An unexpected Mozart | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Louis-Noel Bestion de camboulas ( harmonia mundi, Stradivari) 96Khz/24bit

モーツアルトは35年の短い生涯ながら600余りという多くの作品を作曲したが、そのジャンルもオールマイティでオペラ、交響曲、器楽曲だけでなく当時のほぼすべての音楽の形式をカバーしていたと言われる。

 

ここではそんな多才なモーツアルトの楽曲の中から珍しいものばかりを収録してある。例えば、若い頃書いた余りモーツァルトらしくない教会ソナタ、歌手へのお手本、友人たちの為に書いた曲など。あと、『グラス・ハーモニカのための為のアダージョ』K.356なんていう珍しいものもある。アルモニカとも呼ばれるこの楽器、その名のとおりもともとはコップのグラスに水を入れて音程を調整してそれを濡らした指でこするという原始的なグラス・ハープが原型。しかし、これは演奏上様々な不具合があり、例えば毎回水を入れて音程調整が大変だし、汗が入って音が変わったり、何個もあるグラスを倒してしまったらもう演奏できない等など。しかし、どういうわけか100ドル札にもなっている凧をあげて雷が電気であることを証明したりした政治家、科学者ベンジャミン・フランクリンが改良してグラス・ハーモニカを発明して今に至る。その不思議な感じの揺らぎのある音はなかなか魅惑的でモーツアルトだけでなくベートーベン、シュトラウス達もその音色に惹かれたのだろうこの楽器指定の曲を残している。

 

このアルバムでは全く有名ではなくてほとんどが初めて聴く曲だけれどもモーツァルトの恐るべき多面性を知ることができる面白い企画となっている。名門レーベルのハーモニア・ムンディからリリース。

2022-1230

 

 

 

 

 

 

 

via Classic Music Diary
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