フランス人が英語を話したがらないというのは、
むかしはよくいわれました。


今ではどうか知りませんが、ぼくが高校生の頃、
ヨーロッパを旅行したぼくの母も、パリの地下鉄で
不愉快な思いをしたと言ってました。

 

ぼくの母は英語がちょっとできたので、フランス人に話しかけたら、
思いっきり馬鹿にしたような目で見られたと怒ってました。

 

ぼくもフランス人はそんなものかと思ってましたが、
何年も経たないうちに、それは「違う」と思うようになりました。

 

フランス人が特別に悪いわけではなく、

英語を異常に話したがる日本人の方が
どうかしてるとぼくは思うのです。

 

そもそも「英語」とか「英会話」という時の「英」の文字が、
偶然とはいえ、イギリスという国に対する日本人の変な思い込みを
助長することになったのではないかと、ぼくは思ってます。

 

これがもしも「映語」だったり、「映会話」だったりしたら、
こんなことにはならなかったのではないかと思うのです。
(大阪万博の時、イギリス館には漢字で大きく「英国」と
 「縦書き」されてました!子供心にあれはカッコいいと思いました。)

 


 

日本人は、海外に出ると

「英語」を話さなければならないような気になりますが、
フランス人にとって「イギリス語」は、

海の向こうの、ちっぽけな島国の言葉でしかなく、
文化的には自分たちこそ、

ヨーロッパ文明の中心にいるという気持ちが強いでしょうし、
フランス人は地中海の向こうに行っても、

大西洋の向こうのカナダに行ってもフランス語で話します。

 

そんなところに、地球の裏側から黄色い奴がやってきて、
片言のイギリス語で話しかけたら、

どんな風に感じるでしょうか?

 

気のいいフランス人なら、

美しいフランス語が話せないかわいそうな人と
思ってくれるかもしれませんが、

気難しいフランス人なら、
「おれに無理やりあの忌々しいイギリス語を

話すように強要するつもりか?」
と言って、怒りだすのではないでしょうか。

 

実際、フランスでフランス人にイギリス語を話すように求めるのは、
フランス人に対して、非常に失礼なことなのではないかと思うのです。

 

日本人は「英語」の勉強に相当時間を割きますが、

フランスに旅行で来てるのに、
フランス語の日常会話さえ覚える気がないとしたら、
フランス人に「馬鹿にするな!」と、

怒られても仕方ないのかもしれません。

 

むかし、英語ができるかなり賢い人が

(英語ができる=賢い人と言ってるのではありません)、
アメリカ旅行をしていて、

労働者階級の人が「英語」を話しているのに驚いている自分が、
つくづく厭になったと、エッセイに書いてました。

 

「英語」を話せるということが自意識に与える悪影響というのは、

相当に賢い人でもどうしようもなかったのです。

 

日本人の、「イギリス語」に対する変な思い込みを

何とかしなければいけないものだと、
ぼくは今でも思ってます。

 

               ※


ようへいのブログ
 

 

 

 

 

 

 

ぼくが高校生の頃、母はフランス、イタリア、スペインと、

旅行しました。

この汚い「ハサミ」はその時のお土産です。

何が違うのかわからないのですが、

今でもよく切れるハサミです。

 

母の話では、スペイン人が一番印象が良かったそうです。

日本人にも親切だったとか。

 

どうしてなのか訊いてみると、

たぶん日本とは戦争してないからだろう、とこたえてくれたそうです。

 

このハサミよく見ると、「TOLEDO」と刻まれてます。

スペインのお土産だったようです。