ALBENIZ: Iberia (for piano & orchestra version) | チーフ・エディターのブログ

チーフ・エディターのブログ

音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

 

Alicia de Larrocia , Orchestra de l’opera de Paris        (Praga Digitals) 96Khz/24bit

アルベニス晩年の傑作『イベリア、12の新しい印象』は自らがピアノの名手だっただけあり弾きこなすのが難しい曲と言われている。単に難しくて有名というわけでなく、4巻に分けて出版されたこの曲集はスペイン南部の民族音楽的な要素を自然に取り入れてある魅力的なものでモーリス・ラヴェルが管弦楽版を作ろうとしたことでも知られる。

 

この曲集は12曲それぞれがはっきりとした特徴を持っており、またそこそこ長さがあるため全曲80分はかかる。ライブで全曲となると相当な集中力が必要とされるだろう。

 

20世紀を代表するスペインの故アリシア・デラローチャは数回この曲を録音しており、デジタル録音された1987年63歳の時のデッカ版が余裕を持った演奏で決定版とされているが、このPragaDigitalsによってオリジナル音源からDSDマスタリングされて制作されたこのアルバムは、1958年という元録音にも関わらず驚きの音質。既にSACDとしては発売されていたものだが(既に廃盤)、ハイレゾ・デジタルのリリースは初めてなのかもしれない。63歳の時の演奏と違い、35歳のデラローチャの鋭さをも感じさせる、それを若々しいと言ってもいいのだろう、正気溢れる演奏がこんなにいい音で聴けるというのは技術の進歩とリマスタリングの匠の技に感謝するしかない。

2022−917

 

 

 

 

 

 

 

via Classic Music Diary
Your own website,
Ameba Ownd