『海の時間』を聴いて谷山浩子のファンになったぼくは、『ボクハ・キミガ・スキ』以前のアルバムをほとんど同時に聴きました。その頃『お昼寝宮・お散歩宮』までのアルバムが「History of Hiroko Taniyaya」というシリーズになっていて、大きな電器店のCDコーナーに谷山さんのアルバムがきれいに並んでいました。ぼくはそれをごっそりとレジに持っていって・・・随分無茶な、買い方をしたものです。一度にあんなにたくさんのCDを買ったのはあれが最初で、たぶん最後でしょう。アルバムも1枚2枚ならともかく、十数枚となると一通り聞いてみるだけで大変でした。ぐったり疲れてしまったのを覚えてます。

 その時の印象を少し言わせてもらうと、デビューアルバムはアレンジのせいか、いかにも昔の歌謡曲という感じで時代を感じてしまいましたが、2枚目の中の『不思議なアリス』という曲にショックを受けました。「やさしいメアリー 血い吐いて死んだ・・・」、えーーーっ。「そんな歌詞あり得ない」と何回もつぶやいてました。たとえばリアルに血を吐くような歌なら、むかしの森田童子か山崎ハコなら書けたかもしれませんが、こんなに可愛らしくあっけらかんと「血い吐いて死んだ」なんて。こんな歌を作れる人が他にいるのでしょうか。


 昔、五輪真弓の『夕映え坂』という歌を聴いてて、「イナゴの羽音」が出てきて感心したことがありましたが、谷山浩子という人はそんなレベルじゃないですね。『海の時間』の「三葉虫」もそうですが・・・。


 ぼくが一番気に入ったアルバムは知ってる曲が3曲入ってた『水玉時間』でした。『SORAMIMI』、『土曜日のタマネギ』、『まっくら森の歌』。もっとも『土曜日のタマネギ』は斉藤由貴が歌ってましたが、そうだったのかという驚きがありました。「気に入った」というよりぼくにとって聴きやすかったのでしょう。他のアルバムはこれからじっくり聴かなければ、なかなか手強いぞ、という感じでした。