Cantabile | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

塚越慎子 (Octavia Record)  DSD256

2022年デビュー15周年となった日本を代表するマリンバ奏者塚越慎子氏のアニバーサリーアルバム。いくつもの国際コンクールで優勝してデビューした後、2011年にリリースした最初のアルバム『ディア・マリンバ』は印象が強く今でも覚えているくらい。その時に取り上げられていた曲は知っている曲がひとつもない、言ってみればマリンバ・マニアックな構成で力の入ったデビュ盤だったが、今回は皆んな知っている有名曲ばかり。聴きどころは管楽器や弦楽器で聴き慣れた曲をマリンバでどう表現するのだろうかというところか。マリンバは打楽器で持続音が出せないのが特徴なので、そこをトレモロを屈指しながら表現をどうするのだろう。音板の叩く部分を変えたり、マレットを持ち替えたりしながらと、マリンバ用に作られた曲よりむしろこっちの方が難易度高いのではなかろうか、でも高度で技巧的な部分は勿論あるに決まっているけど、何よりセンスがいいんだよなと思いながら聴いていた。録音はDSD録音で再生も最高のDSD256音源を使うと倍音成分もバッチリとカバーされたマリンバの芳醇な音色・響きがスピーカーを通して部屋中に充満するのが素晴らしく心地よい。なるほど「カンタービレ ―歌うように」とはこういうことなんだ。

                         2023-51

 

 

 

 

 

 

via Classic Music Diary
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