†眠り帽子兎で†
[――― は単発的になったものだから、多分直ぐ気がつくから大丈夫よ。チェシャ猫直ぐ移動の準備を]
薄ぼんやりした意識の中で女王の声がした
チェシャ猫が人使いが荒いだのと
文句を言う声も聞こえる
目の上にかかるよう
額に 暖かい何かが置かれていて
うっすら開いた視界の中で
目を閉じて泣いている影ちゃんと
影ちゃんの額に当てられた手が見えた
私はいったいどうしたんだろう?
重たい記憶を辿ろうとした次の瞬間
「アリスさん?お話し聞いてましたか?」
三月兎のはっきりした声ではっとする
そこは三月兎達の家で皆でアイスティーを飲んでいた
椅子に腰掛けきょとんとしている私
手には冷たいハーブティーのコップを握っている
戸惑いながらも回りを見ると
心配そうにする白兎や影ちゃん
そして近づいてきた帽子屋
女王の姿もチェシャ猫の姿もない
「ぁっごめん、聞いてなかった。何?」
私は戸惑いながらも質問に返す
「今、寝てました?大丈夫ですか?やはりお疲れでしょうか?」
三月兎が心配そうにおろおろとしている
「三月兎は手伝わせたお詫びというかお礼に何か弾こうかと聞いてたんだ」
私の様子を伺いながら帽子屋が説明する
言われて三月兎を見ると
手に愛用のバイオリンを持っていた
「あぁ……そうだっけ?ごめん、大丈夫。でもちょっと寝てたかも……」
少し戸惑いつつも答える私
すると
「アリスの…好きな…曲でどうかな?」
影ちゃんが優しい声で話す
「私の好きな?ん~~……あっこの前お城で弾いてたやつが綺麗で好きだった」
「あっあれは私のオリジナルですわ。それにします?」
私と三月兎の会話で皆が頷いた
「私も……何か手伝える?」
いつの間にか白兎が愛用のフォルンを手にしている
「では私に合わせて吹いて頂けますか?」
三月兎が嬉しそうに微笑む
「この前…引いてた曲なら……何となく…覚えてるから……多分…大丈夫だと思う」
自信なさげだがフォルンを見ながら白兎はそう返した
「一回聞いただけで覚えてるって凄いね。私はワンフレーズだけで精一杯だよ」
「アリスさんも十分凄いですわ」
私の言葉に三月兎が微笑む
そうかな?と私は微笑み返した
「でも折角だから牡蠣ちゃんだけでも起きてからにしない?お城で聞いた時大喜びしてたし」
「まぁ確かに聞くなら人数多い方が良いかもな」
私の提案に同意する帽子屋
「では牡蠣ちゃんが起きてからに致しましょう」
少し私を見つめた後微笑む三月兎
「なら待つ間に俺は裏の菜園に行って次のお茶会のお菓子の材料を収穫してくる」
そういって持っていたコップを片付け始める
「あっ私も見たい!一緒に行っていい?邪魔にならないようにするし手伝うから」
「………そうだな…確か熟れ過ぎたベリーが大量にあると思う。ジャムにするのも限界があるから余計な分は皆で食べてくれると助かる」
どうだ?と少し考えた後に帽子屋がそう言った
その提案にその場にいた全員が
待っていたかのように目を輝かせた
帽子屋はベリー類やお茶の茶葉を育てていて
その他自生した檸檬や林檎や桃も収穫して
フルーツティーにしている
白兎も小さな菜園を作っていて
美味しい人参を育てていて
水や肥料等も含め手入れをする必要があるが
規模がまるで違う
それをほぼ一人で切り盛りしているが
主にお茶の葉を摘んだり乾燥させるなど
お茶を作る行程は三月兎が
木の実の収穫や
それを材料にお菓子を作るのは帽子屋だ
育てるのと加工するのはお互いに入れ替わっていて
なんだか不思議で普通逆に見えるが
帽子屋のお菓子は絶品で
材料となる果物もそのままでも物凄く美味しい
お持ち帰り用などのラッピングも綺麗で
いつもトウィードルの双子のために
クッキーやベーグル等のパン類を軽食用に
作っては持ち帰りしやすいように
包んで持たせている
代わりに帽子屋は双子から茸等の食材をもらっている
三月兎はその他にも洋服や小物などを作っていて
私の着ているエプロンワンピースも三月兎のお手製だ
牡蠣ちゃんや眠り鼠の服
さらには女王や王のドレス等も作っている
お茶の加工にはそれなりの待ち時間があるため
その間に洋服や小物を作っているという訳だ
牡蠣ちゃんもお手伝いをしていて
お水をあげたり収穫を手伝ったり
軽い裏地の生地を運んだり探すのを手伝ったりを
自主的に遊び感覚でしている
そして眠り鼠も生地やデザインや
お茶会のメニュー等に困っていると
いつの間にかにゅっと現れこっちがいいとか
これ最近食べてないからこれが食べたい等
必要な時に的確な助言をくれるし毛糸を巻く時にも
寝ながら両手で持って
作業しやすい高さをキープしてくれる
こうやって皆役割があって分担して生活している
私はそれを微笑ましいなといつも思う
(挿絵/Ant-Me)
[――― は単発的になったものだから、多分直ぐ気がつくから大丈夫よ。チェシャ猫直ぐ移動の準備を]
薄ぼんやりした意識の中で女王の声がした
チェシャ猫が人使いが荒いだのと
文句を言う声も聞こえる
目の上にかかるよう
額に 暖かい何かが置かれていて
うっすら開いた視界の中で
目を閉じて泣いている影ちゃんと
影ちゃんの額に当てられた手が見えた
私はいったいどうしたんだろう?
重たい記憶を辿ろうとした次の瞬間
「アリスさん?お話し聞いてましたか?」
三月兎のはっきりした声ではっとする
そこは三月兎達の家で皆でアイスティーを飲んでいた
椅子に腰掛けきょとんとしている私
手には冷たいハーブティーのコップを握っている
戸惑いながらも回りを見ると
心配そうにする白兎や影ちゃん
そして近づいてきた帽子屋
女王の姿もチェシャ猫の姿もない
「ぁっごめん、聞いてなかった。何?」
私は戸惑いながらも質問に返す
「今、寝てました?大丈夫ですか?やはりお疲れでしょうか?」
三月兎が心配そうにおろおろとしている
「三月兎は手伝わせたお詫びというかお礼に何か弾こうかと聞いてたんだ」
私の様子を伺いながら帽子屋が説明する
言われて三月兎を見ると
手に愛用のバイオリンを持っていた
「あぁ……そうだっけ?ごめん、大丈夫。でもちょっと寝てたかも……」
少し戸惑いつつも答える私
すると
「アリスの…好きな…曲でどうかな?」
影ちゃんが優しい声で話す
「私の好きな?ん~~……あっこの前お城で弾いてたやつが綺麗で好きだった」
「あっあれは私のオリジナルですわ。それにします?」
私と三月兎の会話で皆が頷いた
「私も……何か手伝える?」
いつの間にか白兎が愛用のフォルンを手にしている
「では私に合わせて吹いて頂けますか?」
三月兎が嬉しそうに微笑む
「この前…引いてた曲なら……何となく…覚えてるから……多分…大丈夫だと思う」
自信なさげだがフォルンを見ながら白兎はそう返した
「一回聞いただけで覚えてるって凄いね。私はワンフレーズだけで精一杯だよ」
「アリスさんも十分凄いですわ」
私の言葉に三月兎が微笑む
そうかな?と私は微笑み返した
「でも折角だから牡蠣ちゃんだけでも起きてからにしない?お城で聞いた時大喜びしてたし」
「まぁ確かに聞くなら人数多い方が良いかもな」
私の提案に同意する帽子屋
「では牡蠣ちゃんが起きてからに致しましょう」
少し私を見つめた後微笑む三月兎
「なら待つ間に俺は裏の菜園に行って次のお茶会のお菓子の材料を収穫してくる」
そういって持っていたコップを片付け始める
「あっ私も見たい!一緒に行っていい?邪魔にならないようにするし手伝うから」
「………そうだな…確か熟れ過ぎたベリーが大量にあると思う。ジャムにするのも限界があるから余計な分は皆で食べてくれると助かる」
どうだ?と少し考えた後に帽子屋がそう言った
その提案にその場にいた全員が
待っていたかのように目を輝かせた
帽子屋はベリー類やお茶の茶葉を育てていて
その他自生した檸檬や林檎や桃も収穫して
フルーツティーにしている
白兎も小さな菜園を作っていて
美味しい人参を育てていて
水や肥料等も含め手入れをする必要があるが
規模がまるで違う
それをほぼ一人で切り盛りしているが
主にお茶の葉を摘んだり乾燥させるなど
お茶を作る行程は三月兎が
木の実の収穫や
それを材料にお菓子を作るのは帽子屋だ
育てるのと加工するのはお互いに入れ替わっていて
なんだか不思議で普通逆に見えるが
帽子屋のお菓子は絶品で
材料となる果物もそのままでも物凄く美味しい
お持ち帰り用などのラッピングも綺麗で
いつもトウィードルの双子のために
クッキーやベーグル等のパン類を軽食用に
作っては持ち帰りしやすいように
包んで持たせている
代わりに帽子屋は双子から茸等の食材をもらっている
三月兎はその他にも洋服や小物などを作っていて
私の着ているエプロンワンピースも三月兎のお手製だ
牡蠣ちゃんや眠り鼠の服
さらには女王や王のドレス等も作っている
お茶の加工にはそれなりの待ち時間があるため
その間に洋服や小物を作っているという訳だ
牡蠣ちゃんもお手伝いをしていて
お水をあげたり収穫を手伝ったり
軽い裏地の生地を運んだり探すのを手伝ったりを
自主的に遊び感覚でしている
そして眠り鼠も生地やデザインや
お茶会のメニュー等に困っていると
いつの間にかにゅっと現れこっちがいいとか
これ最近食べてないからこれが食べたい等
必要な時に的確な助言をくれるし毛糸を巻く時にも
寝ながら両手で持って
作業しやすい高さをキープしてくれる
こうやって皆役割があって分担して生活している
私はそれを微笑ましいなといつも思う
(挿絵/Ant-Me)