
<ストーリー>
1929年のハリウッド。サイレント映画の人気俳優ジョージは舞台挨拶が終わり映画館を出たところで記者とファンに取り囲まれてしまう。大混乱の中、自分にぶつかってきた女性に優しく微笑みかけるジョージ。ジョージの優しさに感激した女性は記者たちの前で頬にキスをした。
次の日の新聞でそのことが一面をにぎわせるなか、映画会社キノグラフではジョージが新たな作品の撮影に入っていた。そこに昨日の女性がエキストラとしてやって来る。彼女はぺピーと言い、撮影終了後ジョージの楽屋を訪ねた。そこでジョージは彼女に「女優を目指すなら特徴が必要だ」と言って、アイライナーで唇の上にほくろを描いてあげた。
それから映画界はサイレントからトーキーに移行していくが、トーキー映画に否定的なジョージはサイレント映画にこだわり続ける。しかしトーキーの波に押されて次第に人気も落ちて世間からも忘れられていく。妻もジョージの下を去って行き、残ったのは莫大な借金と愛犬だけだった。そんな中ジョージに救いの手を差し伸べたのは今やトーキー映画で大スターとなったぺピーだった…

<感想>
この作品の監督、ミシェル・アザナヴィシウスと言う人の映画に対する愛を感じれる作品。一般的にサイレント映画で白黒と聞くと当然古臭いと感じる人が多いと思う。人によってはそれだけで見る気がなくなるだろう。自分も最初に聞いた時はその古臭さを感じたのは否めない。しかし、観始めると全然印象が変わった。古臭いどころか、「アーティスト」は21世紀のこの時代でしか創れない最先端の映画だと気が付く。この映画の見所は3つ。
①過去のたくさんの名作映画のオマージュをふんだんに取り入れていること。映画好きの人が見たらこの作品の中にいくつもの名作映画が隠れている事が分かると思う。チャップリン、ヒッチコック、ビリー・ワイルダーなどこれを機会に名作映画を見直したくなるし、もっと知らない映画を見たくなる。
②台詞がないので演技、構図、音楽などで表現する比重が高くなっている。これがまた凄い印象的で面白い。観終わってからも再会するシーン、楽屋のシーン、階段のシーンなどなど頭に強烈に残っている。ちなみに上の写真はぺピーが始めてジョージの楽屋に行った時のカット。「誰もいない楽屋でジョージのジャケットに腕を通す」この仕草だけでぺピーの気持ちが声にするよりも強く心に響く。
③現代と過去の融合。最後は少しネタばれになるが、劇中で音が入るところがある。つまり完全なるサイレントではないと言う事。そしてこの白黒の映像も元々カラーで撮っていて編集の段階で白黒にしていると言う事。そうする事によって綺麗で見やすいコントラストになっている。こういった技術によってアーティストは古いけど新鮮で、懐かしいけど斬新な作品になっている!!
誰でも絶対見た方がいい作品です!!


