これな~んだ?
三朝(みささ)バイオリン美術館の展示物の一つだが、もちろん普通のバイオリンではない。
東洋一のラドン・ラジウム温泉と名高い、鳥取の三朝温泉に滞在して二日目のこと、知人がめずらしい施設に連れて行って下さった。
美術館といってもここは、どちらかといえば博物館か工房のような場所だ。
バイオリンの構造や製作方法、そのための道具、あるいは日本におけるバイオリン製作の歴史などが展示され、実際に職員だか徒弟さんだかがバイオリンを作っているし、一般人も製作体験ができるという。
さて、そんな場所にガラスケースに入って展示されていたこの楽器、いったい何物だろう?
まず気付いたことは、ペグ(弦を巻くネジ)が合計14本もある。普通のバイオリンなら4本だ。
ところが、普通に弓を当てて弾くことが出来そうな弦は5本しかなく、写真では解像度が低くて分かりにくいが、あとの9本の弦は、5本の下に張られている。
下側の弦はどうやって弾くのだろう?
二段になった弓でも使うのだろうか??
さらに目を凝らすと、下側の弦は、上側の弦と違って弧を描くように張ってあるのではなく、平面的に並んでいる。
これでは弓を当てたら、当てられたとして、全部いっぺんに音が出てしまうのでは???
うううぅ~~~
降参して、受付の職員さんに質問した。
その答えとは? 呆れるばかりのおもしろさ! いや、チャレンジ精神だった!!
( ↓ )
「あのう、あそこに展示してある14弦の楽器、なんですか?」
「あ、あれですか」ニヤリ。
「むか~し昔のバイオリンの祖先とか? ピアノの祖先のハープシコードみたいな?」
「いえいえ、あれはですね、うちの社長、ここの館長ですが、社長の作品なんですよ」
「ほう??」
「製作体験教室を開けるぐらいに沢山バイオリンをつくった挙げ句に、いろいろ装飾をつけたり、こんな楽器があったらいいなぁっていうものを創ってみたんだそうです」
「え。オリジナルっていうことです? それで、音はどうやって出すんですか。二重になった弓とか?」
「さあ。出ないんじゃないですかね、音。よくは知らないですけど」
「えぇえ?? じゃあ、楽器じゃなくてただの装飾品なんですか?」
「まあそういうことになりますかね。たぶん」
だそうです。
ナニコレ? おもしろすぎるぅ~!