短編小説『闇の販売所』~番外編~ -3ページ目

短編小説『闇の販売所』~番外編~

もし、絶対に買えないものが存在したら、あなたは買いますか?
毎回、読みきりの短編になっていて読みやすいですよ。

(クリエイター野亜さんの作品です。)

スズメの涙(第4話)

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埼玉県越谷市

七月にして この暑さ!!

日本国内において・・・最高気温40.9℃のタイ記録を保つ街

俺はホームレス

バブル崩壊後に全財産を失って、それ以来ずっとホームレス


慣れると楽しいもんだ。

家族はいない・・・

朝から仕事と食べ物を探す。

寂しくは ない。

仲間がいる。最近では30代の若いヤツも増えてきた。

増えたものは良い。

でも その分

仕事と食糧が減る。


今日で3日、何も食べてない・・・

「腹減った~~・・・」こう暑いと動くのも辛いな

ん!!
「なんだアイツ」

この暑い中、コートで歩いてる

熱中症で倒れるヤツが多いのに

その男が近づいてきた。

「すみません。この辺りで・・・闇の案内所というお店を
ご存じないですか?」

「闇の・・・案内所?
いや~知らないけど、なんのお店?」

「そうですか?では失礼します」

・・・

本当に失礼なヤツ!

「ちょっ・・・ちょっと、あんた何か食べ物でも持ってないか?
3日間も何も食べてないんだ」

「食べ物・・・・・・ですか。パンならありますよ」

男が持っていたトランクからパンを取り出した。

トランクからパン??

別に気にしないが・・・

アンパンを連想させるパンだった。

「そちらの商品・・・ただでお譲りしますが、どうなっても知りませんよ」

「コレ賞味期限書いてないけど大丈夫?」

「腐ったりしていませんが・・・そのパンを口にすると、12時間以内に
一度だけ・・・

スズメの涙ほどの不幸が訪れます」

「不幸?へぇ・・・・もう失うモノなんて無いんだ」

空腹が勝った感じだ。
久しぶりの食糧

最高に美味しい・・・

男が立ち去ったあと

「不幸なことか」

最近この辺りでホームレス狩りが流行ってる

俺に降りかかる不幸はそれくらいしかない。

「待てこら~!」

「はぁ~はぁ~・・・・」

思った通り・・・襲われてる。

鉄パイプを振り回す3人組

走って走って・・・・・・・

老体にムチ打つ。

以前、同じホームレスが殺されているのを新聞で読んだ。


捕まったら殺される。

クソ!!
こんな目に合うならパンなんか!!

そう思った時・・・


ガッシャーン!!

突然、視界が暗くなtった。

上の方から

「おい・・・マンホールに落っこちたぜ」

「しゃ~ない・・・他探して、焼き入れようぜ!」

なんとか助かった・・・

「いってぇ~」

マンホールに落ちて助かった。
そうか・・・スズメの涙ほどの不幸はコレか。

「イテテテテテ・・・」

あのパン食って無かったらイテテテじゃ済まなかった。

臭いのは我慢して、ゆっくり梯子(はしご)を登りだした。

マンホールから落ちると

ヘタをすれば死んでしまうケースもある。

かすり傷程度でも本当にラッキーだった。

翌日・・・

「腹へった~」

いつもと同じ公園
なんか仕事探さないと・・・


ん?

昨日の男

俺は急いで走り寄った。

「お兄さん!昨日は助かったよ~ありがとう」

「不幸は免(まぬが)れたようですね」

「一つ・・・頼みがあるんだが、昨日のパン、もう無いかい?」

「ありますが・・・」

「あるのか?わけてもらえないかな?」

・・・

・・・


「構いませんが・・・」

「お~!恩にきる」


俺にとっちゃ、幸福のパンだ。

必死になって食べていると男の姿は無かった・・・

あれ?

なんか、お礼したかったなぁ!

一時間ほどして、公園の中央で男が叫びだした。

「ホームレスの皆さ~~ん!仕事ありますよ~~
先着10名まで受け付けま~す」

!?

仕事?

何人かが走り出すのを見て俺も走り出した。

ん?

「おわっ」

ドテン!

いきなりこけた。

「いっつ~」

こんなに早くプチ不幸が来るなんて・・・

公園の前には10人以上が並んでいた。

今回の不幸は、ちょっと痛かったなぁ!

「おい!なんの仕事だったんだ?」

帰ってきた仲間に聞いてみた
「あぁ・・・外に並んでチケット買うだけで1万円」

「なんだと~」


クソ!並ぶだけで1万か・・・

翌日・・・

この仕事を、やらなくて良かった。

『チケット売り場の列に車が突っ込み死傷者8人』


他のホームレスたちも良かった~・・・と口ぐちに言い合った。

また

助かった。


熊谷駅前・・・

一人の男がパンを食べていた。

「幸い転じて福を成す。闇の案内所は、何処にあるんですかねぇ」

そういって、歩き出す。


グニャッ!!

男が何かを踏んだ・・・


「このパン。欠陥商品ですねぇ」


スズメの涙終了

◇次回は花です◇お楽しみに

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