Stradivarius Je Me Souviens | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Alexandre da costa (SonyClassical)96khz/24bit

 

カナダ出身のアレクサンドレ・ダ・コスタは9歳の頃からピアノとヴァイオリンでコンサートを開きプロとしての活動を始めたという筋金入りの神童だった。国際コンクール優勝もいくつもあり、勿論オーセンティックなクラシックレパートリーもこなしてきている一流のアーティストである彼が最近取り組んでいるのはジャンルを問わずストラディバリウスを通してその音楽の持つ魅力、情熱を伝えるという伝道師みたいな活動だ。
 
アルバムタイトルの「ジュ・ム・スヴィアン」の意味は「私は忘れない」という意味のフランス語で、カナダのケベック州の公式モットーとなっている言葉だそうで、このアルバムでは故郷のケベック州で愛されているポピュラー音楽を自ら指揮する地元のオーケストラと組んで演奏している。同じカナダのレーナード・コーエンを始めとして、同じ言語圏であるフランスの大御所歌手であるシャルル・アズナヴール、またどういう関係か解らないがフレディ・マーキュリーまでを取り上げてある。
 
こういうアルバムは多くあるが、これは聴いてすぐ音色の艶やかさ、芳醇さに気がつく。楽器が良いだけでなく演奏も相当なものであるから聴いてすぐわかる。また、実に楽しそうに演奏している雰囲気があって、ああこの人は今、自分のやりたい音楽をやっているんだなという実感が伝わる聴いていて楽しくなるアルバムだった。
                        2022-1350