ザリガニの鳴くところ【読了】 | エンタメがカルシウム

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南部のオースカロライナ。

 

家族に置き去りにされ

 

7歳で湿地にひとりぼっちになったカイヤの物語。

 

7歳から15歳そして19歳さらに23歳26歳と続く物語。

 

クラスメイトの揶揄いにあって学校は1日で逃げた様子。

 

だから今で言う不登校ですね。

 

時代は、ずっと遥かに昔

 

1960年代。

 

湿地についての歴史や成り立ちには

 

南北戦争やらも含まれるからそうとう昔。

 

そういえば貧困DV親父も戦争の犠牲者だったっけ。

 

家族全員に置き去りにされた幼子の母親は“湿地”。

 

 

月に見守られ

 

月と孤独を分かち合いカモメが友達といえば聞こえは良いけども。

 

親友はスーパーの黒人と白人。

(終始、彼女を心配し見守っていた人物で貝や燻製を買ってくれていた。そのため幼子が生計を立てるための場所でもあった)

 

そして、おそらく生物学者となった

 

テイトも含まれるだろう。(釣り人)

 

 

翻訳者の方が、この作品をジャンル分けして特定するのは難しいと“あとがき”により仰ってる。

フーダニットのミステリーであると同時に、1人の少女の成長譚(セイチョウタン)とも、差別や環境問題を扱う社会派小説とも、南部の自然や風土を描いた文学とも捉えることができると圧倒的な学識と語彙力で上手く解説してくださってる。

 

軸となる要素は美と醜、優しさと残酷さを併せ持つ野生。

 

著者の専門は動物行動学。

 

人間の謎の行動についても、

 

ふんだんに動物行動学が盛り込まれる。

 

子を捨ててしまう母キツネ、

 

傷を負った仲間に一斉に襲いかかる七面鳥

 

交尾相手を貪り食うカマキリ。

 

偽りのメッセージを送るホタル。

 

それらの本能はいまだに人間の遺伝子に組み込まれていると。

 

状況次第では人間にも表面してくると。

 

〜〜〜

 

確かに精神科医の樺沢紫苑さんのYouTubeを時折見てると

そのようなことを仰ってる時もある。

 

不安を感じるのも繋がりを持ち群れで行動するのも

猛獣やらな危険と隣り合わせの古代から続く人間の遺伝子に組み込まれた本能で不安は“逃げるか戦うかの合図”だと。

 

不安を感じる脳の部位は扁桃体。(ヘントウタイ)

 

今や殺人犯や医者と弁護士

さらにはお坊さんにも多いと研究者が発表し

有名なったサイコパスも

扁桃体で不安を感じないというから。

 

どっちみち、その設計図(本能)は壊れている若しくは訓練で

そういうことになってると思われる。

 

お坊さんは呼吸による自律神経の操作にも関連してるのかなぁ

 

知らんけど………

 

サイコパスは戦う気も逃げる気もないように見えるから納得

 

殺人犯以外は不安を感じない

 

その様子が

 

堂々と見えて魅力的に映るというから

\脱線せな気が済まんのかワレ/

ねー

 

カイヤはサイコパスではないんだけども

\じゃあ何でサイコパスの話になったん/

ねー

“善悪の判断もここ(湿地)では無用”だということをカイヤ(主人公)は”しっている“と。

 

時には残酷な行動も

 

そこに悪意はなく、拍動する命だけ。

 

そういう意味でのサイコパス性では

 

環境や育ちが

 

物事を地球全体で考えてしまうからだと思うわれるが。

 

人間が作る差別を生み出すヒエラルキーやカースト制度とは

 

彼女は無関係に育ってるからね。

 

その辺のおばさんたちが語る1人で生きてきたから

 

今更誰にも頼れないというものとは明らかに違うわけで。

 

彼女に映る人間も、その辺の動物や生物と変わりがないわけで。

 

洋書なせいか、とにかく前半は読み辛くてたまらなかった。

とはいえ

翻訳者も優秀なのだろう日本語として勉強になった箇所も多い。

日本語として出来上がってる小説と言いましょうか。

 

翻訳で充分に知らない土地の風景が浮かぶ文章描写だった。

 

だから思ったのよ。

 

読み辛いのには洋書というのがあるかなあと。

 

この前のコーリングユーも舞台が海外だったけど

 

著者は日本人で。

 

 

著者は日本人でも

 

海外の人のコミュニティの空気感

 

コミニケーションの言葉使いは慣れないというか……

 

馴染まないというか。

 

自分は想像力に多大なエネルギーを注がせないとならないものが苦手なのかファンタジーも好まないしですね。

 

コーリングユーもシャチたち海洋生物が話し出すクダリはアニメみたいな感覚で観れるけど。研究員のカップルの掛け合いとかは明らかに日本の空気感とは違うわけで。ピンコピンコこないのよ脳のアンテナに。えーん

 

そしてこの“ザリガニの鳴くところ”も

 

先日、半分読んだという途中経過報告では

 

ヘレンケラーのようなタリバン先生も出てこないし

 

暗くて重くて幼児虐待に性虐待がえげつなく辛いと書いたけど

 

〜〜〜

 

ところが………

 

半分以上進んで、あれ?と思う自分を発見。

 

もしかして

 

あのクダリは誤読?て。

 

 

もしかして勘違い?思った描写は

 

酒を飲み母親を殴り殺しかねないとばかり

 

歯止めの効かなくなってる父親が

 

たった5、6歳の娘の幼心にも目にあまり

 

 

全力で親父の暴力を止めに入ったら

 

服を全部脱げと言われて脱がされ

 

露天したお尻を親父がベルトを外し”叩いた”という表現だった。

 

そして母親が雄叫びのような悲鳴をあげたと。

 

 

だからレイプではなく

 

ベルトでオシリを叩いたのかもしれないが。

 

ジャニー喜多川のようにレイプはしていないかも?

\喜多川の話はもうええて/

真顔

 

それでも虐待は虐待にかわりなく

 

母親の気は狂い

 

家を出て行った時は”正気の沙汰ではなかった“という

 

精神疾患を抱えるに充分な理由があるのだけど。

 

読み辛いとはいえ

 

全体的には良作であり

 

どの小説にもない読了感では、ありました。

 

タリバン先生もいないのか!と先日に言ってたけど

 

タリバン先生みたいな人物も登場するから

 

そこら辺から少しの光芒が見えると言いましょうか。

 

湿地の自然描写以外での光芒が、まったくなかったので。

 

カイヤに読み書きを教える人物。

 

ネタバレなしで言うところ

 

湿地に釣りに来ていたテイトという少年………

 

彼の力を借りつつ

 

“湿地の少女”から“湿地の専門家”へと

 

華麗なる転身へ生命力を輝かせてる主人公のクダリからは

 

レビューにもあった”テンポ良くなる部分“なんだと思われます。

 

学校にも行ってない幼児が

 

たった1人でご飯を食べて生きて

 

経済的にも本当の真の意味での

 

自立へと向かっていくのが気持ちがいいですからね。

 

行政にいっさい頼らないで、その全ての衣食住をこなしますから。

 

何度も言いますが始まりは7歳ですよ。

 

とはいえ普通に恋愛のクダリもありますが

 

彼女がブスだったら

 

普通にあるであろう

 

15歳から20歳あたりに垣間見る

 

恋愛パートはありえない気もする。

 

彼女が生命力に満ち溢れ

 

人に見捨てられ自然に育てられ

 

自然人としても美しいことには変わりないけど。

 

ブスではなくて

 

むっちゃ美人なんで笑

 

良くも悪くも雄カマキリは寄ってこないでしょブスなら。

 

誰も近付きたがらない湿地で1人で暮らし

 

謎めいていようとも

 

美人だから成長の糧となる普通はてなマークの恋愛が待ってるわけです。

 

オオカミ少女では爆  笑という噂がたとうとも。

 

思ったより普通の女子学生がするような恋愛に見えたんですよ。

 

もっと酷い目に遭うような気がしてたから

(幼少期の序盤がひどすぎて)

 

 

まあ容姿(器)も生命力の一つともいえますけどね。

 

 

捨てられたり孤独を感じた時に出てくる描写が

 

修行僧みたいなんです。

 

生物学で例えてくるから、どうしても修行僧っぽい。

 

尼さん的な文学観と清潔感があるというか。

 

そこに美醜はありますよ勿論。

 

この物語も女性の神秘性と強さがよく出てました。

 

 

時折出てくる

 

アマンダ・ハミルトンの詩が味噌ですね。

 

前回、実に疑問だったと記録した

 

母親が出てったときの状況も

 

後々、知ることができます。

 

 

母親が一番、逃げたあとも精神を患い

 

”死んだように生きていた“のかなと思わせる内容でした。

 

死んだように生きる。地獄ですね。

 

死ぬも地獄、生きるも地獄という実しやかな説はおいといて

 

“孤独に耐えて生きること”と“怯えながら生きること”は全くの別物だと

主人公が言ってる説もありました。

 

どっちが善悪というわけでなく別物だと。

 

死ぬべき時を決めるのは一体誰なのかというクダリも。

 

これらは、人間の倫理観は置いといても

 

心に強く迫る言葉かと思います。

 

ある人物が殺されたことで湿地の少女が怪しいと容疑をかけられることになるので逮捕されてからの後半は、ほぼ裁判になるのですが、法廷の言葉には湿地のような詩情は無いとも彼女はおっしゃりますね。

 

この小説、洋書ではあるものの

 

日本の小説

 

かの有名な東野圭吾の

 

容疑者Xの献身、白夜行、この辺の空気感もあります。

 

要素配分としてはスパイス程度のものですけども。

 

老人ながら敏腕な弁護士のトムは白夜行の武田鉄矢ですニヒヒ

 

そしてやはり伝記のヘレンケラーかなあ。

 

とはいえ

 

“湿地の少女”の成長譚は、

 

あまり見かけない感じだったかな。

 

著者が動物学者ゆえの文体だったと思われます。

 

幼児の母親層である年齢の現代を生きる自分にとって

 

前半は特に読み辛く感じました。

 

どっちみち、なんだか

 

評価は圧倒的に高く

 

99%の割合で★4から5を叩き出してるので

 

名作にならないわけがない的な雰囲気はあったから

 

読み辛かろうが読了めがけて読んだんですけど

 

昨日、8時から読書、再開したので

 

ページを捲る指が止まらなくなったのは

 

半分を超えた10時あたりからで

 

フローに至るまでは随分と長かったです。

 

なのでフロー入ってからは

 

ページ捲るの止まりにくくて深夜に及んでしまいました。

 

フローになるまでが長いのが洋書所以かと。

 

フーダニットミステリー観点から言うと

 

本当に最後まで犯人がわからなかったし予測つきませんでした。

 

中盤あたりから犯人の予測を立てながら皆さん読んでたと思いますけど……………

 

大抵、外れてたんではないかと思います。真顔←謎のドヤ顔

 

中盤以降の犯人の見立て

 

自分は絶対的な自信がありながら

 

思い切り外しましたしね

 

いや〜鈍感ですわ

 

 

扁桃体で猛烈に不安を感じてる季節な頃合いなので

 

特別に鈍感だったかもしれませんニヒヒいつもは敏感だと言いたげ。

 

 

そうそう、この著者

 

ディーリア・オーエンズさん

 

小説家デビュー作で69歳だそうです。

 

翻訳も友廣純さんも仰ってますが次回作が楽しみですね。

 

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