LANGGAARD: Symphony No.1 | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Sakari Oramo , Berlin Phil.  (Dacapo) 

Rued Langgaard(1893-1952)ランゴーは同じデンマークのニールセンより28歳年下だが作曲年代としてはほぼ同時代の作曲家になる。世界的な知名度はかなり低いが最近は北欧のアーティストにしばしば取り上げられ、またデンマークでは再評価が進んで演奏機会も多くなってきて注目されつつある。

 

ずいぶんと多作な人で400曲近くを作曲した。活動時期が20世紀前半なので当時の先進的と言われた作曲技法を積極的に取り入れる時期もあったが基本的には後期ロマン派の作曲家だと言っていいと思う。

 

交響曲は16曲も書いたがこの第1番は14歳の時に書き始めて17歳に完成させたという作品で、R.ストラウスを思わせる情景感あふれるダイナミックな作品。5楽章を持ちオーケストラの編成も大規模でかなり力が入っていることが伺える。なんといっても第1番ですから。しかし、力余ってというわけではないのだろうが、その演奏の困難さが仇となって地元デンマークでは嫌われたが、ベルリンで楽譜を見せたニキシュに気に入られてベルリン・フィルにて初演が行われ成功裡に終わったという経緯がある。当時19歳。

 

サカリ・オラモは数年前ウィーンフィルと一緒にランゴーの交響曲2番と6番を演奏・録音しており、これら世界最高峰のオーケストラとランゴーを次々に録音していくのはなかなかすごいことだと思っていたがベルリン・フィルとはそういう縁があったわけだと納得した次第。制作レーベルはデンマークのダカーポ。

 

しかし、早熟な天才というのは音楽の歴史上何人もいるが、いかに他の作曲家の影響を受けていようともこの交響曲が10代の作品というのは驚きでしょう。残念ながら生前は全く評価されなかったが、今になって実はニールセン以上の天才作曲家だったのではないかという声も上がっているくらい。ダカーポレーベルから魅力的な交響曲全集も出ているので一度順番に聴いてみたいという気にさせてくれた。

                       2022-1348