2026. 11  NO.  252   こうしつ VS  こうじつ
  9月中旬森英介衆議院議長がウクライナ議会でロシア「蛮行」と非難する演説を唐突に行った。何のために、衆議院議長が。その森氏は、上皇・天皇を初め国民も異を唱える今般の皇室典範の改正について、だまし討ちのような養子案は「立法府の総意」にはなかったと抗議はおろか釈明すらしていないのでは。側近として麻生副総裁の後述する野望に加担したとしか見られない。

 平和国家を標榜する日本としては、ロシア、ウクライナとも両国の兵士と市民が疲弊しているとして早期の停戦を呼びかけるべきなのに。

 なぜ、この時期に平和を願う上皇・天皇の神経を逆なでさせることをわざわざするのか。

 高市首相が中国習近平国家主席を怒らせ、森衆議院議長がロシアのプーチン大統領を憤慨させる。日本海対岸の核保有の中国、北朝鮮、ロシアのすべてを敵に回してどうするつもりなのか。

 米国頼みだが、高市政権は、対中国強硬と円安容認姿勢を続け、財源が示されず見切り発車の消費税減税が市場の信認を失い、さらなる円安に振れれば、対中国協調と日本への円高要請のトランプ大統領によって、国民より先に、見放されるかもしれない。

 さらに、皇室典範改正で、あの読売まで含め大手4紙を敵に回し、国民からも賊軍呼ばわりされては、高市政権の命運は早晩尽きると見るべきか。

  

      数時間の論議で拙速に可決された「皇室典範改正」案は、「皇族数確保」に関する「立法府の総意」にはなかった「養子の対象を、1947年に皇籍を離脱した旧11宮家の配偶者と子がいない15歳以上の男子と規定。養子本人は皇位継承資格を持たない一方、男性子孫には資格を付与する」を騙し討ちのごとく政府案に盛り込んだことは、YouTubeでは天皇家を乗っ取るクーデーターとも見られている。
 こんな改正に対して、読売、朝日、日経、毎日の全国紙4紙は当然のごとく反対した。賛同したのは産経新聞のみ。しかも、社説には、「女性天皇は『思い付き』にすぎない、養子縁組は『首相直轄』でせよ」と書き、まるで天皇家をないがしろにし喧嘩を吹っ掛けたごとくの発言にて驚くほかはない。
 右派の産経がどうしてと思うが、その背景ついては、6年前に上梓された駄場裕司氏の『天皇と右翼・左翼 日本の近現代史の隠された対立構造』(筑摩書房)が興味深い。
 戦後現人神から象徴天皇になられた昭和天皇とメディアの関係を見ると、著者の駄場氏によれば、昭和天皇は戦後メディアの代表者と会うことは少なかったが、大手4社には会われている。が、県紙の熊本日日新聞社(朝日新聞に近い)にも訪れられているのに、産経新聞社には訪れ代表者と会われることはなかったという。

 また、1946年にGHQから公職追放令が出された折、昭和天皇から公職追放の緩和を求められたのは、東京朝日新聞社論説委員故前田多門(前文相)だけだったという。
 戦前朝日新聞の実権を握っていたのが故緒方竹虎(その後政治家に)で、戦後CIAの協力者としてはポダムと呼ばれた読売新聞の故正力松太郎より重要視したCIAはポカポンこと緒方を首相にしようと工作をするが、総裁選の前に1956年1月緒方は急逝してしまう。左派はCIAの手先として正力を攻撃するが、緒方は攻撃されることはめったになかったという。
 戦後1960年初頭までの朝日新聞の「顔」は、常務取締役兼論説主幹の故笠信太郎だとする。その笠は反米安保闘争のシンボルとして仕立てられたが、実際は笠もCIAの協力者であり、60年安保における、新聞労連や日本ジャーナリスト会議の反米闘争路線に最初から反対していた。そして安保反対の全国紙は右派の産経新聞だったとする。
 これに対しては、双方の新聞社が「不都合な真実」として隠したがっているという。
 また、著者は、別の箇所で、「少くなくとも、1990年初頭まで、産経新聞の『特ダネ』記者の多くが、高給の朝日新聞社に引き抜かれていた事実を、反朝日の読者は知らないだろう」と書いている。
  私は長年毎週週刊新潮を購読してきており(今はそうでもないが)、藤原正彦先生のコラムが終了すると産経OBの高山正之氏のコラム『変見自在』を真っ先に読んでいた。
 1,146回で昨年夏に終了したが、その中で高山氏は「“チキン”マッカーサーとしての見下し」と「朝日新聞叩き」をライフワークとしたかのごとく、この二つをコラムの題材として何度もとり上げていた。ある日、同じ号にこの二つが同時に載っているので、変だと思ったら、何と突然の最終回であった(「ある号のコラム内容が「人種差別発言だ!」と抗議を受けた新潮側が高山氏に休載を申し込むと、拒否し終了へ)。
 私は、「朝日叩き」はともかく、天皇制存続の恩人であるマッカーサーに対してなぜそこまで人格攻撃するのかと怪訝に思っていたが、なんとなく解ったような気がした。

 今般の皇室典範の改正により、1947年に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子を養子として皇室に迎える制度ができた。旧11宮家はすべて伏見宮系統になるという。
 天皇家と共通の男系祖先は約600年前の室町時代、伏見宮貞成親王までさかのぼる。宮内庁は、皇籍離脱時の旧11宮家の男系男子と、今の天皇陛下には「36~38親等の隔たりがあるという。
 そして、天皇家と伏見宮系統とは浅からぬ因縁がある。今回の改正に対して、旧11宮家の人々の間には有難迷惑と思う人も少なくないのでは。
 幕末には、明治天皇を擁立することになる倒幕派に対して、久邇宮朝彦親王(通称中川宮;伏見宮邦家親王の第4王子) が公武合体派の領袖として対峙した。
 日米開戦の折には、大元帥(日本軍の総司令官)であり、統帥権を有する昭和天皇が親英米派で日米開戦を何とか回避したいと思われていたのに対し、ドイツ留学を経て、親独派の伏見宮博恭元帥が、天皇を差し置いて、日米開戦への道を開いたとする。
 当時日本陸海軍皇族軍人45人に対し、天皇の弟宮3人と元々の四親王家の有栖川宮家の3人を除いた39人は伏見宮系皇族だという。とくに、昭和天皇から不信の目を向けられていた陸軍には親独派が多く、親独派の伏見宮博恭元帥に靡いていたという。
 敗戦後伏見宮系皇族11宮家の臣籍降下となる。昭和天皇としては、日米開戦の回避を願っていたのに、東京裁判で開戦の責任を問われることもなしとしない状況に追い込まれたこともあり、11宮家の皇族離脱を当然と思われていたのでは。無理からぬことではある。
 それが、今回愛子天皇誕生を排除し、11宮家の皇族復活とならば、上皇、今上天皇が激怒されておられるとしても、むべなるかなと思う。
 黒幕と見られる麻生副総裁はそれを承知で、自らの野望の為に改正させたのか。昭和初期であれば、産経新聞社、麻生氏に対して、表も裏も怒りに任せて「天誅!」と称して流血事件が起きても不思議ではない。

 “異形の天皇”後醍醐天皇の時から(裏社会の人々にとっても天皇は太陽であり)裏社会ともつながりがあるとされ、いざとなれば敬愛する天皇のもとにはせ参じるとも言われていた。
 駄場氏の上記本のエピローグに載った図2には、倒幕派・天皇派のグループの中に山口組三代目組長故田岡一雄が皇族、政治家らの後に名を連ねている。
 今は時代が様変わりとはいえ、用心するに越したことはないだろう。 
     なお、日本共産党は、皇籍を離脱された伏見宮系旧皇族の側に立って皇室を攻撃し続けたという。ただし、故野坂参三は、スターリンによる「昭和天皇不訴追の決定」には、野坂の助言が一役買っていたという。日本共産党の野坂に対する除名処分は「ソ連のスパイ」容疑だけではなく、これが関係していたと駄場氏は見ている。逆に故徳田球一らはソ連からの支援リストから除外されたとする。
 今の日本共産党は、今回の皇室典範改正については、小池晃書記局長が、皇族の養子となる旧宮家の子孫が男性であれば皇位継承資格を与える内容が盛り込まれたことについて、「今まで何も議論してこなかった中身が盛り込まれた。どう考えてもだまし討ちのようなやり方だ」と批判し、立憲民主党、れいわ新選組、参院会派「沖縄の風」、社民党の4野党と同じく採決に反対票を投じている。女性天皇にも理解を示し、なんと共産党が錦の御旗陣営に立っている。

 共産党の支持率は伸びるだろう。いつも自民党が慢心、驕りを見せた時批判票として共産党の支持率は伸びていることでもあり。それに引きかえ、賛成した国民民主、中道は賊軍と見られ、弱り目に祟り目だ。
 
 皇室数確保を口実にしたと見られる麻生氏の野望について、推察すると、養子を受け入れる宮家としては11宮家のうち実質4家だと言われる。その内の二家は、麻生太郎副総裁の姪である彬子女王(信子殿下の長女)を当主とする三笠宮家と麻生氏の末妹に当たる信子殿下は三笠宮家を離れ、新たな宮家として創設された「三笠宮寛仁親王妃家」。
 母と長女は不仲にて、伯父と姪とは考えが似ており、麻生氏が養子を連れてくれば三笠宮家の彬子女王が受け入れる可能性は否定できない。

 天皇家に近い元首相の細川護熙氏は「高市氏の皇室に対する態度は信じがたい」と批判し、錦の御旗を掲げた。その陣営に、昨年『タイム』誌に世界で最も影響力がある100人の1人として選出された、画家・彫刻家の奈良美智氏がついた。高市首相を「何様のつもりか」と猛烈に批判して。賊軍となった麻生副総裁と高市首相の運命はいかに。 

 

 私は、腹立ちまぎれに、2026年8月号(NO.248 「ういVSうれい」)にて、「近年『権力側』は『権威』側を目の上のナントカ扱いにしていないか。はき違えている。国民が権力者の愚かな言動に愛想をつかしても日本人としての帰属意識を失わないのは、ひとえに天皇家を心の拠り所にしているからに過ぎない。」と書いた。

 鎌倉幕府以降「権威」の天皇から征夷大将軍に任命されて初めて権力者が「権力」を誇示できた。そして武士、農民らが従った。それが国民のDNAに今も刻み込まれていることを劣化した自民党議員は分かろうとしないのか。
 愛子天皇誕生をかたくなに否定してきた産経新聞がこんな調査をしている。FNN世論調査(8/8~8/9)にて「女性天皇を認める(皇室典範)の再改正」に対する回答を求め、78.1%の人が賛成したという。見事なまでのマッチ・ポンプ。産経は一体何がしたいのか。

    憲法第一条に、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とある。 
 GHQは、二度と日本がとくに米国に歯向かわないよう、天皇を現人神から引きずりおとした上平穏に間接支配体制に移行できるよう天皇制を存続させ、天皇から「権力」を奪い「権威」とした。そして、民主主義に基づく「主権在民」に変わったことを強調すべく敢て国民の総意に基づくと入れたと思う。
 しかし、第一条は「権威」たる象徴天皇を国民が選べると解釈すべきではない。国民が選べるのは「権力」側。国民が選んだ国民の代表である国会議員より、内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する 」と憲法第67条に書かれている。選ばれた首相を総選挙で審判できる。
 倒幕派により創始された明治政府は、「富国強兵」を目指し、西洋から先進技術や制度等を積極的に導入したが、西洋の精神的支柱のキリストについては、受け継がず、代わりに天皇を置いた。
 「権威」側は、我々庶民が触れられるモノではない。国民が人気とか世俗の物差しで口出しする対象ではない。

 あのキリストにおいても奇跡が存在するというか、必要なのか。チベット人に生き仏として崇められるダライ・ラマ14世においては、3歳にしてはいかにも聡明だけでは足りず、ダライ・ラマの化身を見つけるためにチベット政府が派遣した捜索隊に対して、度重なるお告げがあり、14世へと導いたとされる。北朝鮮では、建国した故金日成から長男の故金正日への権力と権威との同時継承にあたって、「金正日は(人民の間で“革命の聖山”と知られる)白頭山で生まれた」との神話が用いられた。
 「権威」には、「奇跡」や「神話」が不可欠なのだ。そして、日本の2600年以上続く「万世一系・男系男子」(初代の神武天皇は伝説なので、これも神話と呼ぶべきか)は、上記の「奇跡」や「神話」より、もつ意味は大きいのではないか。

 しかし、麻生副総裁が私欲を持ち出すから、「万世一系・男系男子」が穢れて見えてしまう。権力者の野心や私欲を受け付けないことが最たる長所だったのに。

 天皇は太陽という唯一無二の存在。国民が暗いとき明るく照らす。象徴天皇であれ、太陽と地球のごとく天皇と国民の距離は一定であるべき。近づいても離れてもいけない。

 天皇はキリストと同じく性別を超えた存在だと思う。 「象徴天皇」という言葉にこだわる必要はない。思うに、明治政府(1868年)から終戦(1945年)までが異例で、鎌倉幕府から幕末まで約670年間天皇は「権威」として象徴だった。

 象徴だったからこそ永続している。古代中国では「権力」と「権威」を併せ持ち各王朝はやがて終末を迎える。「権力」側の側面において失政や腐敗等により人心が離れるから。

 日本においても「権力」と「権威」を併せ持つ明治~昭和において、明治天皇から三代目で天皇制が廃止の憂き目に遭いそうになる(果たして、天皇が権力「大元帥&統帥権」を有していなければ、言い換えれば、天皇を巻き込めないとしたら、負ける公算が高いと思っていた日米開戦を軍人たちは決断したであろうか?)。

 「万世一系・男系男子」により、天皇制に反対する者達は2割程度いるが、天皇の即位に対し、「正当性」に異議を唱える者はいない。国民の総意に基づく状態にあると言える。

 この度の改正により、仮に麻生氏が養子を用意し彬子女王が養子として迎え入れ、養子に男子が生まれたとしても、国民の総意に基づいた状態にはなりそうにない。
 秋篠宮皇嗣妃殿下・紀子さまが世俗の「箔付け」をなさろうとした(国民はそう見ている)ことが、悠仁親王の神秘性を却って損なうことになっているのでは(東大を断念した?ことはよかった。東大は文系では法学部が一番にて、さらに法学部では「私法」より「公法」が上と、どこまでも順位付けすると言われる。在籍していたらどんな陰口が広まるか分らない)。
 宮内庁は、紀子さまが世俗の物差しで見ておられると思われることに対してどうしていたのか。私生活にあたる。それはノータッチということなのか。皇室のことを思えば、皇族に対しても筋を通すべきだったと思うのだが。

 10年に一度の逸材と言われた財務官僚の一松旬氏は「言うことを聞かない」と高市政権に左遷?させられた。が、国益に沿わないと思うなら、そうするのが、公僕としての矜持であろう(早晩高市政権が倒れれば、復活するだろう)。
 
 国連は、日本の皇室典範改正を受け、「全ての国に対し、あらゆる地位や職業において女性の権利向上につながる包摂的な政策を奨励する」とのグテレス事務総長の見解を示した。 
 国連は2024年にも同様の勧告をしているが、日本政府は「皇位継承の在り方は国の基本に関わる事項だ」と強く抗議していた。 
 欧米は、危ないところを女に先に行かせる「レディー・ファースト」を女性達から抗議され、態度を改めた。日本は、その逆だ。日本は戦国時代を始め昔から危険なところが女性や子供遠ざけていた。
 日本のジェンダー平等の女闘志達も、真の男女平等を求めているわけではない。男女平等なので、戦争になったら女にも武器を手に取り戦場に行かせるべきだとは言わない。能力が同じなのに性別で不当に差別を受けていることに対して怒り、抗議しているだけだろう。
 庶民の主婦たちも、何の疑問も持たず、配偶者のことを、敬語にあたる、「主人」「亭主」「旦那」などと呼んでいる。
 すこし前になるが、夫よりもよく働く?中国人女性たちが日本の工場に働きに来た時、日本女性は抑圧されていると感じたという。しばらくして、男たちが簡素なランチを済ませ懸命に働いているのに、主婦は近所の奥さんたちと優雅にランチを楽しんでいる日本の様子が分ると、「世の女性が目指すべきはこの生き方だ。日本の主婦は表向き夫に従っているように見えるが、夫を掌の上で転がしているだけだ」と。工場のオーナー経営者がそう発言している。

 国連は日本のことを理解しているとは言えない。
 日本は「女は、か弱い者、護るべき者」とされ、それに儒教というスパイスが加わり、その中で培われてきたのが「奥ゆかしさ」であり美徳とされる。海外の女性と比べて「優しさ」も日本女性の特質と言える。
 国会議員において、女性の議員が少ないのは、男社会であることに加えて、奥ゆかしさ、優しさに加えて聡明さを持ち合わせた日本女性たちが、日本の国会に馴染まない面もある。奥ゆかしくない、優しくない、聡明さがない、そんな振る舞いが可視化されることに二の足を踏むのでは。医師や弁護士、起業家等において日本女性の社会進出は進んでいる。

 その恩ゆかしさ、やさしさに加え聡明さも持ち合わせた象徴的な存在が愛子さまであり、国民が愛子内親王に天皇になってもらいたいとする気持ちは私にも理解できる。

 ただ、週刊新潮によれば、上皇が愛子さまを天皇にと口になされれているという。天皇はたとえ同じ思いでも象徴天皇の枠組みを超えるとして発言なされないだろう。

 上皇にとって今上天皇も秋篠宮も同じ直系である。愛子内親王も悠仁親王も同じ孫。なのに片方だけ言及されるのどうなのか(9/26付けYouTube『一月万冊』における「ついに・・・天皇が高市・麻生に戦闘宣言か!?」と題した対談において、コメント欄に某ネット民による誤認識のコメント「上皇も秋篠宮が血の繋がりが無いので愛子様にとおっしゃられたのでは。」が載った。より問題なのは、翌日の時点で260以上もの「いいね!」を押す人々が存在するということだ)。
 なお、今回の改正には附帯条項があり、「皇族の方々を取り巻く環境その他の状況についても勘案し、必要がある場合については適時適切な措置が講ぜられる」とあるから、女性天皇の誕生もあるかもしれない。

 とはいえ、私自身は、男系男子の件は別にして、女性天皇を誕生させるには、その機は熟しているとは思っていない。


 女性天皇は、お飾りでも、単なる名誉職でもない。寝ずの大嘗祭を皮切りに年中の天皇の行事、各地への慰問に対する肉体的、精神的負担、婚姻問題(意中の方と婚姻できるか、出来たとして国民に祝福されるか)、女系天皇問題(過去推古天皇から8人10代の女性天皇が存在するが女系天皇はいない)。それがクリアされたとしても、国家元首としてのリスク問題がある。

 愛子さまは、天皇家の内親王として非の打ち所がない。しかし、帝王学(天皇学)はどうなのか。昭和史研究家の保阪正康氏は、月刊文藝春秋10月号寄稿『愛子天皇は歴史の必然である』において「愛子さまは平成の天皇から戦争の記憶を受け継ぐ」という。が、保阪氏を常々尊敬している私ではあるが、歴史家として一面を捉えて“愛子天皇”を断定調に発言するのは保阪氏らしくないと感じる。

 米国の一強体制が崩れる中、日本の安全保障も岐路にある。台湾有事が起きた場合敗戦時の昭和天皇と同じ立場になる危険性もある。象徴天皇であろうと敵国からすれば、国家元首に変わりはない。日本の強さが天皇が国民の心を一つにしていることにあると思えば、そのままにはしておかない。

 女性天皇にも、国家元首としての心構え、覚悟を養ってもらう必要があるのでは。
 昭和天皇は、ご自身の命はともかく、連綿と続いた天皇の継承をご自身の代で終わらせるてしまうのかと思い悩む中で、命乞いはせず、「全責任は私にある」と仰ったとされる。愛子さまにも同じことを国民は望むのか。

 私は愛子天皇を排除する輩に与するつもりはない。ただ愛子さまが良き伴侶を得て幸せになられることをを念じるだけ。そして婚姻されても皇族として国民に寄り添われることを愛子さまが望まれるなら、そうなればと思うだけである。

 今回の改正についてはこのようにすればよいと思う。

 悠仁親王まではこれまで通り「万世一系・男系男子」を踏襲する。今回の改正により愛子さまが婚姻されても皇族を希望される場合愛子さまを国娘(国母=皇后)と呼称する。

 今は両国とも王朝は存在しないが、中国や韓国は皇帝の娘は「公主」(「華政」等韓流ドラマ化されている)と呼ばれていた。公主は婚姻後も皇族とみなされるが、公主の夫や生まれた子供達は非皇族扱いとされていた。

 今回の改正での二つ目の養子案は、手続き上の問題に加え、動機が不純(権力者の野心)との疑念、愛子さまを“二級皇族”扱いするのかとの国民の反発などから、撤廃する。

 

 2006年9月6日に悠仁親王が生誕され、ひとまず安心と政府は論議を遠ざけた。悠仁親王が物心つくまでに、「万世一系・男系男子」を踏襲するのか、天皇の直系とするのか、議論を尽くすべきであった。時の政府の怠慢としか。

 「権力」側では、初の女性検事総長は失敗に帰した。却って検察不信に。初の女性首相も。検察も国会も男社会で、女性が男性になろうとするのでは、女性に代わる意味がない。ただ、「権力側」は、余人に代えればそれで済む。

 「権威」側で、失敗でなくとも大きな問題が起きれば、日本は壊れてしまう。愛子さまはよいとしても、制度化することは慎重かつ十分な論議が肝要であろう。

 なお、駄場氏の本には、昭和天皇の后であられる香淳皇后が美智子妃殿下を毛嫌いされている様子も描かれている。「姑嫁問題」は我々下々の問題と思っていたが、皇室でもあるのか。庶民の間で改善傾向にあるのに、範を示すべき皇室に今もそれが続いていると噂されることに驚きを隠せない。

 自身がされたら嫌なことは他人(ひと)にもしないことを身をもって示すところなのに。

 貴賤を問わず、女性の「業」というものなのか。それとも女性は変わってしまうものなのか。

 

 これからは話が飛躍するので戯言と聞き流してもらいたい。競馬界も男系である。日本の競馬界は最高種牡馬サンデーサイレンス王朝で、その後継を次男で日本競馬界の至宝と呼ばれたディープインパクトと長男で競走馬では次男の足元にも及ばなかったブラックタイドと後継種牡馬争いしている。史上最強牝馬と謳われる名牝アーモンドアイはアーモンドアイ系と呼ばれることはない。

 有力牡馬は生涯数千頭もの繁殖牝馬に種付けする。それに対して牝馬は5頭から10頭ぐらいまでしか仔馬を産めない。

 動物界は「種の存続」に向け、雌雄同体からオスとメスと別れることを選択した。

 男は年老いても日々精子を生成しているのに女は胎児の内に卵子を生成するだけ。そして出産する。なぜ、卵子は有限に。卵子に制限がなければ、男(優秀な精子)を選別しなくなるからか。それよりも女体の限界を想定しているのか。

 男は女体を変形させてできた。それも不完全で出来損ないの男として。物理的に無理なことを度外視しても、男に出産は無理。気絶する。

 介護や保育は男より母性が強い女の方が事件が起きない。

 男と女に別れたのなら、なんでもかんでも平等とするのではなく、より向いてる方が担当すればよいこともある。

 

 このほど、IOCは何と優勝者を“King of Sky”と呼んで讃える男子ノルディック複合を2030年以降除外することに決めた。ちなみに、現IOC会長はカースティ・コベントリー女史で、初代女性会長であり、史上最年少の会長でもある(フィンランドの女性首相は世界最年少で首相になったが、失敗しているが)。

 荻原健司選手を初め日本のお家芸とも言える。が、これまで冬の五輪はジャンプなど北欧が王者のプライドが傷つけばルール改正してきた経緯がある。

 ノルディック複合(ノーマルヒル)は2006年以降五輪でノルウェーをはじめ北欧勢が勝っていない。だからと言って除外とは。今回の決定は、私に言わせれば、暴挙以外の何物でもない。MLBで今二刀流を禁止するようなものだ。

 「男女平等」は便利な言葉だ。何よりそう言えば、それで皆納得する。女子がなければ新設すればよいだけだが、それをしない理由もわざわざ述べなくて済む。

 「男女平等」は正しい。が、その掛け声だけで、女性がトップになるに不可欠なプロセスをすっ飛ばしてしまう。女性天皇問題も男女平等で片づけられるのか。

 (次回253号は10/20アップ予定)