15年前、いとこが、くも膜下で 倒れた。
36歳の働き盛り。
命は、取りとめたが、10年間ぐらいは、意識が朦朧として入院していた。
最近に、なって意識が、時々はっきりするようになったと聞いて、会いにいった。
会った瞬間、私のことを認識し、(髪が薄くなったなあ)と頭を指差して笑った。
彼は、時が止まったかのように15年前のままの風貌であった。
学生時代は、ラグビーの有力な選手で、性格は明るく、勤めてからは、トップセールスであり、皆の憧れの存在だった彼が、そこにいた。
もちろん、長い寝たきりの入院生活で、身体は痩せてはいたし、食事を流し込む管を、腹にさしていたが、内側から湧き出す他を圧倒するパワーは、衰えてはいなかった。
最近ようやく、自分に何が 起こったのかを 理解し始めたという。
彼の姉は そっと私に言った。
(これからの苦しみを考えると、あまり意識が、はっきりしてもらいたくない。いたたまれない。)と。
そう。これから手足が自由にならない苦しみを、味わうのだ。
もう15年もまわりも、本人も苦しんだのに。
今の状態すら奇跡に近いというのに。
しかし、彼はやるだろう。
私の頭髪を見て、プッと吹き出した彼を見て、そう感じた。
器がとてつもなくでかい。

私は クリスチャンではないが、神様は人に色々な試練を与えるが、決してその人が乗り越えられないような試練は、与えないそうだ。
今は、それを信じよう。