この時期、全国各地の学校で卒業式が開催されていますが、式の中で涙をさそうのものの１つなのが卒業生による『呼びかけ』
これは、どのようにして生まれたのでしょう
卒業式における「楽しかった修学旅行」「私たちは旅立ちます」などの「呼びかけ」は一人の教育者による学校改革がきっかけでした。
その人物とは群馬県出身の教育者で校長だった斎藤喜博（さいとう きはく、１９１１～１９８１年）です
斎藤が学校改革の一つとして、１９５５年（昭和３０年）にそれまでの卒業式とは違う革新的な卒業式を行ったことがきっかけとなり、今の卒業式の形ができました
斎藤は昭和を代表する教育者とも言われ、彼が行った様々な学校改革は後の教育界に大きな影響を与えました
斎藤校長による学校改革が始まったのは１９５２年（昭和２７年）の４１歳の時であり、群馬県佐波郡島村(さわぐんしまむら)の島小学校という小さな小学校に赴任したことがきっかけでした
それまでの小学校に比べて、島小学校には自主性がない生徒、疲れ切った教師が多くいました。
そんな学校の状況を変えるべく様々な学校改革を開始しました
例えば、通信簿の５段階評価をやめる、運動会は子どもたちが計画や進行を行う、合唱を多く取り入れ、大きく元気な声を出す習慣をつけるなどの改革が行われました。これにより明るい子どもたちが増えました
さらに教師の働き方も見直し、教師の休みを取りやすくする、教員会議の終了時間を決める、無駄な仕事をしないなどの取り組みが行われました。
これにより教師たちも生き生きと授業を行うようになりました
そして、斎藤校長による学校改革の集大成が「卒業式」でした
当時行われていた一般的な卒業式は、「君が代」斉唱、教育勅語(きょういくちょくご)奉読、町長祝辞、来賓祝辞など形式的ものが多くありました。
そんな中で、本当の感動が得られる行事にしようとして取り入れたのが「呼びかけ」です。
卒業式の呼びかけは、卒業式を子どもたち一人一人が作り上げる行事にしてほしいとの思いから考えられ、１９５５年（昭和３０年）３月に日本で初めて島小学校で行われました。
その呼びかけの内容は斎藤校長により考えられ、それを子どもたちが演じました。
また、この時の呼びかけには卒業生や在校生のほかに、教師や保護者の台詞もありました
こうして群馬県の小さな小学校から始まった呼びかけは、全国に広まっていき、日本中の卒業式で行われるようになりました。
このように卒業式の「呼びかけ」は、斎藤校長の熱心な教育と学校改革をきっかけとして誕生したものでした。
斎藤先生って、教育者としてとっても偉大な方だったんですね
いつか、この先生がモデルになった朝ドラが観てみたいです