「ひっ・・・皆見!」
弁当を食べ終わって、思い思いに過ごす昼休み。
自分の名を呼ばれて顔を上げると教室の前方、扉の入り口に大友が立っていた。
「何?」
一緒に話していた龍司とモトも大友の方を向く。
「何って…今日、日直だろう?担任が呼んでる」
うえっと苦い顔をして立ち上がった俺。
「「ガンバレヨー」」という何とも心許ない応援を投げ掛けてくる友人2人に「ちょっと行ってくる」と扉の方を指差しながら言い、大友に近付いた。
「大友サンキュー」
「ああ」
短い返事をし、無表情で教室の中に入ろうとしている大友の腕をとった。
「さ、行こうか?」
にっこりと笑う俺の顔と掴まれた腕を交互に見て、怪訝そうな表情を浮かべる大友。
「助かるよ大友~」
「は?」
「ぜーったい担任、次の授業の教材運ばせる気だぜ?」
ぐいぐい腕を引き歩く俺。
「何でだ!俺は今日、日直じゃ」
ない!…と最後まで言わせずにジロリと大友を睨む。
「姫って呼ぼうとしただろ?さっき…」
思い当たる節があったのか、ギョッとした顔をして、大友は抵抗していた体の力を弛めた。
「あんな大声で…前世組が沢山いる教室で……まだ正体も明かしていないのに………どういうことなんだろうなぁ・・・・カルロ?」
態と大友の前世の名前を呼びつつ、ニヤリと笑う。
「…ってことでペナルティな♪♪」
一瞬言葉に詰まった大友は、反論する機会を失い苦い顔をする。
ひとつ大きな溜め息を吐きながら、大人しく俺の隣に並んだ。
こうやって昼休みに、隣に並んで廊下を歩くなんて初めてな気がする。
昔は、ベロニカだった時は、カルロとよく2人きりで話していたのに、何だか不思議な感じだ。
「こうやって、大友と話すの初めてだな」
「いつもは、騎士共がお前の周りにいるからな」
厭味かよと顔を見れば、大友は、ふっと笑みを洩らして俺を見下ろしている。
「大友・・・・?」
「おかしいと思ったんだ……いつもいつも何か問題が起きる度に、必ず皆見がいて」
「うっ」
それに対して、俺はとても後ろめたい。
最近まで、大友には、自分がベロニカの生まれ変わりであることを隠していた。