フクイチの3号機核爆発は事実か?政府、東電の見解は?? パート1
東日本大震災直後の2011年3月14日11時01分、東京電力福島第1原発3号機で
起きた爆発を巡って、「水素爆発に続いて核爆発が起こった」との証言が飛び出した。
この発言が日本原子力安全基盤機構(JNES)の元原発検査員によるものであった
ことから「3号機核爆発説」が再び注目を集めることとなった。
3号機の爆発はなんだったのか─。細野豪志原発事故担当相は2012年1月6日
閣議後の会見で、「3月14日11時の3号機の爆発は水素爆発だったというのが
、今のところ政府の統一見解だ」と語った。一方で、「核分裂反応そのものは
自然核分裂も含めて常に起こっている状況には当時はもうなっていた可能性は
ある」とも述べた。
大臣発言でも明らかなように、どんな爆発であったのかは現時点ではすべて「推定」。
事実の解明は、さらに先であることがあらためて浮き彫りになった。
■政府、東京電力は「使用済み燃料プールは事故前の状態を維持」との見解
3号機で核爆発が起こったと証言したのはJNESの元原発検査員である藤原節男氏。
藤原氏の証言を要約すると、3号機の爆発は建屋5階にある使用済み燃料プールで
起きた。
「燃料プールの冷却水が少なくなり、ジルカロイ・水反応で水素が発生。
燃料被覆管が溶けて小出力で臨界状態となり水が沸騰し、プール水面上方で水素爆発。
次にその圧力等の影響で、一気に核分裂の反応度が高まり、即発臨界の核爆発が
起きた」という。
藤原氏が指摘する瓦礫が大量に沈む燃料プールについて東京電力・松本立地本部長
代理は6日午後の会見で、「プールの水の分析では、セシウムが10の5乗ベクレル/立方
センチメートル程度検出されているが、これは空気中に放出された放射性物質がプール水
に溶け込んでいるものと推定している。
使用済み燃料が破損していればもっと濃い状態である」ため、「被覆管等が損傷して中身が
出ているというような状況ではない」とし、これを理由に「使用済み燃料プールに貯蔵され
ている使用済み燃料については、ほぼその状態を維持している」との見解を示した。
経済産業省原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監も同日午後の会見で
「少なくとも去年の4月、5月くらいに調査した段階では使用済み燃料プールに含まれて
いる放射性物質は原子炉側からのものであると推定することが合理的ではないかと
いったことを検討していた」と口を揃えた。
■立ち上る黒煙とキノコ雲、複数回の爆発音はどう説明?
藤原氏は、3号機の爆発が核爆発であったとの理由に、一度炎が出た後、黒煙が上空に
向かって立ち上り、その煙の形状が核爆発時に見られるキノコ雲と酷似している点や爆発
音が3回聞こえた点。
東京電力・松本立地本部長代理は「(水素爆発とされる1号機の爆発に比べ)映像等で
見る限りは3号機のほうが確かに大きかったというふうに見える」と認めた上で、3号機の
爆発が黒い煙だった理由について、「電線に使っている被覆材等が有機化合物であったこと
や圧力容器の底部に制御棒駆動機構や中性子の計測管、信号のケーブルが損傷燃料と
反応して黒い煙を出した可能性がある」と説明した。また、1号機が横に広がる爆発
であったのに対し、3号機は縦に伸びる爆発だった点については、「原子炉建屋上部に溜
まった水素の量がどれくらいだったのかということが爆発の規模の違いではないか」と述べ、
加えて「1号機の原子炉建屋5階と3号機のそれとでは、1号機の方が構造としては薄い作り
になっている」ことが影響しているとの見方を示した。
一方、キノコ雲に酷似した煙の形状や爆発音が複数回あった点については、「解析や評価が
終わっているわけではない」と言葉を濁した。
■即発臨界~核爆発は起こったのか
藤原氏は使用済み燃料プール水面上方で水素爆発した直後、圧力等の影響で一気に
核分裂の反応度が高まり、即発臨界の核爆発が起きたと指摘する。
この即発臨界について保安院の森山対策監は、「(燃料プールには)瓦礫が落ちていて
よく見えなかったというのはあるが、実際には(燃料は)ラックに入っていて臨界管理は
されており、即発臨界のような状況になることは考えにくい」と述べた。細野原発担当相は
、「核爆発という表現自体、非常に抽象的な表現なのでその前提で申し上げる」とした上で、
「3号機の爆発は、建屋の水素爆発であることは紛れもない事実」と強調する一方、
プラントの冷却以前の状況については、「核分裂がなんらかの形で起こっていた可能性が
あるのではないかという指摘はあたっているんだろうと思う」と見解に幅を持たせた。
■事実はいつわかるのか
3号機で水素爆発が起こったこと自体は藤原氏も同じ考えだ。しかし、核爆発も続いて
起こったという可能性はもとより水素爆発であったかどうかも現時点では推測の域を出ない。
昨年5月10日政府・東京電力統合対策室合同記者会見で公開された映像では、燃料
プール内に爆発の影響で破壊された多くの瓦礫が沈んでいるのが見てとれる。
東京電力や保安院の「燃料は無傷だ」とは俄かに信じがたい映像だ。その一方で、藤原氏の
言うように燃料プールで爆発が起こったとすれば、なぜ燃料プールやラックが影響を受けなか
ったのかという点も疑問に残る。
保安院の森山対策監は、「今後廃炉措置に向けて、使用済み燃料プールの燃料を取り出す
ことが最初のステップになり、(使用済み燃料プール内の燃料が)損傷している、
していないかについては確認する必要がある」とし、「水素爆発の経緯については今、
(専門委員等から)詳細に意見をもらっている段階だ」と語った。