
<ストーリー>
幕末の清水港(静岡)に米屋の倅で暴れん坊の山本長五郎という男がいた。通称清水の次郎長というこの男は酒を飲んで、喧嘩した相手を海に投げ飛ばしてしまう。相手を殺したと早とちりした次郎長はほとぼりを冷ますために一人旅に出る事を決意。
2年経ち清水港に戻ってきた次郎長は、周りの協力を受けながら次郎長一家を立ち上げた。そこに尾張生まれの暴れん坊桶屋の鬼吉、鉄砲鍛冶の倅の関東綱五郎、元侍の槍使い大政、坊主くずれの法印大五朗など一癖も二癖もあるような連中が次郎長の人柄に惚れて子分になった。少数ながらも兵ぞろいの次郎長一家は庵原川で和田島の太左衛門と津向の文吉との喧嘩を見事に仲裁して一家として売り出していく。街道に次郎長の名が聞こえるにつれて身内の衆も増えていく一方、敵対する勢力もはっきりしてきた。そんな中、新たに増川仙衛門、森の石松、追分三五朗、三保の豚松、居合いの小政など強力な面々も仲間に加わってくる。
強きを挫き、弱きを助る侠客次郎長の人生はまさに波乱万丈。喧嘩、裏切り、投獄生活、恋女房や仲間の死などつらい事があっても次郎長一家は決して負けない。そしてついには駿河、遠江、三河の三国にかけて大勢力を築いて海道一の大親分として明治の世まで生き抜くこととなる。
<感想>

上の写真は本物の次郎長一家。前列左から3番目が次郎長親分です。次郎長物は当事者達が生きていた明治から大正、昭和とずっと民衆の間で人気を博しており、伝記、浪曲、噺家などを通して世に広まってきた。広まるにつれて脚色もされるようになって、物語に面白みを出すために作られた人物もいる。この村上元三原作の「次郎長三国志」もそのひとつだ。ただ、これをマキノ雅弘が映画化することにより次郎長と言えば次郎長三国志と言うくらい代表作となった。もし脚色なしのリアルな次郎長を知りたい人は「東海遊侠伝」を読むといい。これは作者が実際に次郎長や子分達に取材して編集したものだから一番信憑性がもてる。
と言ってもこの次郎長三国志もとても面白い。日本で明治、大正、昭和と民衆の心をつかんだ次郎長がなぜ平成の世に伝わってこないのか。昨今のヤクザ事情にもよるだろうが、侠客と暴力団は似て非なるもの。この話は絶対後世に残していきたい話だ。
ちなみにONEPICEの作者尾田栄一郎はこの次郎長三国志が大好きで、最近DVD化された東宝版の次郎長三国志のパッケージデザインを手がけた。ONEPICEを読むと随所に次郎長を感じる事も出来る。また、シブがき隊の「寿司くいねぇ」も浪曲次郎長話の「いいねぇ、江戸っ子だってねぇ、寿司くいねぇ」と言う石松の台詞から来ている。たくさんのものに影響を与えている次郎長三国志ぜひ読んでみてください。
