7/6(金)

11時30分那覇空港到着。
空港を出たらすぐ、全ての生き物を焼き尽くすような太陽光に曝される。死ぬ程暑い。絶対に気温70度はあった。

まず空港からちょっと歩いた場所にあるソーキそばの店へ向かう。地図で確認した感じではちょっと歩けば着く感じがしていたが、暑さと荷物の重さも手伝ってバカみたいに遠い。
周りを見渡せば、みんな車かタクシーで移動している。バカ面下げて歩いてる奴なんて一人もいない。世界中で俺だけ。
機内で真後ろの席に座ってたクソガキが、俺の座席をガンガン蹴ってきて、全く落ち着かなかったイライラまで蒸し返してきて、相乗効果で無性にイラついてきた。ずっと小声で「クソボケェ」とか「クソが…」とか呟きながら歩く。世界中で俺だけ。

目的地へと向かう途中、あまりにも喉が乾いて、自販機を探すが、全然見付からない。空港で茶でも買っときゃよかったと後悔。
かなり歩いてやっと自販機を発見。沖縄限定のヘッポコジュースで水分補給。

それでも更に更に歩いて、やっとそば屋に到着。多分1時間ぐらい歩いた。
数ある店の中から何故この店を選んだのかと言うと、ソーキそばに紅しょうがが添えられている写真が、観光ガイドに載っていたから。そのガイドブックには多数の店舗が掲載されていたが、紅しょうがが添えられているソーキそばの写真はその店しか無かった。沖縄っぽくてええやないかと思い、決めた。

喜び勇んで注文し、ズルズルと食いに食う。やっとの思いで店に着いたという達成感で全く気付かなかったが、紅しょうがなんて添えられてなかったということに食い終わってから気付く。
よく見ると、自分の席の真ん前に常設されている紅しょうがのケースが…。セルフかよ…。紅しょうが無しの店やったら空港内にもいっぱいあったやん。死ぬような思いでここまで歩いたのに何の意味も無くなってしまった。


もうええ。胸クソ悪い。こうなったら本島なんかには用は無いんじゃ。さっさと宮古島へ渡ろう。
そば屋の姉ちゃんにどうやって行けばいいのか尋ねると、飛行機かフェリーで行けるとのこと。じゃあ安い方がいいやと、フェリー乗り場までの道を教えてもらい、店を後にする。

教えてもらったフェリー乗り場まで徒歩だと30分ぐらいは掛かるらしい。
暑い~ダルイ~と思いつつも歩いていると、ある道路標識に目が留まる。
「漫湖→(コチラ)」。マ×ココチラって…。絶対行くやん。みんな行くやん。沖縄中から男集まるやん。島んちゅがマ×コチューチューするやん。島人ぬ宝ってコレのことやん。
更に驚いたのが、「漫湖」の文字の下に英訳のルビが振られていて、「MANKO WETLAND」だって。マ×コがウェットはアカンやろ。もうすでに濡れとんかい。絶対行くやん。みんな行くやん。日本中から男集まるやんマジに。

そんなことを考えながら歩いていると、フェリー乗り場に近付いてきた。コンビニで沖縄名物だと思われる"さんぴん茶"とかいう、その名の通りホントにドサンピンな消毒液風味の茶と、ライターとタバコを購入。店員がライターをレジに通し忘れたまま会計してた。ラッキー。沖縄に来て初めて嬉しいと思った。

んで、そのドサンピン茶を飲みながら歩いていると、フェリー乗り場に到着。すぐチケット売り場に向かうと、もう腰骨が砕け散るかと思ったけど、何と宮古島行きのフェリーってのは、とうの昔に廃止になってる、と。今は飛行機でしか行けないんだ、と。
マジか…。また空港まで戻るの?ボクちゃんを歩かせるの?
放心状態でボーッとロビーの椅子に沈んでいたら、ホウセンカの種を軽く潰したような顔の、いかにも怪しげなジジイが声を掛けてきた。
インド旅行の時のように、有無を言わさず「NO!」って叫んでやろうかとも思ったが、まぁ取り敢えず話をしてみることにした。
すると、俺が困っていることを知り、親切にも宮古島に住む知り合いに電話して飛行機の運賃を訊いてくれた。片道4000円程度とのこと。で、空港まで送ったる、と。タクシーで1000円ポッキリや、と。
ワレもインド人と同じ姑息な手口かい!と思ったが、もう歩く気力も無かったので、ボッタクリなのか良心的なのかよう分からん金額を支払い、空港まで行ってもらうことに。
車中、ホウセンカが「何で宮古島なんか行くの?本島の方がいいよ絶対」みたいなことをごり押ししてくることに始まり、最終的には「バカなんじゃないの?」的な軽い罵りにまで発展。しんど過ぎて何も言い返す気になれず。車内禁煙やし。あ゙ーもうシーサーに喉笛咬み千切られればいいのに。


色々あったが、空港到着。宮古島までの航空券の手続きをしに行ったら、「只今、夏料金となりますので片道1万円になります」とかいう意味プーなことほざかれた。ふっざっけんなっ!!どないなっとんねんこのボンクラ島はよおっ!!島ごとパイルドライバーして海に沈めたろかっ!!
えー断言します。沖縄人はウソツキです。

いや、ええねん、全然1万円でも。ただ最初に4000円て聞かされてからの1万円は何かイヤやん?
とは言え、どうにもならんので、まぁもう別にどうでもええわと半ばヤケクソで航空券を購入。搭乗が16時30分なので、2時間近く空港で待ち。


17時30分宮古島到着。
レンタカーで移動しようと思ったが、空きが無いとのこと。マジか!?
変な意地でタクシーを使わないと決め、歩くことに。とっとと宿探そう。
歩けども歩けども、死を誘うような暑さと、くっだらないさとうきび畑しかない。
途中、意識が朦朧としてきて、たまたま視界に入った工場の入口に積まれてる石砕の山におもっくそダイブしたい衝動に駆られた。

そんなこんなで、これまた1時間ぐらい歩いて、ようやく市街にある安宿へ到着。
満室だとよ。しかも「この辺の宿はどこも満室だと思うよ」などという耳を疑う台詞まで従業員から飛び出す始末。マジか!?この俺に野宿をさせるってか!?無理無理。ばっちいばっちい、そんなもん。
つーかそれより何より気になったのは、その満室だった安宿(ドミトリーのゲストハウスとか言うらしい)の従業員の女がカワイかったってのと、宿泊客みんなでワイワイしてる感じ。何か分からんけどクソッて思った。

まぁでもそんなこと思っててもしょうがないので、ケータイを駆使して必死で宿探し。やっとの思いで一件、空きがある安宿を見付ける。時間も時間だったので、すぐにタクシー拾って直行。


その宿の従業員のオバサンは何となくホワ~ンとした感じのいい人だった。
宮古島に2日ぐらいは滞在する予定だと告げると、じゃあ2泊してもいいよとのこと。明日の宿は確保出来た。個室で1泊3000円。

一通り手続きを済ませ、近所の食堂でメシ食って、帰ってきてすぐにシャワーを浴びる。
部屋に戻り…何にもすることが無い。部屋にはテレビすら無い。
まぁ酒飲むしかないなとコンビニに買いに行く。一人、部屋でチビチビ飲んでたらモーレツに死にたくなってきた。俺は何をしてるんだ?

あの満室で断られた安宿みたいな感じだったら、話し相手もいるから、少しは気が紛れたんだろうけども、ここはそういう感じの宿でもないからなぁ。
途方に暮れ、そして気が狂いそうになっていた矢先、玄関先でタバコを吸っていたら、同じ宿に宿泊している4人組の女の団体と遭遇。年の頃なら30前後。
すぐさま一緒に飲もうと声を掛ける。向こうはシャワーを浴びに行く途中だったので、自分の部屋番号を教えて、終わったら呼びに来てもらって一緒に飲もうと約束する。
まぁ~深っか~い時間まで待てど暮らせど来る気配も無いわ。…死んでいいっすか?
ふて寝。


本日のセレクト:
・エド&じゃがたらお春「うまくいかない (何もかもは)」
・JAGATARA「みちくさ」「ゴーグル、それをしろ」
・MESCALINE DRIVE「ABSOLUTELY SWEET MARIE」
・RCサクセション「SUMMER TOUR」
・THE STREET SLIDERS「Blow The Night!」「Downtown Sally」
・THE真心ブラザーズ「Let's 感動」「龍巻のピー」
7/5(木)

ビョーキだ。ヤバイぐらい死にたくなってきた。どうしよう。
そうだ、沖縄へ行こう。
じゃあもう車で行っちゃおう。兵庫県から?いや無理無理。
現実的に考えて飛行機。じゃあ航空券取っちゃおう。
はい、取りました。明日出発。

てなわけで明日から沖縄。
今日決めて即、明日から。
初・沖縄、完全一人旅、しかも宿なんて予約してないし、何の予定も立ててなけりゃ、滞在期間なんてナンセンス。
沖縄に何の幻想も抱いてないし。
何で行くのかもよく分からない、現実逃避?
しかも急に思い立ってそういうことしちゃうタイプでも全然ない。

よーし、じゃあまずGジャンの袖をジョキジョキ切って、今来てるTシャツ脱いで、素肌にそれをんしょんしょと着込んで、と。
みんなーいくよー、(5000デシベルの大声で)せーの!!ワイルドだろぉ~?
つーかただぶっ壊れてるだけ。

取り敢えずこの場所に居ても死にたくなるだけだから、どっか行っちゃおうってことなのかな?
のだめよろしく「ワーープ!!」つって。にしても…。

ハイロウズ「胸がドキドキ」+フォークル「悲しくてやりきれない」+泉谷「白雪姫の毒リンゴ」+スチャダラ「GET UP AND DANCE」+電気「N.O.」+SFU「アンチェインのテーマ (入院ヴァージョン)」をジューサーミキサーにぶち込んでグッチャグチャにして、胃袋に流し込まれてるような気分。

まぁいい。
明日は朝早い。寝よう。
岡崎京子の名作「ヘルタースケルター」を数年振りに読んだのだが、以前とは違う読後感だった。

何せ数年振りなので、以前読んだ時にどう感じたかハッキリと思い出すことは出来ないが、主人公の姿や生き様に自分自身を投影して、解ったような顔をしていた気がする。
主人公"りりこ"は、欲に塗れた現代社会のスケープゴートだとか、全人類にとってのミューズだとか、誰もが"りりこ"と同じだとか、妙にシリアスぶった風なことを思っていたに違いない。

今回、改めて読んでみたが、確かにそういった側面はあると思う。
でもボクはもうシンプルに、ヘドが出そうな薄汚ねぇ話だな、と感じた。


数年前とは明らかに違っている。
当時のボクは恐らく、自分自身が何なのかをカテゴライズしないと不安だったのだと思う。
そしてその不安を取り除く一番簡単な方法が、マンガだとか映画の主人公に自分自身を重ね合わせ、俺はコイツと一緒だ!と思い込むことだった。
しかもその対象は悲劇的であればある程、充足感を得ることが出来た。

「俺はオマエ達とは違う」
周囲に溢れる天井知らずのクルクルパー共と俺は決定的に違うんだ!
自分が何なのかも解っていないのに、その思いだけは大きくあった。
「ヘルタースケルター」は、常に抱いていたその思いをそっと肯定し、より強固なものにしてくれた。
そしてその肯定こそが、非力なボクが唯一、間接的にソイツ等の脳天を叩き割ることの出来る手立てに他ならなかった。


今は違う。
周りの状況は数年前と大して変わっちゃいないが、ボク自身が変わった。
もう悲劇的な人生は諦めた。
自分が何かなんて死んでも解らないだろうし、ボクはもう興味がない。

敢えて言うならば、ボクはウンコにすらなれない、ただの道端の石ころぐらいの存在だろう。
だからもう"りりこ"と自分自身を重ね合わせることに意味が無くなったのだ。
もう無理して解ろうとしなくていいんだと思えたからこそ、ボクは道端の石ころの立場から、全く臆することなく、薄汚い話だと思うことが出来た。

だからと言って、「俺はオマエ達とは違う」という思いが消えたわけではない。
寧ろ今でもそれは強く持っている。
石ころには石ころなりのプライドがあるのだ。
ただ、その思いを肯定してくれるのは、あまりにも悲劇的な人生の"りりこ"ではなく、そこいらの石ころみたいな人生の"誰か"なのだろう。


最後に、薄汚い話だとか言ってはいるが、単純に物語としては最高に面白いということは付け加えておきたい。
ヘドが出そうな薄汚ねぇ奴等のオンパレードで最高、ってこと。

あと、"りりこ"に感情移入しなくなったのは確かだが、部分的にかなり共感に近い感情が芽生えた箇所がある。
それは"りりこ"のモノローグである。
岡崎京子の作品はどれもモノローグが秀逸だが、本作では特にそれが顕著だ。

「あたしは絶対にしあわせになってやる じゃなかったらみんな一蓮托生で地獄行きよ」

「私は私を愛するような人間を愛したくはない」

「思いきり思いやりのないことをしてやるんだ 徹底的に」

素晴らしい!