Altissima:Baroque Trumpet | チーフ・エディターのブログ

チーフ・エディターのブログ

音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Josh Cohen (Chandos) 96Khz/24bit

バルブが付いている現代のトランペットが現れるまで、1500年ぐらいから1800年ごろまでの結構長い間使われていた所謂バロック・トランペット。比べてみると明らかに長い。長いのでその分多くの音を出せるけれどもバルブ機能がないので出せる音には限界がある。代わりにと言ってはなんだが穴はあいている。もしその出せる音以外を出すにはかなりのリップテクニックが必要になるだろう。作曲家は当然このトランペットが出せる音を知っているので基本的にはそれだけを使って作曲しているのだが、当時のことなのでたまにいる凄腕の、いや凄唇のトランペッターに合わせて作曲をしていた。当時はまだ吹きこなせる人がいたのだろうが、今となってはそもそもバロック、ナチュラルトランペットを吹く演奏者自体が少ない。

 

アメリカ・ワシントン出身のJoshCohenはそのバロック・トランペットのヴィルトゥオーゾとしてその名を広く知られている。英国の大手レーベルChandos Recordからのデビュー作品はHigh Baroque Trumpet Worksということなので、時期としては1680年からバロック終了の目安とされる1650年までのライヒ、グラウプナー、テレマンなどの作品集。

 

この不便と思われるバロック・トランペット、現代のモダントランペットと比べると音が正面に向かって来ない構造なので、音質が柔らかく聴こえる。他の弦楽器、木管と一緒に室内楽を奏でても主張し過ぎないのがいいところ。このアルバムでも調和の取れたアンサンブルとして作品の魅力を表現しており、ひいてはバロック・トランペットのあまり知られていない魅力をしっかりと伝えている。

                         2023-83

 

 

 

 

 

 

 

 

 

via Classic Music Diary
Your own website,
Ameba Ownd