終わるまでには30歳を過ぎている場合がある。借金がある状態で結婚は望まない。貸与型奨学金は婚期を逃す仕組みだ。

 

4 対策はどうあるべきか

 ひとつは、出産と育児をしやすく不利益を生じさせない社会にする。

 高校や大学を卒業して仕事に就くのは20前後からである。一般的に20代は仕事を覚え職能を成長させる時期であるが、男女とも出産と育児を優先させたい。職位や賃金で一切不利益を生じない制度が望ましい。また、復帰後の職位と賃金は保証する。詳細は北欧のスウェーデンの制度が参考になる。企業まかせではなく国が動くべき。

 

 結婚したい人が結婚できる社会にする。

 日本の国内総生産は令和5年で約600兆円である。国民を1億2000万人とすると一人当たり、500万円である。一組の男女が一人の子供を産むことにより、毎年500万円の国内生産が期待できるのである。

 

 だからこそ、今は不景気かもしれないが国家も企業も株主も、若者が結婚できるだけの社会を実現できるよう制度を整えるべきと思う。企業と自民党が仲良くなり企業の内部留保を蓄えるのはもうこのくらいでいいのではないか。株主も自分の利益が大切だろうが、若者や育児支援に積極的な企業に投資できるような制度が望ましい。

 

 資本主義社会である以上、お金儲けは結構ではある。だが行き過ぎてはだめだ。国民全体、国民の未来という視点を持つべきと思う次第である。金の卵を産むガチョウを殺めてはならない。

 

 

欲張りて 金の卵を 産む鳥を 殺めて悲し 未来萎えゆく