†お城へ†
帽子屋特製の果実を思う存分食べて
いつの間にか起きて混ざっていた牡蠣ちゃんと共に
三月兎と白兎の兎コンビによる1曲だけのつもりが
牡蠣ちゃんリクエストで
ミニコンサートになった音楽会を堪能して
早めに白兎と影ちゃんと共に眠り帽子兎を後にする
「それにしても牡蠣ちゃん大興奮だったね~~」
「良く……寝たから……じゃない…かな…?」
私の呟きに影ちゃんが答える
「それはあるかもね~~。てか本当にいつ起きてきたんだろ?」
私が続けて独り言のように問いかける
「アリスが…完熟した檸檬を食べて……帽子と…何か話してた時……だと思う」
白兎がそれに答えてくれた
「あぁ~~あの時。ちょっと予想外の出来事があって余り周りを見てなかった時だね」
そう答えながらその時のことを思い出した
完熟して良い香りを放っていた檸檬を
帽子屋にとってもらって食べたのだ
ローズヒップのようなまろやかな酸味は平気だが
檸檬のような強い酸味は大の苦手だ
そのため普段は口にしない檸檬だが
完熟したら甘いのかと思っていた
確かに完熟の檸檬は
コクのある甘味はあったが酸っぱい
普通の柑橘類を食べるように食べた私を
本当に平気かと心配して見ていた帽子屋が即座に
カモミールティーをくれたからどうにかなった
棘の無いまろやかな味で口の中の酸味を消してくれる
それでひとつ食べきれたのだ
「そう言えば……白兎のその葉っぱ……どこで拾ったの?」
「その先の……森……」
影ちゃんと白兎の会話だ
こうして聞いていると間の空け方や
口調がとてもよく似ている
でも白兎は回りをよく見ていて耳もいい
影ちゃんはおっとりしていてゆっくりペースだ
でも確実に違うのは
白兎はだいたいが前向きなことを言うのに比べ
影ちゃんは後ろ向きなことを言うのが多い
普段の会話にはほとんどでない違いだが
何となくそんな気がする
そんなことを考えていると
白兎が葉っぱを拾った
風変わりな生き物達が住む森の入り口がある
森はひとつだがいくつかのエリアがあるようで
ここもそのひとつ
入り口には表札があって
何の森と呼び名があるようだが
私は英語は苦手で読めない
だから個人的に風変わりの森と呼んでいる
そこをしばらく歩くと
「あれ…なんの…木の実だろ……?」
密集している木の実を見上げて影ちゃんが言った
「ん~~?どれ?あっあれ団栗じゃないかな?1つの木の実じゃなくて」
私が目を凝らしてみる
すると白兎が
「あっち側の……地面に……一杯落ちてる…よ…?」
木の反対側を覗き拾った団栗を見せる
「本当だね。さっきは気がつかな…お…?こっちは胡桃じゃないかな?」
話の途中で私も違う木の下に落ちていた胡桃を見せる
「こっちにも……あっちにも落ちてる…ね…」
影ちゃんが踏まないように拾い避けながら
私と白兎の間に来る
「せっかくだから拾ってこうか?何かに使えるかもしれないし」
私の提案に二人は頷いて
私と影ちゃんはスカートを使って
白兎は持っていた葉っぱを丸めて筒を作り
底を手で押さえてそれぞれ拾い集めながら森を進んだ
大分出口に近づいた頃影ちゃんが
「アリス……?スカート……」
「ん?おぉ?さっき引っ掻けたからかな?」
先程纏めた折り目を枝に引っ掻けたせいか
脇が破けてしまっていた
そこに木の実で膨らんだ重みも加わり
裂け目が酷くなりつつある
このまま歩くとますますだ
ついつい拾いすぎて容量オーバーしてしまう
鞄であってもパンパンになるまで物を入れるのが癖だ
「まぁ大丈夫だよ、多分お城につくまではもつと思う」
「でも……あの広い…お庭が…途中にあるよ?」
私の言葉に影ちゃんが心配そうに呟く
あぁ~~そうだったと私が考え込むと
「なら……私が先に行って…袋を持ってくる…アリス達はここで待ってて……?」
と白兎が提案する
「その方が……いいよ。アリス……」
影ちゃんがそれに同意した
「じゃお言葉に甘えてお願いしようかな」
私がそういうと白兎は頷いて走っていき
あっという間に見えなくなった
(挿絵/Ant-Me)
帽子屋特製の果実を思う存分食べて
いつの間にか起きて混ざっていた牡蠣ちゃんと共に
三月兎と白兎の兎コンビによる1曲だけのつもりが
牡蠣ちゃんリクエストで
ミニコンサートになった音楽会を堪能して
早めに白兎と影ちゃんと共に眠り帽子兎を後にする
「それにしても牡蠣ちゃん大興奮だったね~~」
「良く……寝たから……じゃない…かな…?」
私の呟きに影ちゃんが答える
「それはあるかもね~~。てか本当にいつ起きてきたんだろ?」
私が続けて独り言のように問いかける
「アリスが…完熟した檸檬を食べて……帽子と…何か話してた時……だと思う」
白兎がそれに答えてくれた
「あぁ~~あの時。ちょっと予想外の出来事があって余り周りを見てなかった時だね」
そう答えながらその時のことを思い出した
完熟して良い香りを放っていた檸檬を
帽子屋にとってもらって食べたのだ
ローズヒップのようなまろやかな酸味は平気だが
檸檬のような強い酸味は大の苦手だ
そのため普段は口にしない檸檬だが
完熟したら甘いのかと思っていた
確かに完熟の檸檬は
コクのある甘味はあったが酸っぱい
普通の柑橘類を食べるように食べた私を
本当に平気かと心配して見ていた帽子屋が即座に
カモミールティーをくれたからどうにかなった
棘の無いまろやかな味で口の中の酸味を消してくれる
それでひとつ食べきれたのだ
「そう言えば……白兎のその葉っぱ……どこで拾ったの?」
「その先の……森……」
影ちゃんと白兎の会話だ
こうして聞いていると間の空け方や
口調がとてもよく似ている
でも白兎は回りをよく見ていて耳もいい
影ちゃんはおっとりしていてゆっくりペースだ
でも確実に違うのは
白兎はだいたいが前向きなことを言うのに比べ
影ちゃんは後ろ向きなことを言うのが多い
普段の会話にはほとんどでない違いだが
何となくそんな気がする
そんなことを考えていると
白兎が葉っぱを拾った
風変わりな生き物達が住む森の入り口がある
森はひとつだがいくつかのエリアがあるようで
ここもそのひとつ
入り口には表札があって
何の森と呼び名があるようだが
私は英語は苦手で読めない
だから個人的に風変わりの森と呼んでいる
そこをしばらく歩くと
「あれ…なんの…木の実だろ……?」
密集している木の実を見上げて影ちゃんが言った
「ん~~?どれ?あっあれ団栗じゃないかな?1つの木の実じゃなくて」
私が目を凝らしてみる
すると白兎が
「あっち側の……地面に……一杯落ちてる…よ…?」
木の反対側を覗き拾った団栗を見せる
「本当だね。さっきは気がつかな…お…?こっちは胡桃じゃないかな?」
話の途中で私も違う木の下に落ちていた胡桃を見せる
「こっちにも……あっちにも落ちてる…ね…」
影ちゃんが踏まないように拾い避けながら
私と白兎の間に来る
「せっかくだから拾ってこうか?何かに使えるかもしれないし」
私の提案に二人は頷いて
私と影ちゃんはスカートを使って
白兎は持っていた葉っぱを丸めて筒を作り
底を手で押さえてそれぞれ拾い集めながら森を進んだ
大分出口に近づいた頃影ちゃんが
「アリス……?スカート……」
「ん?おぉ?さっき引っ掻けたからかな?」
先程纏めた折り目を枝に引っ掻けたせいか
脇が破けてしまっていた
そこに木の実で膨らんだ重みも加わり
裂け目が酷くなりつつある
このまま歩くとますますだ
ついつい拾いすぎて容量オーバーしてしまう
鞄であってもパンパンになるまで物を入れるのが癖だ
「まぁ大丈夫だよ、多分お城につくまではもつと思う」
「でも……あの広い…お庭が…途中にあるよ?」
私の言葉に影ちゃんが心配そうに呟く
あぁ~~そうだったと私が考え込むと
「なら……私が先に行って…袋を持ってくる…アリス達はここで待ってて……?」
と白兎が提案する
「その方が……いいよ。アリス……」
影ちゃんがそれに同意した
「じゃお言葉に甘えてお願いしようかな」
私がそういうと白兎は頷いて走っていき
あっという間に見えなくなった
(挿絵/Ant-Me)