他県で受けた手術のあと、わずか半月で転院をさせられた。急性期の病院だから仕方ない

恥骨からみぞうちまで30センチ近い傷口からは、体液が血といっしょに沁みている

季節は真夏

傷口が痛くてブラジャーも出来ない

病院に着て来た服は、着られない

「ムームーみたいなふわっとした服を持って来て」
と、頼んだのに


見せられた服は、まさかのおばさんみたいな服

まあ、確かに傷口には当たらないけど
しかも、わたし車椅子だから服は見えないけど




昨日、衣替えしていたら、箱の底にその服があった
懐かしくなった

暑かったな
転院、心細かったな
あれから転院を繰り返し
病院でわたし死ぬんかな?と、漠然と思った



置いて来た家族のこと、子ども達のことは、考えが回らなかった

自分のことで精一杯だった



いろんな医師に巡りついた

親ガチャなんて言うけどさ

主治医ガチャ。もあるよね?



親を選べないように、主治医も選べない

相性もあるかもだけど

命を掛けた患者から言わせてもらえば「ガチャ」じゃ済まない




今、スマホがあるから自分で調べてイロイロ言う患者もいるかもしれない

海外の論文読んで「これをやってくれ」と言う患者もいるかもしれない

それが出来ない可能性がある
日本で認可されていない薬剤は国内で使えないからだ


夜。

車で病院の近くを通る
窓に明かりが見える


心細い患者の数だけ明かりがある


あの手術からもうすぐ15年
完治しない難病だから
グレーゾーンのわたしだから

今も経過観察
一生、経過観察