ああ、だめだ。
これ以上はだめだな。
耐えられない。
詳細な文章描写は脳内のスクリーンに次から次へと鮮明な映像を映し出し、
観る(読み進める)体力を削ぎ落とす。
こんな辛い作品に出会うことは滅多に無い。
読むのは止めてしまおうか。
もう此処までにしてしまおうか。
何度もそう考えた。
それでもショートカットや早回しをせずになんとか最後の幕が降りるまで
やっとの思いで観(読み)終えたよ。
事の裏には因があり
眼前に見えるものが全てではない。
トゥエルブの行動も解を求めようとしたものだったし、
メルキオールもバルタザールも己の内の理の、
最善と思える結果の為の行動をしていただけなのだ。
天才と白痴の血脈はメルキオールとバルタザールの攻防で遂に終焉し、
凄惨な家族の痕跡は炎で炙られ焼かれたその後に、
無垢な白痴となった兄と弟の仲良く遊ぶ二人の傍らに座る母は老婆の姿。
土と砂と埃に埋もれ消える家族の記憶。
跡には何も残らない。
血脈の惨劇は跡形もなく微塵となって消え去るだけだ。
どうしてこの作品を買ったのか思い出せない。
帯があるからそれには目を通したなと思う。
普段だったら最初の数ページを捲って中の文章を読んでいるのに。
怖いもの見たさ?
新しい扉を開く?
自らの興味の幅を広げる?
いやいや、私はもう多分、無理です。