祖父が戦死したあと、残された家族は
年老いた曾祖母ちゃんと24歳で寡婦になった祖母、幼い父とその弟

なんとも頼りないメンバー

田植え、稲刈りには、祖母の兄弟が来てくれるけど

普段の畑仕事には、誰もいない
家事をして、子どもの世話をして
畑まで手が回らないから「男衆」「女子衆」と呼ぶ人を何年か置いたと聞く

対価は現金ではなく、収穫する米
現金ないし、米しかないから

わたしが、そのことを知ったのは、
中学生のとき

男衆さんの林さんから連絡が来たのだ

自分も結婚して子どもが生まれた
当時が懐かしくみなさんお元気ですか?
と、達筆な手紙が届いた

林さんは、1人娘の「美奈ちゃん」
を連れて来た

祖母や父、叔父サンは林さんと喜び
わたしたちな美奈ちゃんに喜んだ

年は6歳くらい美奈ちゃんが下だけど
小柄でニコニコしてかわいいの

その後毎年交流があり
1年に1回でも会えて嬉しい
父なんかは
「林さんの助けがあったからの、今の生活」と、感謝していた

悲劇は突然やって来た
美奈ちゃんが亡くなった
突然の病気で。
信じられない

柩の中の美奈ちゃんは、眠っているようで「朝よ 起きて 行くよ」
と、呼べばまんまるな目をパチっと開けそうに見えた


子どもを亡くした親は哀れだ
肩を落とし呆然とする姿は忘れられない

林さんが亡くなった。
と連絡がきたのが
数年前

美奈ちゃんが来た時に、近所の川にホタルを見に行った 
昨夜は娘と孫でホタルを見てわたしは、美奈ちゃんを思い出したのだ

女子衆さんは、学校の先生になり
96歳まで長生きされた

わたしの病気を心配して下さった
多趣味でオシャレなおばあちゃんだった

祖母は105歳
今日も元気にケアに行く
どうもないから、週に何回かしかケアにも行けない

痩せてきつい が最近の口癖

いやまだ43キロ
痩せて?と、わざと大きな声を張り上げるばあちゃんと
「なあも、痩せてない」
と返すおねえちゃんとわたし
「40歳のときより痩せた」
と、ばあちゃん

いや、それ60年以上前の体重だから